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○健康保険法の一部を改正する法律の疑義について(抄)

(昭和三二年九月二日)

(保険発第一二三号)

(各都道府県民生部保険課長・各社会保険出張所長あて厚生省保険局健康保険課長通知)

本質疑応答においては、改正後の健康保険法を「新法」、改正前の健康保険法を「旧法」、保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する政令を「指定政令」、健康保険法施行規則を「則」、保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令を「指定省令」、健康保険組合を「組合」、社会保険診療報酬支払基金を「基金」、病院及び診療所を「医療機関」とそれぞれ略称するものとする。

一 被扶養者に関する事項

〔主として〕

(問1)新法第一条第二項各号に規定する「主トシテ、、、生計ヲ維持スル」の判定は、個々の事例において非常に困難であると考えられるので、運営上被扶養者が他より受ける収入等により一線を画し、たとえば五、〇〇〇円以上収入あるものは被扶養者と認めない等の取扱としてさしつかえないか。

(答)被扶養者の認定をする場合において、一定額以上の収入のある者は認めない等の画一的な取扱をすることは適当でない。

〔同一世帯〕

(問2)新法第一条第二項第二号から第四号までに規定する「同一ノ世帯ニ属シ」とは、旧民法上における「家」と同一の意義であり、同一戸籍内に入つていればよいと解すべきか。

(答)旧民法における「家」又は戸籍を同じくする等とは関係ない。

〔三親等内〕

(問3)新法第一条第二項第一号に規定する「被保険者ノ直系尊属」とは血族のみをいい、同条二号に規定する「被保険者ノ三親等内ノ親族」とは血族および姻族をさすのか。また、同条第一号、第三号及び第四号に規定する父母および子とは養父母、継父母、養継子の何れをも含むものか。

(答)「被保険者ノ直系尊属」とは、被保険者の父母、祖父母等被保険者の父母をいい、直系血族である。

「三親等内ノ親族」には、血族のほか、当然姻族も含まれる。養父母及び養子は、父母及び子に含まれる。継父母及び継子は、父母及び子には入らないが、三親等内の親族に含まれる。

(問4)入籍していない養子は三親等内の親族に入らないと思うが、どうか。

(答)養子縁組の届出がなされていない者は、親族関係にはない。

〔その他〕

(問5)被扶養者の範囲が改正になつたが、これについて従来通知された事項のうち、年齢十六歳未満、六十歳以上の者の取扱に変更はないか。

(答)被扶養者の認定に際して十六歳以上、六十歳未満の者について、特に厳格に取り扱うという趣旨は、通常就労し得る状態にあるから、特に就労の事実、収入の有無等を調査して認定するということである。従つて、この取扱の方針を改める考えはない。

(問6)新法附則第二条第一号によれば、その傷病手当金を受けている限りにおいては、被扶養者としての資格があるものとされているので、この間については被扶養者として受けることができる保険給付(家族療養費、家族埋葬料等)を受給することができるものと考えられるがどうか。

(答)新法附則第二条第一号は、法律改正によつて被扶養でなくなる者に関し、昭和三十二年五月一日現に保険給付がなされているものについては、被保険者の受給権を保護する意味において、その保険給付に限り、引き続き被扶養者とみなしているのであつて、その傷病及びそれらにより発した疾病による傷病手当金以外の保険給付(家族療養費、家族埋葬料等)は、受給することはできない。

二 標準報酬に関する事項

(問1)(1) 昭和三十二年三月の標準報酬月額が三六、〇〇〇円である者の法律改正に伴う標準報酬について、新法第三条第四項による随時改定と競合する場合であつても、新法附則第三条の規定により、標準報酬の決定を行い、随時改定は五月から行うよう指示されているが、かかる措置の根拠如何。

(2) 前項により五月から随時改定を行うとすれば、その報酬月額の算定基礎月(三箇月)はいずれの月によるべきか。また新法第三条第四項の「其ノ者ノ標準報酬」は四月に格付した標準報酬を基礎とすべきか。三月の標準報酬を基礎とすべきか。

(3) 従つて、次の事例について何等級とすべきか。

(イ) 昭和三十二年三月の標準報酬月額が三万六千円である者について、新法附則第三条により同年四月一日に資格を取得したものとして標準報酬を算定した結果、十九級に下つた場合の四月の等級。

(ロ) 昭和三十二年三月の標準報酬月額が三万六千円である者について、新法附則第三条により、同年四月一日に資格を取得したものとして算定すれば二十一級となるが、一月、二月及び三月の報酬月額を基礎とすれば二十二級となる場合の四月の等級。

(答)(1) 新法附則第三条に規定されているとおり、法律改正に伴う経過措置として、昭和三十二年三月の標準報酬月額が三万六千円である者については、すべて同年四月一日に資格を取得したものとみなし、標準報酬を決定するものである。

(2) 基礎月は二月、三月及び四月の三箇月であり、四月に決定された標準報酬の基礎となつている報酬月額を基とするものである。

(3)(イ) 十九級と決定する。

(ロ) 二十一級に決定することになる。

(問2)新法附則第三条により算定したとき従前の二十級の者が逆に等級が下る場合も考えられるが、この取扱はどうするか。

(答)従前の等級より下がる場合であれば、下つた等級とする。

(問3)昨年八月、定時決定において報酬月額六万円であつたので標準報酬月額三万六千円と決定したが、その後この被保険者は疾病のため休業し、現在に及んでいる。今回の法律改正による本年四月からの等級は何級とすべきか。事業主より賃金の支給は受けておらず、傷病手当金の支給を受けているものである。

(答)第二十五等級五万二千円と決定すべきである。

三 一部負担金に関する事項

〔初診の際〕

(問1)柔道整復師の施術を受ける際の一部負担はどのようになるか。

(答)新法第四十三条ノ八に規定されている一部負担による。従来、柔道整復師会との協定により、五十円若しくは四十六円と額を定め、又は従来の一部負担を引用しているようなものについては、当然新法の一部負担の実施される七月一日から、新法による保険医療機関におけると同内容の一部負担金に協定を改訂する必要がある。

(問2)保険医療機関の窓口において初診の際の一部負担金として百円を支払つたが、診療の結果、初診の際の療養に要する費用が百円未満であつた場合には、診療後に差額を現金で被保険者に還付するものか。

(答)設問のとおり初診の際の療養に要する費用が百円未満のときには、一部負担はその額であるから、もし窓口において事前に一率に百円を徴収したような場合は、差額は現金で返還しなければならない。

〔入院の日〕

(問3)新法第四十三条第三項第二号又は第三号に掲げる医療機関について入院の一部負担金の支払を免除されている場合であつて、当該医療機関に十日間入院し、その後、他の一般保険医療機関に転医入院したときは、入院の一部負担金は何時から起算するか。

(答)入院の一部負担金は、同一の傷病及びこれらにより発した疾病につき初めて健康保険による入院の給付を受けた日から起算することとなつているから(新法第四十三条ノ八第二項)、当該医療機関における入院が健康保険による給付であれば、その初日から起算する。

(問4)入院の給付を受けている者が、同日中他に転医入院した当日は、前後の保険医療機関にそれぞれ一日三十円の一部負担金を支払うべきか。

(答)入院の一部負担は、保険医療機関ごとに一日につき三十円であるから、同一日においてA病院を退院、B病院に入院したような場合には、それぞれの病院ごとに三十円ずつ計六十円を支払わなければならない。

(問5)入院の一部負担金について、総合病院で同一日に内科から外科へ手術のため転科した場合は、三十円か六十円か。

(答)総合病院の各診療科が問題となるのは、初診の際の一部負担金についてであり、入院の一部負担は、一保険医療機関ごとに一日につき三十円であるから(新法第四十三条ノ八第一項第二号)、たとえ総合病院の各科にわたつても三十円でたりる。

(問6)昭和三十二年六月二十日に入院、同月二十五日に退院、その後病状悪化のため七月五日再入院した場合、入院の一部負担金は支払うべきか。昭和三十二年七月一日に当該疾病についてはじめて入院した場合はどうか。

(答)入院の一部負担金は、同一の傷病及びこれらにより発した疾病につき、初めて入院の給付を受けた日から起算して一月を経過するまで支払うわけであるから、設問の場合、同一の傷病及びこれらにより発した疾病に関する再入院であれば、七月五日から七月十九日(六月二十日から一月を経過する日)までの十五日間について支払うこととなる。

また七月一日から入院したときは、支払を必要とする。

(問7)昭和三十二年八月一日より胃潰瘍のため入院中に、八月二十五日肺結核を併発し、その後九月十日に至つて胃潰瘍は治ゆしたが肺結核についてなお引き続き入院加療を要する場合、入院の一部負担金はどうなるか。

(答)胃潰瘍と肺結核とは別個の疾病であるから、八月一日から八月三十一日までの一月間と、その後なお肺結核のため入院を必要とする期間のうち、肺結核のため入院を必要とするに至つたと考えられる日(八月二十五日)から一月を経過する日(九月二十四日)まで(九月一日から九月二十四日まで)について、支払うことが必要である。

(問8)骨折のため入院中に、二箇月後に肺結核を併発、入院を必要とし、なお骨折についても入院加療を要する場合、肺結核に係る入院の一部負担金はどうなるか。

(答)肺結核について初めて入院の給付を受けた日から一月を経過するまでは支払わなければならない。

(問9)入院の一部負担金は、毎日徴収するものと考えられるが、便宜一箇月分を取りまとめて徴収して差し支えないか。

(答)入院の一部負担金は、入院の日ごとに支払徴収するのが原則であるが、便宜事後において一括徴収の取扱としても差し支えない。

〔組合の特例〕

(問10)新法第四十三条第三項第二号に掲げる医療機関について組合規約に一部負担金減免の規定を設けずに、一般保険医療機関と同様に、被保険者に一部負担金を支払わせ、その後において支払つた一部負担金に相当する額を還元することは差し支えないか。

(答)新法附則第七条の規定による一部負担金の還元は、新法等四十三条第三項第一号に掲げる保険医療機関に一部負担金を支払つた被保険者に対して行うことができるものであり、同条同項第二号に掲げる医療機関に支払つた一部負担金について還元することはできない。

(問11)組合において新法第四十三条第三項第一号に掲げる保険医療機関に支払つた一部負担金については、新法附則第七条の規定による還元は行わず、新法第四十三条第三項第二号に掲げるものとして指定した医療機関についてのみ一部負担金の減免を行うものとすることは差し支えないか。

(答)差し支えない。

(問12)一般に開放している事業主病院であるため、新法第四十三条第三項第一号に掲げる保険医療機関であり、かつ、同項第二号に掲げる医療機関でもある病院を利用したとき、入院の一部負担金を被保険者(同項第二号の医療機関として指定した組合の組合員である被保険者)に負担させないで病院から当該組合に療養の給付として請求させることは差し支えないか。

(答)新法第四十三条第三項第二号に掲げる医療機関として指定している組合の組合員である被保険者について、設問の取扱をすることは差し支えない。

(問13)新法第四十三条第三項第三号に掲げる医療機関について一部負担金の免除をする場合は、規約に別段の規定をする必要があるか。

(答)新法第四十三条ノ十六第三項に規定されているように、組合は、新法第四十三条第三項第三号に掲げる医療機関から療養の給付を受ける者として規約をもつて一部負担金を支払わしめることができるのであり、一部負担金を支払わしめない場合は、その旨を特に規約に規定する必要はない。

(問14)保険医療機関が被保険者の負担すべき一部負担金の徴収に当り、特定の事業主と契約して給料から差し引き、又は特定の組合と契約して診療報酬として受けることとし、診療の都度徴収しないことにすることは差し支えないか。

(答)一部負担金は給付を受ける際に被保険者が直接医療機関に支払わなければならないものであり、設問のような取扱は、違法であつて、認められない。

(問15)新法第四十三条ノ九第一項の規定からみれば、保険薬局も一部負担金を徴収することがあるように考えられるが、同条により、保険薬局の一部負担金を控除して請求する場合とは、いかなる場合か。

(答)新法第四十三条ノ八第一項に規定されているように、一部負担金は保険医療機関から給付を受ける際に支払うべきものであり、保険薬局については一部負担はない。

四 保険医療組織に関する事項

〔保険医療機関〕

(問1)開設者の定義如何。

(答)医療法に規定する病院若しくは診療所の開設者又は薬事法に規定する薬局開設者をいう。

(問2)保険医療機関としての指定の効力は、開設者が変つた場合もなお存続するか。

(答)新法第四十三条ノ三第一項の規定による保険医療機関の指定は病院又は診療所について行われるから、開設者に変更があつた場合等病院又は診療所としての同一性が失われたときには、指定の効力も当然に失われ、この場合、指定の取消等の処分は必要でない。したがつて、設問の場合は、あらためて保険医療機関としての指定を受けなければならない。

(問3)保険医療機関又は保険薬局の指定の申請があつたときは、すべて地方社会保険医療協議会にその可否を諮問すればたりるのか。又は新法第四十三条ノ三第二項に規定されているように、その指定を拒むときは、そのケースのみその議に依ればよいのか。

(答)新法第四十三条ノ三第二項に規定されているとおり、都道府県知事が指定を拒むときには、地方社会保険医療協議会の議に依ることが必要であり、また、指定するものについても、新法第四十三条の十四に規定されているように、すべて地方社会保険医療協議会に諮問しなければならない。

(問4)地方社会保険医療協議会に対する保険医療機関の指定に関する諮問について、申請書の提出を待たずに、指定したいということで諮問することは差し支えないか。

(答)新法第四十三条ノ三第一項に規定されているとおり申請があつたものについて指定するものであつて、その手続については指定省令第一条に規定されており、申請書の提出がないものについては指定することはできない。

(問5)保険医療機関の指定に関する地方社会保険医療協議会の意思の決定について、小委員会又は部会を設け、そこにまかせることは差し支えないか。

(答)地方社会保険医療協議会の決定により、小委員会又は部会を設置し、その決定をもつて当該医療協議会の決定とすることは差し支えないが、小委員会又は部会は、保険者、事業主、療養担当者及び公益の四者の利益代表を平等に含むように構成されなければならない。

(問6)新法第四十三条ノ十四第二項において、保険医療機関の指定は、地方社会保険医療協議会に諮問することになつているが、事務のはんさ❜❜❜をさける意味で、事例によつては、一応指定したうえで、事後承認の形式をとつても差し支えないか。

(答)新法第四十三条ノ十四第二項に規定されているとおり、指定は地方社会保険医療協議会に諮問してから行うものである。

〔保険医〕

(問7)保険医の登録年月日は、登記等の場合と同様に、登録申請書の受理年月日として処理してよいか。

(答)保険医の登録は、その名簿に記載することによつて行うものであるから、登録の年月日は、名簿に所定の事項を記載した日である。

(問8)保険医が、県内においてA保険医療機関からB保険医療機関に異動した場合、旧法によれば、保険医の届出により変更の措置をすることになつていたが、新法では、保険医から届け出る必要はないか。

(答)保険医からは、都道府県知事に対し、なんらの届出も必要としない。ただし、指定省令第三条第一項の規定により、保険医療機関は、当該保険医に関し異動があつた旨(氏名、登録の記号番号及び担当診療科名を含む。)及び異動の年月日を届け出なければならない。

(問9)(1) 保険医の登録の申請があつた場合は、保険診療に従事すると否とに拘らず登録をしなければならないか。

(2) 保険診療に少しでも従事する医師(例へば大学病院の無給の研究生である医師)は、保険医の登録を受けなければならないか。

(答)(1) 保険医の登録を取り消され、二年を経過しない者でない限り、登録しなければならない。

(2) 貴見のとおりである。

(問10)保険医が最初に登録を受けた都道府県以外の都道府県に異動した場合、登録票の取扱について、次の事項はどうか。

(1) 指定政令第七条第五項の規定により変更後の都道府県知事は登録票を書替交付することになるが、この場合の書替は新しく登録票を作成するの意か。

(2) 変更後の都道府県知事は、単に名簿に記載すればたり、告示する必要はないか。

(答)(1) 登録票の記載事項を訂正するのではなく、新たに登録票を作成して交付する。

(2) 指定政令第九条の規定による告示は必要ない。

〔第二号、第三号の機関〕

(問11)次の医療機関は新法第四十三条第三項各号のいずれに該当するのか。

(1) 事業主が経営を組合に委託している医療機関。

(2) 組合が経営を事業主に委託している医療機関。

(3) 事業主及び組合両者の共同経営による医療機関。

(4) 組合が保険医療機関内に病棟を設置し、経営委託している場合の病棟(いわゆる委託ベット)。

(答)(1)及び(2)、開設者が事業主の場合は新法第四十三条第三項第二号に掲げる医療機関、健康保険組合の場合は同項第三号に掲げる医療機関となる。

(3) 共同経営であつても、開設者はそのうち一人であるから、開設者が事業主の場合又は健康保険組合の場合により、前号と同様である。

(4) 委託ベットそのものは医療機の施設の一部であるから、当該医療機関が保険医療機関であれば、組合との関係においても同様である。なお当該ベットにかかる診療報酬については新法第四十三条ノ九第三項の規定により割引契約を結ぶことができる。

(問12)新法第四十三条第三項第二号に掲げる病院が、他の特定の組合(友誼の一組合)の組合員の診療を行う場合は保険医療機関としての指定を受けなければならないか。

(答)当該医療機関は、新法第四十三条第三項第二号として指定を受けている組合の組合員である被保険者のために設立されたものであつて、他の特定の組合の組合員である被保険者のために設けられたものでないから、保険医療機関としての指定を受けなければならない。

(問13)保険医療機関としての指定を受けた事業主病院が、保険者を二、三に限定し、この被保険者及び被扶養者のみを診療し、他の保険者に係る被保険者及び被扶養者の診療は行わないとすることは差し支えないか。

(答)保険医療機関は、すべての被保険者及び被扶養者の診療を行うものであり、一部の被保険者及び被扶養者に限定することはできない。

(問14)政府の管掌する健康保険の適用事業所の事業主がその従業員のために開設する診療所は、新法第四十三条第三項第二号に掲げる医療機関になりうるか。

(答)新法第四十三条第三項第二号に掲げる医療機関は、特定の保険者の管掌する被保険者のためのものであるが、それらの被保険者については平等でなければならないから、設問の場合はなりえない。

(問15)健康保険組合たる保険者の開設する病院若しくは診療所又は薬局は、保険医療機関としての指定を受けなければその他の被保険者の診療を行うことはできないか。

(答)保険医療機関の指定を受けなければならない。

〔診療報酬〕

(問16)保険医療機関と割引契約を結んでいるものについては、基金を経るを要しないか。

(答)保険医療機関については、すべて基金を経由して請求することとなつているので、割引契約にかかる分についても基金を経由する。

(問17)新法第四十三条ノ九第四項は、基金による診療報酬の審査支払を規定しているが、新法第四十三条第三項第二号の医療機関については、審査を要しないことと思われ、県としてこれら第二号の医療機関に対して指導上具体的に如何に取り扱つたらよいか。

(答)社会保険医療の運営の適正を期するため、基金において審査を受けるよう指導されたい。

(問18)従来、診療報酬について割引を行つていた普通地方公共団体(市)の経営する病院及び診療所を、当該公共団体の事務に従事する職員の保険を管掌する保険者(組合)が、新法第四十三条第二項第二号に掲げる医療機関として指定しうるものか。また、組合は割引契約を締結したいと思うが、可能か。

(答)当該医療機関が市民一般という不特定多数の者の診療を行うために設立されたものであれば、保険医療機関であり、新法第四十三条第三項第二号に掲げる医療機関として指定することはできない。なお、組合は新法第四十三条ノ九第三項の規定により診療報酬の割引契約を締結することができる。また、健康保険組合を設立する事業所の事業主が、当該事業所の従業員に限らずその他の者の診療を行うために開設した病院又は診療所例えば日赤病院、非現業共済病院、労災病院等についても、右と同様である。

〔経過措置その他〕

(問19)保険医が昭和三十二年五月一日前に他県より転入してきて、五月一日現在未だ異動届を提出せずその後提出してきた者及び五月一日前に異動届は提出されたが五月一日現在で未告示のものは、旧法新法何れによつて処理すべきか。

(答)異動届の提出、届書の処理の有無にかかわらず転入先の都道府県知事の管轄となる。

なお、設例の保険医は、新法附則第八条第一項の規定により保険医の登録を受けたものとみなされる者であるから、当該都道府県において、名簿の備付け登録票の交付等を行うわけである。また、未提出の異動届はすみやかに届出させ、変更の事項を告示するものとする。

(問20)昭和三十二年五月一日前に旧法第四十三条ノ四第一項の厚生大臣の定めに違反したものについては、新法第四十三条ノ十三の規定により保険医の登録を取り消すことができるか。保険医療機関については如何。

(答)前段については新法附則第八条第三項に定められているように、設問のとおりであるが、後段については、旧法においては機関指定の制度がなかつたのであるから、旧法時における違反をもつて新法による保険医療機関の責任としてその指定取消を行うことはできない。

(問21)昭和三十二年五月一日前に診療報酬の不正請求又は監査の拒否の事実があつたものについて、五月一日以後にその処分を行う場合、保険医の登録を取り消すことができるか保険医療機関については如何。

(答)保険医の登録を取り消すことはできるが、保険医療機関の指定取消はできない。なお、新法附則第八条第五項の規定によりその者の診療につき保険医療機関の指定を受けたものとみなされているものであれば、保険医の登録取消によつて、機関指定を受けたものとはみなされなくなる。

(問22)新法第四十三条ノ十五中「弁明ノ機会ヲ与フルコトヲ要ス」とは、口答又は文書によるいずれの弁明でもよいものと解せられるがこの場合代理人の弁明でもよいか。

(答)弁明は、口答又は文書のいずれでも差し支えない。

なお、代理人の弁明も差し支えないが、委任状等による正当な代理人であることの確認が必要である。

五 その他

〔資格喪失後継続給付〕

(問1)略

(問2)新法附則第十一条の規定中昭和三十二年五月一日において現に旧法第五十五条の規定により保険給付を受けている者には、保険給付を受けうる者も含まれるか。

(答)昭和三十二年四月三十日退職、五月一日資格喪失し、五月一日から資格喪失後継続給付を受ける者については、新法附則第十一条の適用はないが、昭和三十二年四月二十五日退職、資格喪失後継続給付を受ける要件を具備し、五月一日においてその手続中である等現に受給中でないが法律上の受給権があり保険給付を受けうる状態にある者は新法附則第十一条の対象となる。

〔不正利得の徴収〕

(問3)新法第六十七条ノ二第一項の「○○○○全部又ハ一部ヲ徴収スルコトヨ得」と同条第二項の「○○○○連帯シテ同項ノ徴収金納付スベキコトヲ命ズルコトヲ得」とはともに法第十一条にいう「本法ノ規定ニヨル徴収金」に含まれるか。延滞金は徴収しうるか。又「連帯シテ」については民法の連帯債務の規定を準用すべきや、否や。

(答)新法第六十七条ノ二第一項及び第二項ともに第十一条の本法の規定による徴収金であり、指定した期限までに納付しないときは延滞金徴収の対象となる。なお、「連帯シテ」の考え方は、民法の連帯債務と同様である。

(問4)新法第六十七条ノ二第一項中「全部又ハ一部ヲ徴収スルコトヲ得」とあるのは情状によつてはその一部だけを徴収してもよいという意味か。

(答)情状によるという趣旨ではない。字句的に保険給付という広い表現をとつた関係上、詐欺その他の不正行為により受けた分が、その一部であることが考えられるので、全部又は一部としたものであつて、詐欺その他の不正行為によつて受けた分はすべてという趣旨である。

(問5)新法第六十七条ノ二第一項の規定は、保険事故が昭和三十二年五月一日以降(当然不正行為も五月一日以降)のものについてのみ適用されるのか。それとも詐欺その他により徴収を決定した日が五月一日以降であればよいのか。

(答)保険給付を受けたのが、昭和三十二年五月一日以降のものについて(保険事故の発生が同日前のものであつても)、適用される。

〔検査権〕

(問6)新法第九条ノニ、第四十三条ノ十の規定において提示、出頭についての権限が認められており、それぞれ罰則等により担保されているが費用弁償の義務はないか。

(答)事業主、保険医療機関の開設者、保険医等に対し行政上の必要により出頭を求めた場合には、費用の弁償をする必要はない。

(問7)新法第九条第一項に「当該職員ヲシテ関係者ニ対シ」質問をなさしめることができるとあるが、被扶養者もこの関係者の中に含まれるのか。

(答)「関係者」とは事業所の関係者であるから、被扶養者は含まれない。

〔その他〕

(問8)新法第十一条第一項ただし書による法第七十九条ノ二の督促の例外によつて、第十一条第三項ただし書は不用ではないか。

(答)新法第十一条第一項ただし書は、いまだ第七十九条第一項に規定する保険料の納期限(翌月末日)が到来しない間に、第七十九条ノ二各号の事由が発生し、同条により繰上徴収をする場合であつて、その繰上徴収により指定した納期日をすぎ滞納しているときには、督促をする必要がない。(督促を要せずして滞納処分をすることができる。新法第十一条ノ二第一項参照)という趣旨のものであり、これに対し同条第三項ただし書は保険料の納期限(翌月末日)を経過した後であつて督促状を発する間に、第七十九条ノ二各号のような緊急な事由がある場合は、督促状はだすが、それにより指定する期限は必ずしも通常の督促状のように十日以上を経過した日でなく、十日以内であつても差し支えないということである。

(問9)則第五十三条において法第四十四条前段、後段とも申請に改めた理由如何。

(答)法第四十四条は前段、後段ともに「保険者ハ○○○認メタルトキ又ハ○○○○保険者ガ其ノ必要アリト認メタルトキ」と保険者の認定にかかつており、従来の「届出」よりも「申請」がより適切であるので、改めたものである。

(問10)法第四十七条第二項中「継続シテ」と言う字句が削除されているが、これは単なる字句の整理と止まるものかどうか。