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○遺族年金の支給について

(昭和三一年一月六日)

(三〇険台第一〇、五三六号)

(厚生省厚生年金保険課長あて岐阜県民生部保険課長照会)

標記の件について、その遺族より、遺族年金裁定請求書を提出致しましたが、これが裁定に際し、左記の如き関係にある場合には、誰を受給権者と裁定し、又加給年金対象者は如何にすべきか疑義を生じましたので何分の御指示を賜り度く別添の如く関係書類を添え照会致します。

一 A(妻)

被保険者(本人)とは養子縁組の模様であつて、結婚以来十数年生計を維持されていたが、本人は入籍されておらず両人の間には子がなく、現在実母と同居している。

一 B(妾)

Aとは別居であるが、本人に生計を維持されており、その間にCが出生し、届出の関係上、一度Cと共に本人の籍に入籍したが、協議離婚し、親権者を父と定め、除籍したが、現在迄Cと同居して居り、本人に生計を維持されていた。

一 C(子)

本人とBとの間に出生した子であり、本人の籍に入籍してあるがAとは何らの関係なく、Bと同居している。

遺族年金の支給について

(昭和三一年一月三〇日 保文発第六二六号)

(岐阜県民生部保険課長あて 厚生省厚生年金保険課長回答)

本年一月六日三〇険台第一〇、五三六号をもつて照会のあつた標記の件については、左記のとおり回答する。

一 厚生年金保険法(以下単に「法」という。)において、保険給付の対象として法律上の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を配偶者、夫及び妻の範囲に含めたのは、届出をすることによつて当然法律上の配偶者の地位を取得することのできる者を保険給付の対象にせんとするためであるから、被保険者又は被保険者であつた者との間に内縁関係があつた者すべてに保険給付を行わんとする趣旨ではない。

御照会の事例の如く、死亡した被保険者が届出による妻を有せず、二人以上の女子と内縁関係があつたとしても、届出をすることによつて法律上の妻の地位を取得するのは一人存するのみであるから、二人以上の者が同時に被保険者又は被保険者であつた者の配偶者として保険給付の対象となることは考えられないものである。

御照会の事例について、送付資料のみによつて判断するに、死亡した被保険者に対しAは妻として、Bは妾として生活実態を営んでいたかの如く推測されるのであるが、保険給付の対象者を決定する際には、さらに、同居の有無その他死亡した被保険者とA及びBとの生活関係に関する諸種の具体的事実を充分勘案すべきものである。

推測の如く、Aを遺族年金の給付対象として取り扱うべきものである場合には、Bは死亡した被保険者によつて生計がまかなわれていたとはいえ、法の適用において、事実上婚姻関係と同様の事情にある者とみなすことはできない。

右の場合、Aは年齢四〇歳以上であるから、法第五十九条第一項第一号イの規定に該当し、遺族年金受給権を取得する。

二 Cは、被保険者であつた者の子であり、年齢一八歳未満であるから、法第五十九条第一項第三号の規定に該当し、遺族年金の受給権を取得する。

三 Aを遺族年金の受給権者として法第六十五条及び第六十六条の規定により、Aに対する遺族年金はAが五五歳に達するまでの期間支給を停止し、Cに対する遺族年金を支給すべきである。