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○外国人に対する遺族年金裁定の疑義について

(昭和三一年九月一四日)

(徳保第三九〇号)

(厚生省厚生年金保険課長あて徳島県民生部保険課長照会)

左記事例に対し、遺族年金は外国人である配偶者を除き、子についてのみ裁定すべきものと考えますが、これに対し、厚生年金保険法の受給権は公法上の債権でもあるので、法例上、その法律行為は排除事由のない限り成立すべきものであり、遺族年金支給構成要件を充たせば足りるとも考えられ、なお疑義を存しますので、給付すべきものとすれば、日本国法を外国人に適用する根拠と共に本件について折返し御回示を願います。

死亡した被保険者は昭和二十年頃より印度支那で遺族年金請求人である外国婦人(国籍仏領印度支那、現在まで帰化していない)と同せい、子二人を設け、昭和二十四年に日本婦人である妻と協議離婚以後、その外国婦人を内縁の妻としていたものである。子は印度支那で被保険者の日本戸籍に届出されている。

(参考)

請求人の外国人登録事項

一 登録番号 第〇〇三九二五三号

一 登録年月日 昭和二十九年十月五日

一 職業 なし

一 現住所 小松市大字小松島字新港三四番地

一 氏名 陳氏福

一 性別 女

一 生年月日 一九一八年九月五日生

(昭和三一年九月二六日 保文発第七、五四四号)

(徳島県民生部保険課長あて 厚生省厚生年金保険課長回答)

本年九月十四日徳保第三、一九〇号をもつて照会のあつた標記の件については、左記のとおり回答するから了知されたい

厚生年金保険法(以下「法」という。)に規定する保険給付の受給権の発生要件を充たしている者は、国籍の如何にかかわらず保険給付の受給権を取得するものであるから、御照会の事例における外国人も、死亡した被保険者と事実上婚姻関係と同様の事情にあつたものと認められ、かつ、法第五十八条及び第五十九条に規定する遺族年金受給権の発生要件を充たしている限り、遺族年金受給権を取得するものがある。

なお、御照会事例における外国人は、日本に在住している者であるから、法による保険給付の裁定請求及び年金支払請求等はすべて法、法施行令及び法施行規則の定めるところによつて行われなければならない。