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○法第六十条の「自己の故意の犯罪行為」の解釈について

(昭和四三年七月二三日)

(四三保第三一三号)

(厚生省保険局国民健康保険課長あて高知県厚生労働部長照会)

標記のことについて疑義がありますので、折返し御教示ください。

1 昭和三十五年五月二日付け保険発第五三号、福岡県民生部長あて回答「国民健康保険給付の取扱いについて」によれば、「無免許又は無許可運転の事故による負傷は、法第六十条の規定により、自己の犯罪行為によるものとして保険給付を行なわない。」とあるが、これは無免許又は無許可運転による負傷については、すべて「故意」及び「因果関係」があると認められるため「自己の故意の犯罪行為」となり、この結果法第六十条を適用して不支給とするものと解してよろしいか。

2 1のとおりとすれば、これについて、最近の健康保険における審査判決においては、単に故意の犯罪行為である無免許又は無許可運転のみでは不支給とはならず、負傷との間に相当の因果関係がなければならないとしているが、これらとの関連はどうなるか。

3 最近における交通事情等から自動車事故に関連する保険給付が激増しているが、法第六十条の「故意」及び「因果関係」の認定については、事件の当事者はもちろん、警察署において調査しても、その判定は容易ではなく、保険者の保険給付の決定に困難を伴い、これが日常の業務処理にかなりの影響を及ぼしている。このことから、安易な保険給付の決定がなされるなどの事例もあり、また交通事故の防止のためにも道交法違反のうち無免許、無許可及びその他の飲酒、無謀運転等重大な違反行為に限つて、すべて「自己の故意の犯罪行為」として不支給とすることはできないか。

(昭和四四年二月三日 保険発第六号の三)

(高知県厚生労働部長あて 厚生省保険局国民健康保険課長回答)

昭和四十三年七月二十三日四三保第三一三号をもつて照会のあつた標記について、左記のとおり回答する。

無免許運転等道路交通法に違反して自動車等を運転した者が交通事故を起し負傷した場合に、当該負傷が国民健康保険法第六十条の故意の犯罪行為による負傷として給付制限の対象となるか否かについては、昭和三十九年六月一日保文発第二九九号神奈川県民生部長あて当職回答により判断されたいこと。

なお、道路交通法違反行為を行なうについての故意の有無及び当該行為と負傷との間の相当因果関係の有無は、個個の事例について具体的な事実に基づいて認定すべきものであるので、交通事故に起因すると思われる保険事故については、事実を十分に調査することとし、安易な給付を行なうことのないよう貴管下市町村等を指導されたいこと。