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○自動車損害賠償保障法との関係について

(昭和三一年五月一日)

(保険療発第一、三七六号)

(厚生省厚生年金保険課長あて長野県社会部保険課長照会)

厚生年金保険法による障害年金、障害手当金及び遺族年金等を裁定する場合、標記保障法による保障を受けた者に対して如何に取扱うべきか疑義を生じましたので、至急御指示を願いたくお伺いします。なお、疑義の点は次のとおりです。

1 厚法第四十条第一項の損害賠償請求権は、当該保障法に基く給付を受けた場合は消滅するものか、又は存続するものかその点如何。

2 厚法において他の法令との調整は、法第五十四条及第六十四条のみであつて、当該保障法によつて賠償を受けたときは、厚法第四十条第二項によつて「その価額の限度で保険給付をしないことができる。」を適用してもよいでしようか。若し適用するとすれば年金にあつての支払開始年月を定める基礎はどうすべきか。

(昭和三一年九月一三日 保険発第七、一一〇号)

(長野県社会部保険課長あて 厚生年金保険課長回答)

昭和三十一年五月一日、保険発第一、三七六号をもつて照会のあつた標記の件について、左記のとおり回答する。

1 被保険者が、第三者の行為による、自動車事故によつて障害年金の支給を受けるに至つた場合に於いては、政府は、厚生年金保険法第四十条第一項の規定によりすでに給付をした価額の限度において、受給権者が当然第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得するものであり、当該請求権は、自動車損害賠償法による賠償如何にかかわらずなお存続するが、当該給付の価額をこえる部分(たとえばすでに第一期分の支払をした場合は第二期分以降)については法第四十条第一項の適用は排除され、同条第二項の適用を受けることになる。この場合、自動車損害賠償保障法第十七条等の規定によつて支払われる仮渡金は必ずしも損害賠償と解すべきものではないから、仮渡金が支払われたのみでは、法第四十条第一項の適用は排除されるものではない。

2 受給権者が自動車損害賠償保障法によつて損害賠償を受けた場合は、厚生年金保険法第四十条第二項の規定により、当該給付の価額の限度で保険給付を行わないことになるが、この場合、厚生年金保険において保険給付を行わない部分は、厚生年金保険法の趣旨からして当該給付のうち生活保障の部分に限られるから、葬祭費、医療費等その他の部分については、同法の保険給付を行わない場合の対象とすべきではない。また、保険給付を行わない期間は、右の生活保障部分を当該受給権者に支給すべき年金額で、除して得た期間とするのが妥当である。