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○厚生年金保険法第三十七条の疑義等について

(昭和三〇年三月二八日)

(保文発第二、六七〇号)

(徳島県民生部保険課長あて厚生省保険局厚生年金保険課長回答)

昭和三十年二月二十一日徳保第五一八号をもつて照会のあつた標記については、次のとおり回答する。

1 厚生年金保険の保険給付は、社会保障制度の一環として行われているのであるから、その受給権は民法第八百九十六条但し書にいう一身専属権としての性格をもつている。このことは、保険給付の各本条に「その者に支給する」と規定されているところをみても明らかである。従つて、保険給付は別段の規定がない限り「その者」以外には支給されないのである。この別段の規定としては、法第三十七条があるが、これも相続の色彩をもつものではなく、加給年金額の対象者に対し、受給権者とともに保障の対象とされていたという理由から認められたものであり、特に未支給年金として一種の保険給付の性格をもつのである。

2 1と同趣旨により、民法相続篇の適用はない。

3 理論上はご見解のとおりであるが、裁定通知書に結局はなんらの給付も行われない旨及びその理由を付記することが望ましく、また年金証書を交付する必要はないと解される。

厚生年金保険法第三十七条の疑義等について

(昭和三〇年二月二一日 徳保第五一八号)

(厚生省保険局厚生年金保険課長あて 徳島県民生部保険課長照会)

厚生年金保険法第三十七条の規定及び遺族年金の裁定については社会通念上左記の通り解すべきものと思料するがなお疑義を存するので折り返し至急の御回示を願いたい。

1 法第三十七条第一項について

加給年金額の計算の基礎となつた者のいない未支給年金(加給年金が加算されていないもの)についても、民法相続篇の規定により、その受給権者の遺族に当該未支給年金を支給すべきである。なお附則第十六条第一項に該当する「加給年金額の加算されていない未支給年金」についても同様に取扱い旧法第三十条ノ二の規定は適用しない。

2 法第三十七条第二項について

加給年金額の計算の基礎となる者がいない年金たるべき保険給付についても受給権者が死亡前にその年金を請求していなかつたときには民法相続篇の規定によりその受給権者の遺族はその年金を請求することが出来る。

3 遺族年金の裁定について

法第五十九条第一項第一号に規定する妻についての遺族年金が法第六十四条の適用を受けて六年間、その支給を停止されている間に法第六十三条第二項第一号に該当するに至ることが当該年金裁定時に予測される場合にもその遺族年金を裁定すべきである。