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○遺族年金受給者について

(昭和三三年四月一〇日)

(鶴保年雑第一九号)

(厚生省保険局厚生年金保険課長あて鶴舞社会保険出張所長照会)

厚生年金被保険者が、本妻及びその子女と妾及びその連れ子を有し妾と同居し専ら妾及びその連れ子を扶養し本妻及びその子女に対しては何らの仕送りをしなかつた。被保険者が死亡した場合遺族年金受給権者は何れが妥当なりや御指示賜りたい。

なお調査の結果両者の生計状況は次の通りであります。

一 A(妻)

被保険者(本人)とは昭和二十三年十月より子女と共に別居生活するも離婚手続はしていない。

一 Aとその子の生計状況

1 家族

A (六〇歳) 無職

三男 (三〇歳) 会社員 月収二四、〇〇〇円

三男の妻 (二六歳) 無職

三男の長男 (二歳) 無職

五男 (二五歳) 会社員 月収一八、〇〇〇円

六男 (二〇歳) 会社員 月収一〇、〇〇〇円

三女 (一七歳) 学生

2 生計状況

三男、五男、六男の収入(五二、〇〇〇円)により生計維持し、被保険者からの仕送りなし

被保険者(本人)とは昭和二十四年九月から子女と共に別居するも被保険者の戸籍には入籍していない。

一 Bとその子女の生計状況

1 家族

B (五四歳) 商店の雑役婦 月収四、〇〇〇円

私生子 (一一歳) 小学生

2 生計状況

被保険者(本人)により生計維持す

一 本人の勤務する事業所に於ては本人の申請に基づき本人の給与所得税の扶養控除の対象者にBとその子女をあてている。

一 本人は昭和二十一年三月被保険者となり昭和二十九年八月脊髄兼右半身不随症に患り以来Bの看護を受け且つ昭和三十三年二月二日死亡するにより葬儀はBが行なつた。

一 本人死亡に際してB(妾)は直にA(妻)に通知するもA及びその子女達は葬儀に参加しなかつたが葬儀終了三日後本人の三男が来て遺品(衣類のみ)を持ち帰つた。なお其の他の遺品については無。

(昭和三三年四月三〇 保文発第二、八八一号)

(鶴舞社会保険出張所長あて 厚生省保険局厚生年金保険課長回答)

本年四月十日鶴保年雑第一九号をもつて照会のあつた標記について、左記のとおり回答する。

一 死亡した被保険者の妻(A)及び三女は、被保険者の死亡当時その者によつて生計を維持していなかつたものであるから、遺族年金の受給権者とならない。

二 妾(B)は、法律上の妻(A)が存することになり、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第三条第二項に規定する「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」とは認められないから、遺族年金の受給権者とはならない。

三 Bの子は、その者が養子縁組により被保険者の子となつていたか、または被保険者によつて認知(民法(明治三十一年法律第九号)第七百八十七条に規定する認知の訴による場合を含む。)とされていたものであれば、遺族年金の受給権者となる。