添付一覧
○診療報酬点数表等の一部改正等について
(昭和四五年一月二一日)
(保発第二号)
(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)
「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(昭和三十三年六月厚生省告示第百七十七号)」、「看護、給食及び寝具設備の基準(昭和三十三年六月厚生省告示第百七十八号)」、「慢性疾患並びに特定の薬剤、治療材料等及びその価格(昭和三十三年六月厚生省告示第百七十九号)」及び「保険医の使用歯科材料及びその購入価格(歯科材料価格基準)(昭和四十二年十一月厚生省告示第四百四十二号)」のそれぞれ一部改正が、本日付官報(号外第三号)をもつて、それぞれ厚生省告示第五号から第八号として公布され、いずれも昭和四十五年二月一日より施行、適用されることとなつた。ただし、「看護、給食及び寝具設備の基準」の看護婦等の算出基礎に新生児を含める改正については、同年十月一日から適用されるものである。
これらの改正の趣旨及び概要は次のとおりであるので、貴管下関係諸団体への周知徹底方について格段の御配慮を願いたく、通知する。
なお、今回の一連の改正のうち、健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法の一部改正等については、別添のとおり新旧対照表を作成したので参考とされたい。
第一 今回の改定の趣旨及び経過
1 今回の診療報酬の改定は、本年一月十三日の中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)の答申に基づき行なつたものであること。
2 この答申は、一月十三日に中医協から受けた建議どおり診療報酬改定の具体案を策定し、同日、厚生大臣が諮問した案を了承したものであること。
3 今回の中医協の建議においては、歯科領域における差額徴収の取扱いについて中医協、日本歯科医師会及び行政当局がとるべき措置が示されているが、その具体的実施方法については今後とりまとめられる予定であること。
4 今回の改定による診療報酬の引上げ率は、医科においては本年二月一日からは八・七七%であるが、七月一日からは更に〇・九七%引上げられ九・七四%となること。歯科においては本年二月一日から九・七三%の引き上げとなること。
第二 健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法の一部改正に関する事項
1 別表第一診療報酬点数表(甲)の一部改正について
(1) 初診時基本診療料
ア 現行四三点を四五点に引き上げたこと。
イ 深夜加算の点数三二点を五二点に引き上げたこと。
(2) 再診時基本診療料
ア 現行一〇点を本年二月一日から六月三十日までは一四点、七月一日以降は一五点とした。
イ 注5(内科加算)を廃止したこと。
ウ 深夜加算については、(1)のイと同様であること。
(3) 入院時基本診療料
ア 入院時基本診療料並びに給食、基準給食及び基準看護にかかる加算点数をそれぞれ引き上げたこと。
イ 後記第三の1による改正後の看護の基準に適合していることについて都道府県知事の確認を受けた保険医療機関にあつての新生児介補料は、一類看護を行なつている保険医療機関にあつては、三一点、二類看護を行なつている保険医療機関にあつては一九点としたこと。なお、この三一点又は一九点の加算点数の請求は、生後二八日以内の新生児について、本年二月一日から認められるものであること。
(4) 入院時医学管理料
一日につき七点を算定する入院時医学管理料を新設したこと。
(5) 検査
精密眼底検査については、片側毎に算定できることとしたこと。
(6) 理学療法
ア ラドンシードの費用について、その購入価格を別に算定できることとしたこと。
イ 整形外科機能訓練の点数を一〇点に引き上げたこと。
(7) 処置及び手術
ア 輸血を第5部から第8部の第2節に移し、点数及び取扱いを乙表に準拠して改正し、交換輸血の点数(一五〇〇点)を新設したこと。
イ 抜歯術の点数を歯科点数表の改正に併せ、八〇%引き上げたこと。
ウ 第9部麻酔の新設に伴い所要の字句整理を行なつたこと。
(8) 麻酔
第8部処置及び手術第2節麻酔を第9部麻酔とし、閉鎖循環式全身麻酔の点数を六〇〇点に引き上げたこと。
2 別表第二歯科診療報酬点数表の一部改正について
(1) 初診時基本診療料
ア 現行三〇点を三二点に引き上げたこと。
イ 1の(1)のイと同様であること。
(2) 入院時基本診療料
1の(3)のアと同様であること。
(3) 入院時医学管理料
1の(4)と同様であること。
(4) 再診料
ア 再診の際、他に診療報酬を算定し得る診療行為を行なわなかつた場合には、再診料五点を算定できることとしたこと。
イ 再診の際の時間加算及び深夜加算については、現在、処置及び手術の所定点数に加算することとなつていることを改め、再診料の新設に伴い、再診料に加算することとし再診料を算定し得ない場合はそれぞれ時間外の診療手当、深夜の診療手当として算定することとしたこと。
ウ 深夜加算の三二点を五二点に引き上げ、また、深夜の診療手当を五二点としたこと。
(5) 理学療法
1の(6)と同様であること。
(6) 処置及び手術
ア 前回(昭和四十二年十二月)の診療報酬の改定の際、医科診療報酬の手術料が約八〇%引上げられたが、今回は歯科診療報酬において手術について点数を一律八〇%引上げたこと。
イ 七〇点以上の処置及び手術並びに特に規定する処置については、特定薬剤を使用した場合においても、特定薬剤料は別に算定できないこととしたこと。
ウ 今回新たに七〇点以上の処置若しくは特に規定する処置については、表面麻酔、浸潤麻酔及び簡単な伝導麻酔の費用を含むものとし、別に算定できないこととしたこと。
エ 歯髄覆罩、即日充填処置、根管拡大の加算、歯肉圧排及び歯根嚢胞摘出術の点数を新設したこと。
オ 処置については、次のような適正化、合理化を行なうとともに点数を再評価したこと。
(ア) 歯石除去及び盲嚢掻爬の算定方法を三分の一顎を単位として算定することとしたこと。
(イ) 根管治療等についてその算定方法を根管数により二区分としていたのを三区分にしたこと。
(ウ) 歯石除去及び歯冠修復物又は欠損補綴物の除去の算定方法を簡単なものと複雑なものと二区分にしたこと。
(エ) 生活歯髄切断の算定方法について、単根、複根の区別を廃止したこと。
カ 輸血を第5部から第7部第2節に移し、甲表と同点数同一取扱いとし、第2節の特定薬剤料を第3節としたこと。
(7) 麻酔
ア 前回の診療報酬の改定の際に、甲表の麻酔料の八〇%引上げに併せ、八〇%引き上げた項目以外の麻酔について、一律八〇%引上げたこと。
イ 閉鎖循環式全身麻酔について点数を六〇〇点に引き上げたこと。
ウ 閉鎖循環式全身麻酔に注を追加し、氷を使用した場合はその費用を算定できることとしたこと。
(8) 歯冠修復及び欠損補綴
ア 鋳造歯冠修復のうち、全部鋳造冠、前歯の四分の三冠又は臼歯の五分の四冠の場合には五〇点を加算することとしたこと。
イ 歯冠修復の費用には、歯冠形式(支台形成)の費用を含むこととされているが、全部鋳造冠前歯の四分の三冠、臼歯の五分の四冠又はジャケット冠を作成するため、生活歯の歯冠形成を行なつた場合には別に五〇点を算定できることとしたこと。
ウ 印象採得の費用は有床義歯、ブリッジ及び義歯修理の場合に算定できることとなつているが、今回歯冠修復物についても、現行点数から印象採得に相当する点数を分離し、印象採得の点数を新設し、また有床義歯、ブリッジ及び義歯修理の印象採得の算定方法を三区分に改めたこと。
エ 装着の費用は脱離した歯冠修復物の装着の場合にのみ別に算定することとなつているが、これを新たに行なう歯冠修復及び欠損補綴についても現行の点数から装着に相当する点数を分離し、装着の点数を新設したこと。
オ 各項目間の不均衡是正のため鋳造歯冠修復等について点数を改めたこと。
カ リベースの点数を新設したこと。
3 別表第四診療報酬点数(乙)の一部改正について
(1) 初診料
ア 現行二八点を三〇点に引き上げたこと。
イ 深夜加算の点数二三・八点を四四点に引き上げたこと。
(2) 再診料
ア 現行三点を本年二月一日から六月三十日までは四点、七月一日以降は五点としたこと。
イ 内科加算を廃止し、新たに内科再診料を再診の注1.において設けたこと。
なお、これを算定し得る場合は、改正前の内科加算を算定し得る場合と同様であること。
深夜加算については(1)のイと同様であること。
(3) 検査料
ア 甲表において基本診療料に含まれる検査については、一般検査とし、一部の項目について一括算定することに改めたこと。
イ 甲表の特掲診療料に掲げられている検査については、甲表に準拠して同一項目、同一点数としたこと。ただし、薬剤料の算定にあたつては第2部の処方料及び調剤料並びに第5部の注射料を加算できることとしたこと。
(4) レントゲン診断料
検査料の改正に伴い所要の字句整理を行なつたこと。
(5) 処置料
ア 現行第3部検査料にある食道ブジーについては、検査料を甲表に準拠して改正したことに伴い、第6部の第7一般処置に移したこと。
イ 第5耳鼻咽喉科処置の耳処置二点を、片側毎に中耳又は外耳のいずれか一処置を行なつた場合三点、中耳及び外耳の二処置を行なつた場合五点としたこと。
ウ 鼻処置、口腔処置、咽頭処置、喉頭処置の二点を三点に引き上げ、鼻処置の麻薬加算を廃止したこと。
エ 鼻、口腔、咽頭処置の二以上行なつたもの六点は五点に改めたこと。
オ 鼻洗浄二点を鼻処置、口腔処置又は咽喉処置をあわせ行なつた場合二点とし、これ以外の場合を三点に改めたこと。
(6) 理学療法料
ア 放射線治療について、甲表に準拠して同一項目、同一点数としたこと。
イ 整形外科機能訓練の点数九・一点を一〇点に引き上げたこと。
(7) 手術料
ア 胃全摘除術等について、点数の新設を行なつたこと。
イ 抜歯術については、1の(7)の(イ)と同様であること。
ウ 輸血の点数を若干引上げ、輸血の点数に含まれる検査の範囲を明確にし、交換輸血の点数(一五〇〇点)を新設したこと。
エ 第10部麻酔の新設に伴い、所要の字句整理を行なつたこと。
(8) 麻酔料
ア 第9部10麻酔を、第10部麻酔とし、甲表と同一項目、同一点数としたこと。
(9) 入院料
1の(3)と同様であること。
(10) 入院時医学管理料
1の(4)と同様であること。
4 別表第六調剤報酬算定表の一部改正について
(1) 調剤料
ア 内用薬を内服薬、浸煎薬に改め、二〇円を二六円に引き上げたこと。
イ 屯服薬二〇円を二六円に引き上げたこと。
ウ その他(一調剤につき)二九円を三八円に引き上げたこと。
エ 自家製剤加算を算定できる薬剤の範囲を拡大し、また、加算金額一〇円を三〇円に引き上げたこと。
第三 その他
1 看護、給食、寝具設備の基準の一部改正について
(1) 昭和四十三年十月一日医療法施行規則が改正され、看護婦及び準看護婦の員数の標準の算出の際対象となる入院患者数に収容されている新生児(生後二八日以内)を含むこととされたので、今回基準看護における看護婦等の必要数の算定についても、その産出基礎に収容されている新生児を含むこととしたこと。なお、この改正は、昭和四十五年十月一日から適用されるものであること。
(2) 基準看護の加算点数が改正されたことに伴い、所要の改正を行なつたこと。
2 歯科材料価格基準の一部改正について
現行の歯科材料基準は、昭和四十二年九月及び十月分の販売価格の調査結果に基づき定められていたものであるが、今回当省薬務局が行なつた昭和四十三年九月及び十月分の販売価格についての調査結果がまとまつたので、それを基に実勢価格の推移に即して改正したものであること。
3 慢性疾患並びに特定の薬剤、治療材料等及びその価格の一部改正について
(1) 特定治療材料及び特定検査用試薬について、品目を追加したこと。
(2) 麻酔の部を新設した前記第二の改定に伴い所要の字句整理を行なつたこと。
(3) 調剤報酬算定表第一節に規定する自家製剤加算を算定できない薬剤について別表一二を追加し、同表で定めたこと。
4 その他
(1) 改正後の点数表は、昭和四十五年二月一日以降に行なわれる療養に係る費用の額の算定について適用されるもので、昭和四十五年一月三十一日までに行なわれた療養に係る費用の額は、改正前の点数表によつて算定されるものであること。
なお、適用日が異なつている改正及び点数が昭和四十五年七月一日にも変更するものについては、その周知徹底方につき特に留意すること。
(2) 健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法の一部改正に伴う保険医療機関及び保険薬局の療養の給付に関する費用の請求に関する省令等の一部改正(診療報酬請求明細書の各様式の改正)については、近く公布の予定であり、また、今回の診療報酬点数表等の改正に係る運用上の留意事項については、別途通知の予定であること。
別添 略