添付一覧
○国民健康保険被保険者資格に関する疑義について
(昭和四二年四月二一日)
(保険発第三九号の二)
(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省国民健康保険課長通知)
標記について、奈良県厚生労働部長から別紙1のとおり照会があり、これに対して別紙2のとおり回答したから了知されたい。
なお、被保険者の移動については、その理由を十分確認した上で適切な事務処理に当るよう保険者を指導されたい。
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別紙1
(昭和四一年八月一〇日 保第九七号)
(厚生省国民健康保険課長あて 奈良県厚生労働部長照会)
このことについて、別添のとおり管下天理市長から照会があり左記により取り扱いたいので、その可否について御教示下さい。
記
第一 住民登録は、被保険者資格得喪の絶対的要件ではない。
第二 定住の意志表示があつても、定住の事実が存するか否かはその客観的状況によつて保険者が認定すべき事項である。
第三 天理教の修養機関に三か月乃至二か年間入所し、その生活費を郷里から送金されている者は、修養期間終了後、その機関から転出することが予定されているものであり生活の本拠地は原住所にあると考えられるので、天理市に国民健康保険法上の住所を有するとは認められない。
第四 天理教詰所勤務のため、天理市に転入する者であつて天理教詰所との間に雇傭関係が認められる者については、天理教の信仰と療養をかねて転入するものであつても、生活の本拠は天理市にあると認められるので、被用者保険の適用を受けない限り、天理市国民健康保険被保険者となる。ただし、入院を主たる目的として転入する者については、この限りでない。
第五 以上天理市国民健康保険被保険者と認められない者については、転出市町村において国民健康保険法施行規則第六条の二の規定による別箇の被保険者証の交付を受けるべきものである。
(別添)
国民健康保険の資格取得の取扱いについて
(昭和四一年七月一八日 天保G-六〇〇)
(奈良県厚生労働部長あて 天理市長照会)
左記の理由により疑義が生じましたので、何分のご教示を賜わりますようご照会いたします。
国民健康保険法第五条に規定する「市町村の区域内に住所を有する者」は、第七条の当該市町村の区域内に住所を有するに至つた云々で受け入れしなければならないか、また住所は民法第二十一条の各人の生活の本拠として短期の転入者に対し、修養科生、専修生(宗教研修)には住民登録の転入手続はとられていても法第百十六条の規定により、当該他の市町村の区域内に住所を有し、かつ、当該世帯に属するものとみなし、本市国保加入を拒否してよいか、またその他の短期転入者についても国保加入を拒否して違法にならないか、すでに転出にあたり国保資格の喪失手続をすまし、かつ、転入地の本市で定住の意思と定住の事実を申し出られた場合は、被保険者として取り扱わなければならないものか、以上の点について何分のご指導を賜わりたくお願いします。
(注)
本市は、宗教都市として全国にその名を知られた天理教教会本部の所在地で、同教信者の数は県内はもとより全国に亘り数百万といわれている。天理教信者の転入が最近とみに増加していてこれら信者の目的は、信者の修養機関(信仰過程)である修養科生としての三カ月間の修養(研修)期間と他に専修生として二カ年ひのきしん隊(奉仕作業)等の短期間の転入者で、天理教の詰所(寄宿舎)で生活している。
これらの人達は、病身者が多数をしめ要治療者であり、転入と同時に入院する者も数多く、生活費は郷里から送金されているので取得は勿論皆無である。
これらの人は、郷里を転出するについて主食受給の都合上住民登録の手続をとり本市に転入、この際郷里で国保の資格を離脱し、本市に加入手続をする事態について、これらの人達を被保険者として加入せしめた場合、保険料は減額対象の一〇〇分の六の最低で最高の七割給付をせねばならないことは、国保運営の面で明らかに保険財政の健全性を確保する上に少なからぬ支障を来たしています。
なお、東洋一ともいわれている総合病院として財団法人天理よろず相談所(愛称〝憩の家〟という。)が本年四月から開業されました。院内業務内容は、三部門であつて身上部(医療)、事情部(信仰)、相談部(布教)となつており、院内ベツト数は、一〇〇〇ベツトをかぞえ設備等においては世界一ともいわれている。こうした設備内容を持つている所在地の本市に信仰と療養を兼ねて転入する(お地場に帰るという。)人達で、詰所(寄宿舎)に単身又は世帯の一部(老夫婦が多い)が入り詰所勤務(一応詰所の雑役又は本部神域清掃等のひのきしん(奉仕作業)につくため、お地場で永く暮したい旨の申し出と身寄りのない者がひのきしんにより詰所で現物給付をうけて世話になつている信者達が法第百十六条の規定にも該当しないとすれば、本市国保財政の健全性を確保することはとうてい望みも及ばないところであり、相扶共済という面から考えてみた場合、大きな矛盾が生じるのである。
これ等天理教教会信者詰所に属する被保険者を抽出し、法第七十六条の規定により国民健康保険事業の費用に充てるため、当該世帯主から徴収した保険料と療養の給付に要した費用との間に大きな矛盾が生じている現状である。
別紙2
(昭和四二年四月二一日 保険発第三九号)
(奈良県厚生労働部長あて 厚生省保険局国民健康保険課長回答)
昭和四十一年八月十日保第九七号をもつて照会のあつた標記について、次のとおり回答する。
照会の記の第一及び第二について
昭和三十四年一月二十七日保発第四号「国民健康保険法施行事務の取扱いについて」各都道府県知事あて厚生省保険局長通知の記の第三の(一)の二の前段においても明らかにされているように、住民登録は住所の認定に当たつての資料として用いられるものであり、また、住所の認定は定住の意思と定住の事実の両面より判断して行なうものであること。
照会の記の第三について
照会に係る修養機関において修養を受ける者のうち、修養中の生活費を出身地に居住する者から送金されており、かつ、修養期間終了後に出身地に帰来することが確実に予定される等その修養生活の実態が一時的な滞在と解されるものについては、生活の本拠は出身地にあるものと解されること。なお、このような者以外の修養を受ける者についての生活の本拠は、当該修養機関で修養を受けるために居住する場所にあるものであること。
照会の記の第四について
本文については、お見込みのとおりであること。
ただし書については、詰所で勤務することを目的とするのであれば詰所の所在地に住所があるものと解され、また、このような者であつても転入と同時に入院する者については、退院後直ちに詰所で勤務することが確実である等その帰来先が明確であるときは当該帰来先に、退院後の帰来先が不明であるときは病院の所在地に住所があるものと解されること。
照会の記の第五について
お見込みのとおりであること。