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○抗生物質の使用基準

(昭和三七年九月二四日)

(保発第四二号)

(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)

抗生物質の使用基準

目次

第一 抗生物質の種類

第二 治療方針

第三 各抗生物質の使用基準

第一 抗生物質の種類

1 ペニシリン系薬剤

1の2 合成セフアロスポリンC系薬剤

2 マクロライド系薬剤(エリスロマイシン群抗生物質)

2の2 リンコマイシン(LCM製剤)

3 ノボビオシン

4 テトラサイクリン系薬剤

5 クロラムフエニコール

6 ストレプトマイシン

7 カナマイシン

8 コリスチン

9 ポリミキシンB

10 パロモマイシン

11 フラジオマイシン(附フラジオマイシン-バシトラシン合剤)

12 ミカマイシン

13 グラミシジンJ

14 サイクロセリン

15 バイオマイシン

15の2 カプレオマイシン

16 トリコマイシン

17 オーレオスリシン

18 バリオチン

19 ナイスタチン(NYS)

19の2 ペンタマイシン(PTM)

19の3 アザロマイシンF(AZM)

19の4 ピマリシン

19の5 アムホテリシンB(AMPH)

20 グリセオフルビン

21 ザルコマイシン

22 マイトマイシン

23 カルチノフイリン

24 クロモマイシン

第二 治療方針

1 抗生物質療法を行なうにあたつては、まず対象となる疾病の診断を臨床的に確定するばかりでなく、診療上必要な場合には細菌学的診断を行なう。

2 抗生物質療法においては、特にすみやかな診断に基づく早期治療を行なう必要がある。

3 抗生物質療法を行なうに際しては、安静療法、食餌療法等の一般的療法をおこたらず、また手術療法、血清療法等他の有効な療法も併用し、対症療法については、その必要性を認めた場合に行なう。

4 抗生物質の使用に際しては、耐性菌の出現、抗生物質に対する過敏性の獲得を考慮し、その乱用をつつしみ、常に副作用の発現に注意し、アレルギー反応、特にアナフィラキシーショックに対しては適切な防止策を講ずるとともに、反応が起きた場合、ただちに適切な措置を講ずることができる準備をしておくことが必要である。

5 抗生物質の選択にあたつては、その疾病に最も有効な薬剤の使用を第一条件とする。副作用に十分留意するとともに、同一効果をもたらす薬剤間の選択にあたつては、経済的考慮を払う。

6 抗生物質相互並びに他の化学療法剤との併用は、併用により病原体の耐性出現を防止することができる場合、明らかに著しい治療効果を期待することができる場合、副作用を軽減することができる場合、又は一種をもつてその目的を達成することが困難な場合とする。また、これらの配合剤の使用についても同様とし、使用法及び使用量はその配合剤の組成に応じた適切なものとする。

7 抗腫瘍性抗生物質の効果は普遍的には期待し難いから、手術療法、放射線療法等と総合的に考慮しつつ使用するものとし、臨床効果の乏しいときは漫然と継続せず、他の薬剤への転換を考慮する。また、使用に際しては常に薬剤による副作用及びその防止に留意し、必要に応じて患者の血液検査、肝機能検査等を行ない、副作用の著しいときは、ただちに当該薬剤の投与を中止する。

第三 各抗生物質の使用基準

使用量は疾病の種類、症状、年令等に応じて加減する必要があるが、次に掲げる量は、特にことわりのない限り成人の場合の標準量とする。

1 ぺニシリン(PC)系薬剤

(1) 適応症

ア グラム陽性球菌(連鎖球菌、ブドウ球菌、肺炎球菌)感染症

イ グラム陰性球菌(淋菌、髄膜炎菌)感染症

ウ スピロヘータ感染症

エ 放線菌症

オ ガス壊疽

カ 破傷風

キ 脾脱疽

ク ジフテリア

ケ 創傷、熱傷及び無菌手術の感染予防

(2) 標準的使用法及び量

ア 筋肉内注射

油性剤、水性剤、複合剤は一日一回三〇~六〇万単位を注射する。

ただし、ジベンジルエチレンジアミンジペニシリンG(バイシリン、BC)、注射間隔は、その持続効力より見て三日に一回とする。可溶性剤は一回量五~一〇万単位を三~四時間毎に、又は一回量二〇~三〇万単位を一日一~二回に注射する。ペニシリンGその他の抗生物質耐性ブドウ球菌感染症の場合には、ジメトキシフェニルペニシリン(DMP―PC)一回一gを四~六時間毎に、又はメチルフェニルイソキサゾリールペニシリン(MPI-PC)一回二五〇~五〇○mgを六時間毎に注射する。

イ 静脈内注射

急を要する場合に限り可溶性PC一回三~一〇万単位を二~五時間毎に注射する。ペニシリンGその他の抗生物質耐性ブドウ球菌感染症の場合にはジメトキシフェニルペニシリン一回一gを六時間毎に注射する。小児にあつては、一日量体重一kgにつき五〇~一〇〇mgとする。

ウ 経口投与

普通内服用PC、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV、PC―V)及びフェノキシエチルペニシリン(PE―PC)では一回四〇万単位を四~六時間毎に与える。バイシリン、ジベンジルエチレンジアミンジペニシリンV(バイシリンV、BC―V)も同様とする。ペニシリンGその他の抗生物質耐性ブドウ球菌感染症の場合には、メチルフェニルイソキサゾリールペニシリン一回二五〇~五〇〇mgを六時間毎に与える。

エ 骨髄内点滴注射

静脈内注射の行ない難い場合は、可溶性PC一回五~一〇万単位程度を用いる。

オ 髄腔内注入

化膿性髄膜炎等の場合、可溶性PC一回一~二万単位一日一回を標準とする。小児の場合は、一回量一万単位以下とする。

カ 経気道注入

肺壊疽、肺膿瘍等の場合、可溶性PC一日一回五~二〇万単位を注入する。

キ 胸腔内注入

膿胸等の場合、可溶性PC一回五~一〇万単位を注入する。

ク 関節腔内注入

感受性菌による化膿性関節炎の場合、可溶性PC一日一回五~一〇万単位を排膿後関節腔内に注入する。

ケ 病巣内注入

限局性膿瘍等にあつては、穿刺排膿後一ml中一、〇〇〇単位又はそれ以上の可溶性PCを含む液を一日一回病巣に注入する。膿瘍を形成しない浸潤部に用いることもある。

コ 動脈注射

四肢頭部等の重症化膿症に対しては必要によつては主幹動脈に衝撃的に可溶性PC一回五~一〇万単位を一日一~二回注射する。

サ 外用法

(ア) 外科、皮膚科、産婦人科、泌尿器科等において、外傷、熱傷等の細菌感染予防又は感染症の治療に用いる。

外用には軟膏、膣錠、溶液、粉末を使用する。軟膏は一g中一、〇〇〇~五、〇〇〇単位含有のものを局所に貼布する。

溶液は、可溶性PC一ml中二五○単位以上の濃度として通常局所注射、注入、湿布として用いる。

(イ) 耳鼻科においては、点耳、点鼻は一ml中一、〇〇〇~三、〇〇〇単位の濃度のものを、耳浴、副鼻腔注入には一ml一~二万単位のものを用いる。

(ウ) 眼科においては、点眼用には一ml中一、〇〇〇~二〇、〇〇〇単位又はそれ以上のものを用い、軟膏は一g中一、〇〇〇~一〇、〇〇〇単位又はそれ以上のものを用いる。涙嚢内注入には一ml中二~五万単位の溶液を用いる。

(エ) 口腔・咽頭粘膜の感染症の治療及び感染防止には、トローチ一日量六~九個を口腔内に使用する。

シ 手術後の局所使用

開腹術その他複雑なる手術後の感染予防には、一回一〇万単位を局所に使用する。

ス 噴霧吸入

一ml中五、〇〇〇単位以上のものを用い、噴霧吸入器をもつて副鼻腔、上気道等の局所に使用する。一回の使用量は五~一〇万単位とする。

セ 眼球内使用

(ア) 硝子体内注射

一ml中一~二万単位のものを〇・一~〇・二ml用いる。

(イ) 前房内注射

一ml中一~五万単位のものを〇・一~〇・二ml用いる。

(ウ) 角膜内注射

一ml中一~二万単位のものを〇・一ml用いる。

(エ) 結膜下注射

一ml中五~一〇万単位又はそれ以上のものを〇・三~一・〇ml用いる。

(3) 前記(2)により難い疾病については、次に掲げるところによる。

ア 敗血症、化膿性髄膜炎

軽症の場合には標準的使用量をもつて足りるが、重症の場合、病原菌の抵抗性の如何によつて一日量一二〇~二四〇万単位の可溶性PCを三~四時間間隔で投与し、下熱後一週間は継続する必要がある。

イ 細菌性心内膜炎

菌の種類によつて可溶性PC一日量一〇〇~五〇〇万単位を六~八回に分割注射する。下熱後二~三週間治療を継続する必要がある。

ウ 放線菌症

可溶性PC一日量五〇~一〇〇万単位を筋注し、三~四週間継続する。

エ 腎周囲炎

一日量六〇~九〇万単位を一〇~一四日間使用する。

オ 急性中耳炎の骨融解期、錐体炎、内耳炎、頭蓋内合併症一日量六〇~一二〇万単位を多くは手術の前後に使用する。

カ ワイル病

早期に治療を開始し、一日量五〇〇万単位を必要とする。

(4) 梅毒、淋病に対する使用は「性病の治療指針」の定めるところによる。

附 アミノベンジルペニシリン(AB―PC)

(1) 適応症

次に掲げる感染症(他の抗生物質が無効と判断されるか又は副作用の著しい場合)

ア グラム陰性桿菌(サルモネラ菌・赤痢菌・大腸菌・変形菌等)感染症

イ グラム陽性球菌(連鎖球菌・ブドウ球菌・肺炎球菌等)感染症

ウ グラム陰性球菌(淋菌・髄膜炎菌)感染症

エ スピロヘータ感染症

オ 放線菌症

カ ガス壊疽

キ 脾脱疽

ク ジフテリア

ケ その他本剤に感受性を有する病原体による感染症

コ 創傷、熱傷及び無菌手術の感染防止

(2) 標準的使用法及び量

ア 経口投与

一回二五〇~五〇〇mlを六時間毎に与える。

イ 筋肉内注射

症状重篤その他の理由によつて経口投与の困難な場合に限り行なう。

一回二五〇~五〇〇mlを六時間毎に注射する。

1の2 合成セフアロスポリンC系薬剤

(1) 適応症

次に掲げる感染症(他の抗生物質が無効と判断されるか若しくは副作用の著しい場合、又は症状重篤その他の理由により経口投与困難な場合)

ア グラム陽性球菌(ブドウ球菌・肺炎球菌・連鎖球菌等)感染症

イ グラム陽性桿菌(ジフテリア菌等)感染症

ウ グラム陰性球菌(淋菌・髄膜炎菌等)感染症

エ グラム陰性桿菌(大腸菌・肺炎桿菌・赤痢菌・チフス菌・インフルエンザ菌・百日咳菌等)感染症

オ スピロヘータ感染症

カ その他本剤に感受性を有する病原体による感染症

キ 術中、術後の感染防止

(2) 標準的使用法及び用量

成人は一日量一〇〇〇mg(力価)、小児は一日量二〇~四〇mg/kgを夫々二回に分割し、筋肉内或いは静派内に注射する。髄腔内注入は、成人一日量五〇~一〇〇mg(力価)とする。

2 マクロライド系薬剤(エリスロマイシン群抗生物質)

(1) 適応症

ア グラム陽性球菌(ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌)感染症

イ グラム陰性球菌(淋菌、髄膜炎菌)感染症

ウ ジフテリヤ

エ 破傷風、ガス壊疽

オ 百日咳及びインフルエンザ菌感染症

カ 軟性下疳

キ スピロヘータ感染症

ク リケッチア感染症

ケ 原発性非定型肺炎

コ トラコーマ

サ 帯状疱疹

シ そけいリンパ肉芽腫症

ス その他の感受性病原体による感染症

(2) 標準的使用法及び量

ア 経口投与

一回二〇〇mgを四~六時間毎に投与する。小児の場合は、一日量体量一kgにつき三〇mgを四~六回に分服する。

イ 筋肉内注射、静脈内注射

症状重篤その他の理由によつて、経口投与の困難な場合に限り行なう。

(ア) 静脈内注射

エリスロマイシン(EM)及びオレアンドマイシン(OM)では、一日量一gを六時間毎(又は六~一二時間毎)に分割投与し、小児では体重一kgにつき三~八mgを六時間毎に投与する。ロイコマイシン(LM)では、一回二〇〇~四〇〇mgを一日一~二回投与する。いずれの場合にも注入液の稀釈度及び注入時間に十分注意を要する。EM及びOMは一~二gを二四時間にわたつて点滴注射してもよい。

(イ) 筋肉内注射

EMでは一回量一〇〇~二〇〇mgを四~一二時間毎に投与する。

ウ 外用法

軟膏には一g中一〇mg含有のものを用い、重症皮膚感染症に使用する。眼科用錠剤は蒸留水一ml中五mgの溶液として用いる。眼軟膏は、一g中五mg含有のものを用いる。点耳用としては、一ml中五~二〇mgのものを使用し、耳浴には一ml中一〇~三〇ml含有のものを使用する。副鼻腔注入には一ml中五~二〇mg含有のものを使用する。膣錠は一日一~二錠を、トローチは一日六~九個を使用する。

(3) 梅毒、淋病、軟性下疳及びそけいリンパ肉芽腫症に対する使用は「性病の治療指針」の定めるところによる。

2の2 リンコマイシン(LCM)製剤

(1) 適応症

ア グラム腸性菌(ブドウ球菌・連鎖球菌・肺炎球菌等)感染症

イ グラム陰性球菌(髄膜炎菌・淋菌等)感染症

ウ その他の本剤感受性病原体による感染症

エ 術中、術後の感染防止

(2) 標準的使用法及び量

ア 経口投与

成人は一日量一・五~二・〇gを六~八時間ごとに分割投与する。小児は一日量一kgにつき三〇~六〇mgを六~八時間ごとに分割投与する。

イ 筋肉内、静脈内注射

症状重篤その他の理由によつて経口投与の困難な場合に限り行なう。

(ア) 筋肉内注射

成人は一日量〇・六~一・八gを一二~二四時間ごとに分割注射する。小児は一日量体重一kgにつき、一〇~三〇mgを一二~二四時間ごとに分割注射する。

(イ) 静脈内注射

成人は一日量一・二~二・四gを八~一二時間ごとに静脈内注射する。小児は一日量体重一kgにつき、一〇~三〇mgを八~一二時間ごとに静脈内注射する。

静脈内注射法はLCM注射液を五%ブドウ糖液又は生理食塩液二〇~五〇〇mlに加え、静脈注射又は点滴静注する。

3 ノボビオシン(NB)

(1) 適応症

ア ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌感染症及びジフテリア

イ 変形菌感染症

(2) 標準的使用法及び量

一日量一~二g、小児では体重一kgにつき二〇~五〇mgを六~一二時間毎に分割内服させる。筋肉内注射及び静脈内注射は、症状重篤その他の理由によつて経口投与の困難な場合に限り、一日量〇・五~一・五gを、小児では一日量体重一kgにつき一五~五〇mgを一~三回に分割使用する。

4 テトラサイクリン(TC)系薬剤

(1) 適応症

ア グラム陽性又は陰性球菌感染症

イ グラム金性桿菌(インフルエンザ菌、フリードレンデル菌、ジユクレー菌、大腸菌、エロゲネス菌、変形菌、緑膿菌)感染症

ウ 細菌性赤痢及び疫痢

エ 百日咳

オ リケッチア感染症

カ ワイル病

キ 原発生非定型肺炎

ク トラコーマ

ケ 帯状疱疹

コ そけいリンパ肉芽腫症

サ 野兎病

シ アメーバ赤痢

ス 複雑な手術後の感染予防(サルファ剤、PC-G類似薬剤又はSMでは効果が不十分と考えられる場合とする。)

セ その他のTC感受性病原体による感染症

(2) 標準的使用法及び量

ア 経口投与

体重一kgにつき二五mg、一日一~二gを六時間毎に分服させる。小児では一日量体量一kgにつき二五~五〇mgを用いる。効果が認められない場合は増量する。

イ 筋肉内、静脈内注射

症状重篤その他の理由によつて経口投与の困難な場合に限り行なう。

(ア) 筋肉内注射

一日量三〇〇~六〇〇mgを分割注射する。ピロリジノメチルテトラサイクリンは一日量三〇〇~六〇〇mgを注射する。

(イ) 静脈内注射

一日量五〇〇~一、〇〇〇mgを二~四回に分割注射するか、又は点滴注射する。

ウ 腹腔内、胸腔内、関節腔内注入

ピロリジノメチルテトラサイクリンの静注用製剤を用いる。

エ 吸入

百日咳に対しては五〇mgを一〇~一五mlの生理食塩液に浮遊し、噴霧器により一日一回吸入させる。

オ 点眼

一%眼軟膏を一日三回局所に用いる。一%点服液を一日数回点眼する。

カ 点耳及び耳浴

中耳炎には一ml中五~二〇mgのものを点耳する。耳浴には一ml中一〇~三〇mg含有のものを使用する。

キ 副鼻腔注入

一ml中二~一〇mg含有のものを使用する。

ク 外用法

軟膏は一g中二〇mg含有のものを使用する。皮膚、粘膜の重症感染症に用いる。トローチは一日六~九個を使用する。

(3) 淋病、軟性下疳及びそけいリンパ肉芽腫症に対する使用は「性病の治療指針」の定めるところによる。

5 クロラムフェニコール(CP)

(1) 適応症

ア グラム陽性又は陰性球菌感染症

イ グラム陰性桿菌(インフルエンザ菌、フリードレンデル菌、ジュクレー菌、大腸菌、エロゲネス菌、変形菌、緑膿菌)感染症

ウ 腸チフス、パラチフス

エ 細菌性赤痢及び疫痢

オ 百日咳

カ リケッチア感染症

キ 原発性非定型肺炎

ク トラコーマ

ケ 帯状疱疹

コ そけいリンパ肉芽腫症

サ トリコモナス症

シ 野兎病

ス 複雑な手術後の感染予防(サルファ剤、PC―G類似薬剤、又はSMでは効果が不十分と考えられる場合とする。)

セ その他のCP感受性病原体による感染症

(2) 標準的使用法及び量

ア 経口投与

一日量体重一kgにつき五〇mg、一日二~三gを四~六時間毎に分服する。小児では一日量体重一kgにつき五〇~一〇〇mgを四~八時間毎に分割投与する。

イ 筋肉内注射、静脈内注射

症状重篤その他の理由によつて経口投与の困難な場合に限り行なう。その量は一回一g、一日一~二回とし、小児にあつては、一日量体重一kgにつき五〇mgとする。

ウ 吸入

百日咳に対しては五〇mgを生理食塩液一〇~五〇mlに加え煮沸溶解し、噴霧吸入器により一日一回吸入させる。

エ 点眼

眼軟膏は一g中一〇mgのものを一日三回局所に用い、点眼液は一ml中一〇mgのものを一日数回点眼する。

オ 点耳及び耳浴

中耳炎には一ml中五~二〇mgのものを点耳する。耳浴には一ml中一〇~三〇mg含有のものを使用する。

カ 副鼻腔注入

一ml中五~一〇mg含有のものを使用する。

キ 外用法

軟膏は一g中一〇mg含有のものを使用する。皮膚粘膜の重症感染症に用いる。

(3) 淋病、軟性下府及びそけいリンパ肉芽腫症に対する使用は「性病の治療指針」の定めるところによる。

6 ストレプトマイシン(SM)

(1) 適応症

ア 結核

イ 野兎病

ウ ワイル病

エ 連鎖球菌、ブドウ球菌、肺炎球菌感染症

オ グラム陰性桿菌(インフルエンザ菌、大腸菌、変形菌、フリードレンデル菌、エロゲネス菌、緑膿菌)感染症

カ 細菌性赤痢

キ 重症乳幼児下痢症

ク 百日咳

ケ 淋病

コ 軟性下疳

サ 尿路、消化管の複雑な手術、性器、悪性腫瘍手術後の感染予防

(2) 標準的使用法及び量

ア 筋肉内注射

一日一~二gを一~二回に筋注する。

イ 髄膜内注入

五〇~二〇〇mgのSMを腰椎穿刺を行なつて一日一回注入する。小児、幼児には二〇~一〇〇mgを用いる。

ウ 気管支注入

一回〇・五gを一日一回気管支内に注入する。

エ 点耳及び耳浴

中耳炎には一ml中二五mgのものを点耳する。耳浴には一ml中一〇〇mgの溶液を使用する。

オ 副鼻腔注入

一ml中五〇~一〇〇mgの溶液を使用する。

カ 点眼

点眼液としては一ml中五mgの濃度のものを、眼軟膏としては一g中五~一〇mg含有のものを使用する。

キ 噴霧吸入

一日〇・五gを一〇mlの生理食塩液に溶かして噴霧吸入器によつて吸入する。小児の場合は〇・一~〇・二gを用いる。

ク 経口投与

腸管感染症の場合は一日量二gを一日数回に分割服用させる。

ケ 手術後の局所使用

一日一gを水溶液として局所に散布する。

コ 外科、皮膚科、産婦人科、泌尿器科等において、外傷、熱傷等の細菌感染予防に、外用には軟膏を用い、一g中五mg含有のものを局所に貼用する。

(3) 結核に対する使用は「結核の治療指針」、淋病、軟性下疳に対する使用は「性病の治療指針」の定めるところによる。

7 カナマイシン(KM)

(1) 適応症

ア 結核

イ 次に掲げる感染症(サルファ剤及び他の抗生物質(PC―G類似薬剤、SM、マクロライド系薬剤、TC系薬剤等)が無効又は耐性若しくは副作用の著しい場合とする。)

(ア) ブドウ球菌、肺炎球菌、緑連菌及び淋菌感染症

(イ) 緑膿菌、変形菌感染症

(ウ) 大腸菌感染症

(エ) インフルエンザ菌感染症

(オ) 百日咳

(カ) 細菌性赤痢

(キ) ワイル病

(2) 標準的使用法及び量

ア 筋肉内注射

重大な副作用として、第八脳神経障害の発現に注意する。腎機能障害のある患者には特に注意を要する。一般感染症に対しては一日一~二gを一~二回に注射する。小児には体重一kgにつき三〇~五〇mgを一日量として、これを一~二回に分けて注射する。

イ 経口投与

細菌性赤痢には、一日量二~四gを六時間毎に分割内服させる。

ウ 噴霧吸入

一mlにつき一〇~一〇〇mgの濃度となるようにKMを注射用蒸留水に溶解し、その一~三mlを一日一~二回ネブライザーを用いて噴霧吸入させる。

エ 局所使用

手術化膿創等には一mlにつき約二五~五〇mgの溶液として用いる。耳浴には一gを五mlの注射用蒸留水に溶解し、一回約〇・六ml(一〇〇mg)を用いる。副鼻腔内注入には一gを注射用蒸留水二〇mlに溶解し、副鼻腔洗浄後一回一〇〇~三〇〇mgを洞内に注入する。匐行性角膜潰瘍には、点眼又は結膜下注射を行なうことがある。(一mlにつき約二〇〇mgの水溶液として用いる。)膣錠は一日一~二錠を使用する。

(3) 結核に対する使用は「結核の治療指針」、淋病に対する使用は「性病の治療指針」の定めるところによる。

8 コリスチン

(1) 適応症

ア 細菌性赤痢

イ 百日咳

ウ その他のグラム陰性桿菌(大腸菌、緑膿菌等)感染症

エ 尿路、腹部、その他の複雑な手術後の感染予防

(2) 標準的使用法及び量

ア 経口投与

一日量三〇〇~一、二〇〇万単位を一日二~四回空腹時に内服する。

内服時には脂肪食をさける。

イ 皮下筋肉内注射

一回一〇〇万単位を一日二~四回注射する。

ウ 局所使用

一ml中一万~一〇万単位の溶液又は一g中一五万単位の軟膏を手術後局所に使用する。

坐薬(一錠中一五万単位含有)は一日一~二回使用する。

エ 吸入

一〇万単位を一〇~一五mlの蒸留水に溶解し、噴霧吸入器により一日一回吸入せしめる。

9 ポリミキシンB(PMX―B)

(1) 適応症

ア 緑膿菌感染症(他の抗生物質が無効又は耐性若しくは副作用の著しい場合とする。)

イ 細菌性赤痢(他の抗生物質が無効又は耐性若しくは副作用の著しい場合とする。)

(2) 標準的使用法及び量

ア 筋肉内注射

一回一〇~二五万単位を六時間毎に注射し、三~五日間行なう。ただし、一日量は体重一kgにつき一二、五〇〇単位を越えてはならない。腎機能障害に注意を要する。

イ 髄腔内注入

毎日又は隔日一~二・五万単位注入し、三~五日間行なう。

ウ 経口投与

腸管感染症には一日量七五~四〇〇万単位を一日三~四回に内服させる。

エ 局所使用

耳鼻咽喉科領域にあつては、一mg一二万単位の溶液を使用する。

10 パロモマイシン(PRM)

(1) 適応症

次に掲げる感染症(他の抗生物質が無効又は耐性若くは副作用の著しい場合とする。)

ア 細菌性赤痢

イ サルモネラ症

ウ アメーバ赤痢

(2) 標準的使用法及び量

経口投与により体重一kgにつき四〇~六〇mgを一日量とし、四~八時間毎に分割投与する。

11 フラジオマイシン(FRM)

(1) 適応症

ア 表在性化膿性疾患、特に変形菌、緑膿菌、アルカリ産生菌、嫌気性菌、大腸菌等による局所感染症

イ 尿路感染症(注入療法)

ウ 細菌性赤痢(他の抗生物質が無効又は耐性若しくは副作用の著しい場合とする。)

(2) 標準的使用法及び量

ア 外用法

FRM軟膏(一g中三・五mg以上)を一日一~二回局所に塗布又は貼布する。FRMの液剤の点眼、点耳、FRM眼軟膏(一g中三・五mg以上)の眼内擦入、FRM噴霧液の使用等も行なわれる。創内等にFRM末又は散を散布又は水溶液として注入することもある。膣錠は、一日一~二錠を使用し、坐薬は一日一~二個を使用する。ERMを含有するトローチは、一日六~九個を使用する。

イ 経口投与

一日量二~三gを分割投与する。

附 パシトラシン(BTRC)-フラジオマイシン(FRM)合剤

(1) 適応症

次に掲げる感染症(他の抗生物質が無効又は耐性若しくは副作用の著しい場合とする。)

ア 皮膚感染症

イ 耳鼻科感染症

ウ 腹部手術後感染症

(2) 標準的使用法

軟膏は一g中BTRC二五〇単位FRM二mgのものを用いる。

点耳用には一ml中BTRC二五〇単位FRM二mgのものを用いる。

12 ミカマイシン(MKM)

(1) 適応症

ブドウ球菌、連鎖球菌等のグラム陽性菌感染症(他の抗生物質が無効又は耐性若しくは副作用の著しい場合とする。)

(2) 使用法

〇・五~二・〇%軟膏を用いる。

13 グラミシジンJ(GRMN-J)

(1) 適応症

グラム陽性菌による皮膚感染症

(2) 使用法

軟膏には一g中一~五mg含有のものを用いる。トローチは、一日六~九個を使用する。

14 サイクロセリン(CS)

(1) 適応症

結核

(2) 結核に対する使用は「結核の治療指針」の定めるところによる。

15 バイオマイシン(VM)

(1) 適応症

結核

(2) 結核に対する使用は「結核の治療指針」の定めるところによる。

15の2 カプレオマイシン(CPM)

(1) 適応症

肺結核

(2) 結核に対する使用は「結核の治療指針」の定めるところによる。

16 トリコマイシン(TRM)

(1) 適応症

ア トリコモナス感染症

イ カンジダ症

ウ 白癬

(2) 標準的使用法及び量

ア 経口投与

一日五~二〇万単位を五~一〇日間内服する。

イ 外用法

膣錠は一日一~二錠(一錠五万単位)を五~一〇日間使用する。軟膏は一g中一五万単位のものを用い局所に貼布する。

17 オーレオスリシン(ATRN)

(1) 適応症

白癬及び頑癬

(2) 使用法

軟膏として一g中一~一〇mg含有のものを局所に貼布する。

18 バリオチン(VT)

(1) 適応症

白癬及び黄癬

(2) 使用法

患部及びその周囲を水又は温湯でよく洗浄し、十分乾燥した後VT液(一ml中八〇〇単位以上)、VT軟膏(一g中三、〇〇〇単位)を用いる。

乾燥型の場合は、一日二~三回患部及びその周辺に塗布し、湿潤型の場合は細菌の混合感染によるびらん面を治療した後に用いる。

19 ナイスタチン(NYS)

(1) 適応症

カンジダ症

(2) 標準的使用法及び量

ア 経口投与

一回五〇~一〇〇万単位を一日三回投与する。乳幼児には一○~五〇万単位を一日三~四回投与する。

イ 外用法

皮膚粘膜の感染症にはNYS軟膏(一g中一〇万単位)の適量を毎日一~数回患部に塗布する。

口腔カンジダ症には錠剤を砕いて用いるか、懸濁液を舌の上に滴下するか、又は一ml中二〇万単位の液の塗布を一日四~六回繰り返す。

膣内投与は、膣錠一日一回一〇万単位を深部に挿入する。

19の2 ペンタマイシン(PTM)

(1) 適応症

ア トリコモナス感染症

イ カンジダ症

ウ その他感受性を有する病原体による感染症

(2) 標準使用法

PTMを含む膣錠を一日一~二錠(一錠中二mg(力価)含有)を使用する。

19の3 アザロマイシンF(AZM)

(1) 適応症

ア トリコモナス膣炎

イ 膣カンジダ症

(2) 標準的使用法及び量

膣錠(一錠中五〇mg(力価)含有)は、一日一~二錠を六~一〇日間使用する。

19の4 ピマリシン

(1) 適応症

ア カンジダ及びトルロプシスによる膣真菌症

イ 膣トリコモナス症

(2) 膣錠は、一日一~二錠(一錠中二五mg(力価)含有)を使用する。

19の5 アムホテリシンB(AMPH)

(1) 適応症

深在性各種真菌症(気管支真菌症・肺真菌症・真菌性膿胸等)

表在性真菌症(白癬菌感染症を除く)のうち他の抗生物質が無効又は耐性若しくは副作用のいちぢるしい場合

(2) 標準的使用法及び量

ア 静脈内注射

AMPH五〇mg(力価)に対して五%ブドウ糖注射液一〇mlを加え、この溶解液を更にブドウ糖注射液で五〇〇ml以上に稀釈(〇・一mg/ml以下の濃度)して使用する。投与開始日は体重一kg当り、AMPHO・二五mg(力価)、次回からは症状を観察しながら漸増し、一日体重一kg当り通常〇・五~一・〇mg(力価)の用量で通常おおむね六時間にわたり緩除に点滴静注する。なお、一日体重一kg当り一・五mg(力価)の隔日投与を行なうこともある。一日体重一kg当り一・五mg(力価)以上は投与しない。

イ 硬膜(髄腔)内注入、その他

硬膜内注入にはAMPH〇・一~〇・五mg/mlになるよう注射用蒸溜水に溶解し髄液と混じて投与する。一回量〇・一~一・〇mgとして漸増法により、一日一回、一~三日毎に投与する。その他吸入、気管内注入、胸腔内注入、関節内注入その他病巣内注射、点眼などが行なわれる。

20 グリセオフルビン(GRF)

(1) 適応症

次に掲げる黄癬、白癬(黄癬菌又は白癬菌によるものであることが顕微鏡検査で確認された場合とする。)

ア 爪の黄癬、白癬

イ 頭部の黄癬、白癬

ウ 汎発性白癬(体表の大部分をおかされたもの)

(2) 標準的使用法及び量

普通製剤では一日量〇・七五g、微粉末剤では一日量〇・三七五~〇・五gを連日投与し、爪の黄・白癬、汎発性白癬では六カ月(ただし、白癬性肉芽腫を伴うものでは一年)、頭部黄・白癬では三カ月を一クールとする。ただし、効果を認め、継続治療を必要とする場合にはクールを繰り返す。局所療法を併用するものとする。

21 ザルコマイシン(SKM)

(1) 適応症

悪性腫瘍又はこれに準ずる疾患(例えば、白血病、ホジキン病、乳頭腫、絨毛上皮腫、壊疽性鼻炎等)

(2) 標準的使用法及び量

主として静脈内注射によるが病状により腹腔内注入、胸腔内注入、腫瘍内注入又は動脈注射、骨髄内注入等が行なわれる。手術又は放射線療法と併用することが推奨され、単独ではその局所効果は手術又は放射線療法に及ばない。他の抗腫瘍剤と併用しても支障はない。副作用も殆んど認めるべきものがない。

ア 静脈内注射

第一日は二〇〇~四〇〇mgを五~二〇%ブドウ糖液又は生理食塩液二〇~四〇mlに十分混合溶解して、全量を一~二分間で終るように徐々に注射する。

第二日以降は、同様の方法で、一日一~二回連日一、〇〇〇mgずつ注射し、ほぼ、三週間をもつて一クールとする。

または、同量を一週一~二回ずつ間歇投与し四〇gをもつて一クールとする方法もある。効果を認めたときはさらに継続する。

イ 腹腔、胸腔内注入、動脈注射、骨髄内注入等の場合は静脈内注射に準じ、腫瘍内注入にはその大きさにより、一〇〇~二〇〇mg又はそれ以上を、一~二ml又はそれ以上に溶解して用いる。

22 マイトマイシン(MT―C)

(1) 適応症

SKMに同じ。

(2) 標準的使用法及び量

注射用MT―C(一アンプル中にMT-C二mgを含有)に生理食塩液、注射用蒸留水又はブドウ糖注射液一〇~二〇mlを注入し、十分振とう溶解して用いる。術後の再発及び転移防止には、術前から又は術後なるべく早期より使用する。他の化学療法剤又は放射線療法と併用することができる。副作用としては白血球減少が多く、白血球数が三、〇〇〇以下に減少するが、又は急激な減少傾向をたどるときは一時休薬する。他に出血傾向、食思不振、全身倦怠、胃腸症状等がみられることがある。

ア 静脈内注射

最も一般的な使用法は一日一回一~二mgを連日投与する。白血球減少その他の副作用がなければ四○~六〇mgをもつて一クールとし、効果を認めたときはさらに継続する。副作用を緩和するため、一日一回四~一〇mgを二~三日の間隔をもつて週二回投与する方法もある。

イ 動脈注射

腫瘍患部に高濃度のMT-Cを到達させる場合にのみ使用し、使用量は静脈内注射の場合に準ずる。

ウ 局所灌流

体外灌流装置を使用し、比較的高濃度のMT-Cを局所灌流として用いることもある。

エ 胸、腹腔内注射

胸、腹腔内に癌細胞が証明された場合に行なう。一日一回二~四mgを胸、腹腔に穿刺して注入する。通常静脈内注射と併用する。

オ 腫瘍内注射

○・一mg/ml~〇・〇五mg/mlのMT-C溶液を用い、腫瘍の大きさに応じて使用量を加減する。通常静脈内注射と併用する。

カ 経口投与

通常一日二~六mgを連日内服させる。通常総量一〇〇~一五〇mgを一クールとし、効果を認めたときはさらに継続する。症例により二~三日の間隔をもつて内服させる方法もある。

キ 外用法

湿布、タンポンとして用いる。

23 カルチノフイリン(CZP)

(1) 適応症

SKMに同じ。

(2) 標準的使用法及び量

CZP(一アンプル中五、〇〇〇単位を含有)をまず添付一%重曹液二mlに完全に溶解し、これにブドウ糖液(血管内投与の場合には二〇%が適当)又は生理食塩液を加えて目的の濃度に稀釈して使用する。副作用としては白血球減少に注意する。

三、〇〇〇台に減少した場合には注意し、更に減少の傾向があるときは休薬する。また、ときには肝機能障害も起ることがある。

ア 静脈内注射

最初一、〇〇〇単位/mlに溶解したもの一、〇〇〇~二、〇〇〇単位をもつて一日量とし、白血球減少の傾向がなければ一日量を漸増し、三、〇〇〇~五、〇〇〇単位を維持量として毎日又は適宜の間隔をおいて使用し、一五万単位をもつて一クールとし、効果を認めたときはさらに継続する。

イ 動脈注射

静脈内注射にくらべて白血球減少の傾向が少ない。使用量は静脈内注射に準ずる。

ウ 門脈注射

一日量を一、〇〇〇~二、〇〇〇単位に止める。

エ 局所投与

(ア) 局所注射

一〇〇単位/mlの溶液として、毎日、一、〇〇〇~五、〇〇〇単位を直接腫瘍内に注射する。

(イ) 局所灌流

MT-Cの場合に準ずる。

(ウ) 湿布

一〇〇~五〇〇単位/mlの溶液を湿布又はガーゼタンボンとして用いる。

(エ) 腹腔内注射

腹水のある場合は、一、〇〇〇単位/mlの溶液を腹腔を穿剌して注入する。

この場合、一日量を五、〇〇〇~二〇、〇〇〇単位とする。

(オ) 胸腔内注射

腹腔内注射に準ずる。

24 クロモマイシン(CHRM)

(1) 適応症

SKMに同じ。

(2) 標準的使用法及び量

ア 静脈内注射

CHRM〇・五mgに対して注射用蒸留水又はブドウ糖注射液一〇mlを加え、通常一日一回連日又は適宜間隔をおいて静脈内注射を行なう。血管外に薬液が漏出すると注射局所に硬結、壊死を起すから慎重な注意が必要である。原則としては一クールの使用総量を三〇mgとし、効果を認めたときはさらに継続する。

イ その他

場合によつては、動脈注射(量は静脈内注射に準ずる。)、胸腹腔内注入(〇・二五~〇・五mg一日一回)、腫瘍内注入(大きさに応じ〇・二五~〇・五mg)、局所灌流も行なわれる。これらの適応等はMT-Cと同様である。