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○平成五年度における厚生年金保険の事業運営について

(平成五年三月三一日)

(庁文発第一、二六一号)

(各都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長あて社会保険庁運営部企画・年金管理・年金指導課長連名通知)

平成五年度における厚生年金保険事業の重点実施事項については、本日庁文発第一、二五九号「平成五年度における医療保険及び年金保険の事業運営について」をもって当庁運営部長より都道府県民生主管部(局)長あて通知されたところであるが、事業の実施に当たっては、次の事項に留意のうえ積極的な推進を図られたい。

1 適用の適正化の推進

(1) 適用の適正化については、平成五年三月三十一日庁文発第一、二六〇号通知「平成五年度における政府管掌健康保険及び船員保険の事業運営について」(以下「政府管掌健康保険事業運営通知」という。)の第一の2に準ずること。

特に、特別支給の老齢厚生年金受給権者及び繰上げ請求の老齢基礎年金受給権者で、実態的かつ常用的使用関係がある者については、被保険者資格取得の届出漏れがないよう事業主を指導するとともに届出が遅延した場合、当該受給権者の年金額が遡及して一部又は全部が停止となり、その間に発生した過払額を返納することとなることについて十分説明すること。

なお、外国人の適用に当たっては、障害者となったり死亡した場合には障害給付や遺族給付が行われること。

また、外国との年金通算協定等の取決めがないことから老齢給付に結びつかない場合もあることを理解させるよう努めること。

(2) 被保険者が六五歳に達したことによる被保険者資格喪失届の提出については、事業主等に対し事前に六五歳到達予定者一覧表を送付し、届出の励行が図られるよう指導するとともに、未提出の場合は督促するなど、届出の促進に努めること。

(3) 厚生年金保険の被保険者資格取得の届出があった二〇歳以上の者については、学生の国民年金の適用に伴い、共済組合員以外は原則として年金手帳が払出されていることから、年金手帳を添付するよう事業主等を指導し、年金手帳の重複払出しの防止に努めること。

(4) 社会保険事務所の国民年金担当課においては市町村と連携のうえ国民年金の被保険者の種別変更の届出勧奨を行うこととしていることから、厚生年金保険の被保険者資格取得届の処理に当たって年金手帳の国民年金の記号番号を有する者については、国民年金の記号番号及び住所を国民年金担当課へ連絡するなど国民年金事業への協力を図ること。

なお、実施に当たっては、例えば、

(1) 添付された年金手帳を回付する

(2) 被保険者資格取得届の余白に年金手帳の国民年金の記号番号及び住所を併記することを事業主、社会保険労務士等に協力要請する

等工夫すること。

(5) 厚生年金保険の被保険者資格取得の届出があった場合には、

(1) 国民年金の被保険者であった場合は、二号被保険者への種別変更

(2) 国民年金の未加入期間があると思われる場合は、国民年金の資格取得

(3) 被扶養配偶者の国民年金被保険者の種別変更又は種別確認

の市町村への届出について、被保険者へ周知するよう事業主、社会保険労務士等に協力要請するなど国民年金事業への協力を図ること。

2 収入の確保対策の推進

収入の確保対策の推進については、「政府管掌健康保険事業運営通知」の第一の4の(1)及び(2)に準ずること。

3 被保険者期間等の確認の励行

高齢任意加入被保険者の資格取得の申出又は申請、第四種被保険者の資格取得の申出及び被保険者期間の照会等があったときは、被保険者記録と本人の申し立てている期間とが一致しているかどうか合算対象期間があるかどうか記録内容等を十分に確認すること。

特に、被保険者として加入した期間に脱退手当金の支給済期間があるかどうかについては十分に確認すること。

4 年金給付の適正化の推進

(1) 裁定請求書及び各種届書の早期提出及び適正な届出について、被保険者、年金受給権者、事業主等に対し、集団指導等あらゆる機会を利用して、周知徹底を図ること。

特に、受給権の失権、加給年金額対象者の不該当による年金額の改定及び加給年金額対象者の老齢給付等の受給権の取得による加給年金額の支給停止等にかかる届書の早期提出について周知を図り、過払の防止に努めること。

(2) 年金の受給年齢に達している者の被保険者資格取得届の取扱いに当たっては、事業主等に対し年金受給の有無を確認するよう指導すること。

なお、社会保険事務所は当該者にかかる被保険者資格取得届の処理を行うときは、窓口装置に表示される疑重複者の年金手帳の記号番号等の調査・確認を行い、再取得者であるかどうかについての把握を的確に行うこと。

(3) 裁定請求書の受付・審査に当たっては、被保険者期間の脱漏を防止するため、被保険者期間の確認を十分に行うこと。

なお、被保険者期間の確認を容易に行うため、厚生年金保険、船員保険及び国民年金を統合した氏名索引照会並びに資格記録照会を行えることとする予定であるが、その詳細については、別途通知する。

(4) 老齢厚生年金の裁定請求が六六歳に達した日以後にあった場合にあっては、繰下げ請求か否かの、請求者の意思を十分確認すること。

また、六五歳に達したことにより被保険者の資格を喪失した者等、六五歳に達し初めて老齢厚生年金の受給権が発生した者からの請求については、繰下げ請求の意思がないことを確認すること。

(5) 共済組合の組合員期間を有する大正十五年四月二日から昭和六年四月一日までに生まれた者にかかる老齢給付の審査に当たっては、昭和六十一年四月一日前に昭和六十年改正前の共済組合各法による退職年金等の受給権を有している者については昭和六十年改正前の厚生年金保険法が適用されることから、裁定請求書に添付された年金加入期間確認通知書により、退職年金等の受給権の有無を確認すること。

(6) 障害給付及び遺族給付の裁定請求書の受付・点検に当たっては、給付の発生原因に留意し、第三者行為によるものである場合は第三者行為事故状況届及び示談書等の添付の有無を確認すること。

(7) 障害給付の裁定請求書にかかる診断書の受付・点検に当たっては、詐病等による年金の詐取事件の発生防止のため、診断書作成医師の「病院及び診療所の名称」「所在地」等の確認、診断書の各欄に記入漏れがないことの確認、及び疑わしき加筆又は修正がある場合には作成医師に確認等を行うこと。

(8) 遺族給付の不支給処分に当たっては、被保険者であった者と請求者の生計維持関係、届出による婚姻と事実婚の関係等について調査・確認を十分に行うこと。

特に、生計維持関係の認定において死亡後における収入を見込む場合、請求者の収入が被保険者であった者にどの程度依存していたか等について留意すること。

また、届出による婚姻と事実婚の関係等については、その実態を調査し、申立内容の事実の確認を行うよう留意すること。

なお、手作業による不支給決定通知書の不支給理由は、請求者にわかり易く的確に記載すること。

5 広報活動の推進

(1) 厚生年金保険事業の円滑な運営と制度の安定を図るためには、国民の年金制度への参加を促すとともに確実な届出手続きの履行が不可欠であることから、「年金週間」等被保険者等が年金を身近に感じる機会の充実を図るほか、企業において、採用、離職が集中する時期等あらゆる機会を活用した積極的な広報活動に努めること。

なお、広報活動を推進するに当たっては、多くの被保険者、年金受給権者等が利用する社会保険関係施設の活用についても十分配慮すること。

おって、「年金週間」の実施にかかる詳細については、別途通知する。

(2) 具体的な広報に当たっては、特に年金に対する意識が薄くなりがちな若い世代を積極的に取り込むほか、期間を特定した集中的な事業展開や地域の実情や特性を配慮しつつ、広報媒体等に創意工夫を凝らすなど、効果的なものを実施すること。

(3) 今後は次世代を担う児童・生徒に対する年金教育も重要であることから、教育委員会等の関係部局と学校教育における年金教育の必要性に関し、意見交換、協力要請の場を持つ等、その推進に務めること。

なお、当庁においても年金教育の推進のため関係機関との連携を図るとともに社会科担当教師に対する年金教育の副読本を作成し、配付する予定であること。

おって、年金教育の推進にかかる詳細については、別途通知する。

(4) 被保険者、年金受給権者、事業主等に対して、次の事項を重点的に広報することとし、実施に当たっては、広報の目的、対象に応じた実施の時期及び内容等について工夫をこらし、効果的な広報活動について一層の充実に努めること。

(1) 年金給付の適正化のため、裁定請求書及び各種届書の早期提出について各種の広報を行うほか、受給者団体等(厚生年金受給者協会等)に協力を求めるなど、年金受給権者等に対する指導、啓発に努めること。

特に、特別支給の老齢厚生年金の受給権者が六五歳に達することにより老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給することとなるため、この裁定請求に漏れがないよう請求の方法及び提出時期等について周知を図ること。

(2) 適用の適正化及び収入の確保のため、被保険者資格と報酬月額の適正な届出及び保険料の納期内納入について周知徹底を図ること。

(3) 五人未満法人事業所の適用の促進のため、適用の届出が適正に行われるよう社会保険制度の趣旨についての周知を図ること。