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○結核の治療指針等の改正について

(昭和三八年六月一一日)

(保発第一四号の二各都道府県民生部(局)・国民健康保険課(部)長あて厚生省医療課長通知)

標記については、別紙のとおり、六月十一日保発第一四号保険局長通達をもつて都道府県知事あて通達されたところであるが、これが取扱いについては左記事項に留意のうえ、遺憾のないようされたい。

一 結核の治療指針及び性病の治療指針の改正要点は別紙のとおりであること。

二 従来、船員性病治療指針が性病の治療指針とは別に定められていたが、今次改正により、両者を統合して「性病の治療指針」とし、その中において「性病治療指針」と「船員性病治療指針」とに区分したこと。

三 「抗生物質の使用基準」の末尾に「(附)」として規定されている経過措置は、性病の治療指針の今次改正により、失効したものであること。

1 結核の治療指針の改正要点

(1) 化学療法から期待できる最大の効果を初回治療の段階で達成するよう、初回の化学療法を強化し、かつ、長期継続する方針を明確にした。肺結核の初回化学療法においては、従来は二者併用療法の比重が高かつたが、これをストレプトマイシン(SM)、イソニコチン酸ヒドラジド(INH)、パラアミノサリチル酸塩(PAS)の三者併用療法を原則とすることとした。

また、SM、INH、PAS三者併用療法の場合、従来はINH、SMは週二日使用が原則であつたが、INHを毎日使用できることとし、SMも必要により、はじめの一ないし三か月は毎日使用することとした。

(2) 抗結核薬のうち、SM、INH、PASを一次抗結核薬、その他のものを二次抗結核薬として区別するとともに、二次抗結核薬は一般的には一次抗結核薬が耐性、副作用などのため用いがたいときに使用することとし、一次抗結核薬に対する耐性判定の基準を改め、従来より耐性の程度が低くても他の薬剤(二次抗結核薬)に変更できることとした。

(3) 使用薬剤の種類を追加した。

ア 二―エチルチオイソニコチナミド(エチオナミド)を二次抗結核薬にあらたに加えた。(エチオナミドはINH耐性の場合にこれに代りうるものである。)

イ 従来から使用されていたサルファ剤について、その種類を追加した(六種)。

(4) 各種抗結核薬の組合せによる併用療法の種類を従来の一二種から、二一種以上とした。

(5) 昨年十月副腎皮質ホルモン等の使用基準の改正により、結核性疾患においても、高熱その他の臨床症状の著しいもの、髄膜炎、胸膜炎等の場合に抗結核薬と併用して副腎皮質ホルモン剤を使用できることとなつていたのであるが、同様のことを本指針にも記載した。

(6) カナマイシン(六か月以内)、サイクロセリン(四か月以内)、バイオマイシン(二か月以内)の使用期間の制限を除いた。その他使用量に若干の増減を行なつた。

2 性病の治療指針(船員性病治療指針を含む。)の改正要点

(1) 梅毒について

ア 使用薬剤としてマクロライド系薬剤(従来は小児(一五才以下)の先天梅毒に対してのみエリスロマイシンの使用が認められていた。)、テトラサイクリン系薬剤及びクロラムフエニコールを追加した。

イ 療法の種類の増加

(ア) ペニシリン系薬剤による療法においてペニシリン内服法を追加した。

(イ) マクロライド系薬剤単独療法及びマクロライド系薬剤、砒素、蒼鉛併用療法を追加し、また、マクロライド系薬剤による療法をすべての梅毒に用いることができることとした。(従来は小児(一五才以下)の先天梅毒のみ)

(ウ) 場合によつてはテトラサイクリン系薬剤またはクロラムフエニコールを用いることができることとした。

(2) 淋病について

ア 使用薬剤としてカナマイシンを追加し、また、従来のエリスロマイシン、ロイコマイシンをマクロライド系薬剤と改めた。

イ ペニシリン内服法を追加した。

(3) 軟性下疳について

ア 従来のエリスロマイシンをマクロライド系薬剤と改めた。

イ 持続性サルフア剤を追加した。

(4) 鼠径りんぱ肉芽腫症について

ア マクロライド系薬剤を追加した。

イ 持続性サルフア剤を追加した。