添付一覧
○性病の治療指針、薬価基準、診療報酬点数表等の改正に伴う実施上の留意事項について
(昭和四〇年一〇月三〇日)
(保険発第一三〇号)
(各都道府県民生部(局)保険課(部)・国民健康保険課(部)長あて厚生省保険局医療課長通知)
性病の治療指針の一部改正及び薬価基準、診療報酬点数表等の改正については、本年十月二十五日保発第四四号及び第四五号をもつて厚生省保険局長より都道府県知事あて通知されたところであるが、これが実施にあたつては、次の事項に留意のうえ、遺憾のないようにされたい。
第一 性病の治療指針等の改正に関する留意事項
1 性病の治療指針について
梅毒及び淋病のペニシリン系薬剤単独療法の用法例にアミノベンジルペニシリンが加えられ、その使用法は「抗生物質の使用基準」によることとされたが、なお、その適応症例の選択にあたつても「抗生物質の使用基準」を参考とされたいこと。また、グラム(ミリグラム)で表示されているペニシリン系薬剤の用量に関し、一gがおおむね六〇万単位に相当するものとして換算することとされたこと。
2 高血圧の治療指針について
高血圧性心疾患の療法のうち、狭心症発作の間歇時の使用薬剤として既に記載されているアミノフイリンの静注等のほか、包括的に「その他の各種冠拡張剤」が新たに加えられたこと。
3 精神科の治療指針について
特殊薬物療法の使用薬剤としてオピプラモールが、抗酒剤としてシアナマイドが、抗てんかん剤としてエチール-メチールサクシナマイド(エトサクシミド)及びズルチアムが新たに加えられ、それぞれその適応症、使用法、使用量が定められたこと。
4 抗生物質の使用基準について
新たに、抗生物質の種類として、ペンタマイシン(PTM)及びアムホテリシンB(AMPH)が加えられたほか、ペニシリン系薬剤の附としてアミノベンジルペニシリン(AB-PC)が加えられたこと。
また、ペニシリン系薬剤、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン(TC)系薬剤、フラジオマイシン(FRM)及びグラミシジンJ(GRMN-J)のトローチの使用法及び量並びにマクロライド系薬剤及びカナマイシン(KM)の膣錠の使用量について新たに定められたこと。
5 歯槽膿漏の治療指針について
歯槽膿漏のホルモン療法の使用薬剤として、パロチン錠が加えられたこと。
6 歯科領域における抗生物質の使用基準について
抗生物質の種類として、デメチルクロルテトラサイクリン(DMCT)、メタサイクリン(MOTC)、テトラサイクリンメムレンリジン(MLTC)、スピラマイシン(SPM)及びアムホテリシンB(AHPH)が新たに加えられたこと。また、歯槽膿漏の使用薬剤として テトラサイクリン・プレストロン合剤及びロイコマイシン・フラジオマイシン・プレドニゾロン合剤が、急性顎炎の使用薬剤としてアミノベンジルペニシリン(AB-PC)が加えられ、それぞれ使用基準が定められたこと。
7 次の(1)~(4)表の上欄に掲げる新規に薬価基準に収載された医薬品については、その適応症、使用法又は使用量につき、それぞれ同表の下欄に掲げる医薬品に準じて、高血圧の治療指針等が適用されるものであること。
(1) 高血圧の治療指針の適用のあるもの
チクロチアジド錠 |
適応症及び使用法は、クロロチアジドの場合と同様とする。使用量は、クロロチアジドの五〇分の一~一〇〇分の一とする。 |
(2) 精神科の治療指針の適用のあるもの
ペラジン散及び錠プロペリジアジン散及び錠 |
適応症、使用法及び使用量は、クロルプロマジン内用の場合と同様とする。適応症及び使用法は、クロルプロマジン内用の場合と同様とする。使用量は、クロルプロマジンの八分の一~一〇分の一とする。 |
デスメチルイミプラミン錠及び注射液サフラジン錠 |
適応症、使用法及び使用量は、イミプラミンの場合と同様とする。適応症及び使用法は、フエニプラジンの場合と同様とする。使用量は、一日三〇㎎程度である。 |
ジアゼパム散及び錠 |
適応症及び使用法は、クロルジアゼポキサイドの場合と同様とする。使用量は、クロルジアゼポキサイドの五分の一とする。 |
(3) 抗生物質の使用基準の適用のあるもの
メチルクロロフエニルイソキサゾリルペニシリン錠及び注フエノキシプロピルペニシリンカリウム錠 |
適応症、使用法及び使用量は、メチルフエニルイソキサゾリルペニシリンの場合と同様とする。適応症及び使用法は、フエノキシエチルペニシリンの場合と同様とする。使用量は、フエノキシエチルペニシリン「一個四〇万単位」を「一回二五〇mg」に読み替える。 |
スピラマイシン錠 |
適応症及び使用法は、マクロライド系薬剤の場合と同様とする。使用量は、「一回二〇〇mg」を「一回四〇〇mg」に、「体重一kgにつき三〇mg」を「体重一kgにつき五〇mg」に読み替える。 |
デスメチルテトラサイクリン |
適応症及び使用法は、テトラサイクリン系薬剤の場合と同様とする。使用量は、「一日一~二g」を「一日六〇〇mg」に、「体重一kgにつき二五~五〇mg」を「体重一kgにつき一〇~一五mg」に読み替える。 |
(4) 歯槽膿漏症の治療指針又は歯科領域における抗生物質の使用基準の適用のあるもの
エルエフゾロンパスタ |
歯科領域における抗生物質の使用基準の第三適応症並びに標準的使用法及び量の項のうち、三歯槽膿漏症、五智歯周囲炎、六歯齦炎、口内炎及び手術後の処置の場合に使用するものとすること。なお、使用量は歯齦嚢に使用する場合は一顎約〇・三gを手術創並びに口内炎に使用する場合は三分の一顎約〇・三gを標準とする。 |
トリアムシノロンアセトナイド軟膏 |
適応症及び使用量は、エルエフゾロンパスタの場合と同様とする。 |
注1 (3)表の上欄に掲げる医薬品については、同表の下欄に掲げる要領により適用がある。
注2 トロンボ・コーンL、マイシリン歯科用円錐(一〇〇〇万単位)、テトラサイクリンプレステロン軟膏、ロイコセルシート及び歯科用クロラムフエニコール液(八〇mg)についても適用がある。
第二 診療報酬点数表の改正に関する留意事項
1 新設の項目について
(1) 乳幼児入院加算
この加算は、六歳未満の患児を収容した場合に算定されるものであるので、産婦又は生母の入院に伴つて健康な新生児又は乳児を在院させた場合にあつては、この加算は算定できないこと。
(2) 時間外麻酔加算
この加算は、時間外加算の適用される手術に伴つて行なわれた麻酔に対して、手術料の時間外加算と同様の取扱いで算定されるものであるので、手術料の点数が所定点数以下の場合には、この加算は認められないこと。
2 点数表上の準用措置
(1) 削除(昭42・11・17保険発122号により)
(2) 点数表の改正に伴う準用
各点数表に定められていない診療項目の算定点数について、疑義解釈等の通知で取扱いを示しているもの等の取扱いは、次のとおりであること。
イ 区分番号又は項目の準用により、算定点数を示しているもの(準用に伴せて算定点数を示しているもの又は区分番号若しくは項目を示しさらにその点数の割合によつて算定点数を示しているものを含む。)の算定点数は、準用する区分番号又は項目の改正後の点数によること。
ただし、乙表上の腎盂洗浄であつて、改めて尿管カテーテル挿入を行なわない場合の算定点数(昭三五、二、一七保険発第一九号)は、七・六点とする。
ロ 区分番号又は項目に関係なく算定点数のみを示しているものについては、次の表のⅠ欄に掲げる乙表上の検査等の項目はⅡ欄に掲げる点数によつて算定するものとし、これ以外の診療項目の算定点数及び試薬代として示している加算点数は、従来どおりであること。
Ⅰ |
Ⅱ |
備考 |
喉頭鏡使用による喉頭病変検査 |
三・四点 |
昭二六、一一、二〇保険発第二七六号 |
松岡式結核菌染色による喀痰顕微鏡検査 |
八・六 |
昭二八、八、一八保険発第一八〇号 |
マイニニー氏反応検査 |
八・六 |
昭二四、一二、一〇保険発第三四〇号 |
精神分析検査の一時間を超える場合の加算 |
二五・六 |
昭二六、七、二保文発第二、二二九号 |
インタビユウの一時間を超える場合の加算 |
二五・六 |
昭二七、六、三〇保険発第一六七号 |
ナルコアナライジスの一時間を超える場合の加算 |
二五・六 |
昭二七、四、三〇保険発第一一九号 |
精神療法(森田療法、暗示療法)等の一時間を超える場合の加算 |
二五・六 |
昭三〇、二、一〇保険発第二八号 |
(3) トローチ剤の投薬料の算定については、従来、内服薬として取り扱つてきたが、本剤の抗生物質の使用基準上の取扱い等とも併せ、これが取扱いにつき学会の意見を徴して検討した結果、今後は外用薬として取扱うこととしたので、次により算定されたいこと。
甲表においては、区分「一一八」に準ずることとし、その際「一剤三回分まで」を「一日分につき」に読み替えること。
歯科点数表においては、区分「一四七」に準ずることとし、その際「一剤三回分まで」を「一日分につき」に読み替えること。
乙表においては、外用薬の「ホ」に準ずることとし、その際「一回分につき」を「一日分につき」に読み替えること。
第三 (削除)
第四 診療報酬請求明細書記載上の留意事項
1 乳幼児入院加算について
六歳未満の患者を収容した場合は、当該加算を加算した点数を甲表においては「入院」の欄に、歯科点数表においては「その他」の欄に、乙表においては「入院料」の欄に記入し、乳幼児入院加算の表示は必要がないこと。
2 時間外麻酔加算について
甲表においては、「処置及び手術」の欄の麻酔の項に歯科点数表においては「麻酔」の欄に、乙表においては「手術料」の欄に、時間外麻酔加算の回数及び点数も含めて記入し、その旨の表示は必要がないこと。なお、その際の時間外手術加算の表示は、従来どおりであること。
3 甲表及び歯科点数表の投薬及び注射欄について
甲表及び歯科点数表の投薬欄及び注射欄は、平均購入価格により薬剤料を算定する場合には、使用薬剤の購入価格が三〇円以下及び三〇円を超え六〇円以下の二区分により、それぞれ剤種に応じて使用単位及び点数を記入するものとし、使用薬剤の薬名、使用量等についての記入は、三〇円以下の場合は従来どおり記入の必要はないが、三〇円を超え六〇円以下の場合は、注射にあつては、使用した薬名、濃度及び使用量を記入し、投薬にあつては、主剤のみを記入して差し支えないこと。
4 歯科診療における使用薬剤等の略称について
歯科診療における使用医薬品名等の診療報酬請求明細書等への記載については、今後次のように略称を使用して差し支えないこと。
薬名 |
略称 |
トロンボ・コーンL |
TLコーン |
エルエフゾロンパスタ |
LFSパスタ |
ロイコセルシート |
LMAf |
ノブダイン |
Cz |
クレオドンパスタ |
GUパスタ |
歯科用モルホニン |
MH |
歯科用ハイドロコート軟膏 |
HKパスタ |
ヂヒドリン軟膏 |
DDパスタ |
テトラ・コーチゾン軟膏 |
TTKパスタ |
テトラサイクリンプレステトロン軟膏 |
TCPSパスタ |
表面(在)麻酔 |
OA |
第五 薬価基準等告示の官報登載誤りの訂正について
昭和四十年十月五日附官報(号外特第一六号)に登載した薬価基準等の改正告示中別表のとおり登載誤りがあつたこと。
第六 関係通知の整理について
(1) 昭和三十五年十二月十三日保険発第一四八号中「シヤール軟膏」を削る。
(2) 昭和三十七年九月二十五日保険発第九四号の第三(4)中「トリアムシノロンアセトナイド軟膏(〇・一%)」「トリアムシノロンアセトナイドクリーム(〇・一%)」及び「フルオシノロンアセトナイドクリーム(〇・〇二五%)」を削る。
(3) 昭和三十八年二月七日保険発第一四号の1(1)中「エキザルベ軟膏」及び「テラジアCパスタ」を削る。
(4) 昭和三十五年二月十七日保険発第一九号中、腎盂洗浄の項中「尿管カテーテル法の所定点数を控除する。」を「七・六点とする。」に改める。
(5) 本通知の第二、2、(2)のロの備考に掲げる通知中、Ⅰ欄に掲げる項目にかかる点数をそれぞれⅡ欄に掲げる点数に改める。
(6) トローチの投薬料の算定について示した通知(昭三三、三、三一保険発第三五号、昭三三、一〇、二〇保険発第一三九号、昭四〇、六、二五保険発第八三号の二等)中、トローチに関する部分は削る。
(7) 昭和三十三年十月三十日保険発第一四六号の第二、2の(5)及び(6)中、使用薬剤が六〇円以下の場合の記載要領に関する部分については、本通知の第四の3のとおり改める。