添付一覧
○社会保険健康センターの事業運営基準について
(平成三年二月一二日)
(庁文発第三六〇号)
(各都道府県民生主管部(局)保険・国民年金主管課(部)長あて社会保険庁運営部企画課長通知)
社会保険の保健・福祉施設事業における共通施設として設置をすすめている社会保険健康センターの運営基準について、別添のとおり定めたので通知する。
設置県にあっては、委託事業等が円滑かつ適正に行われるよう財団法人社会保険健康事業財団支部の指導等に努められたい。
〔別添〕
社会保険健康センター事業運営基準
第一 事業運営の基本的態度
1 社会保険健康センター(以下「センター」という。)は、社会保険事業の一環として、社会保険の被保険者、被保険者であった者及び受給者並びにこれらの家族に対し、心身の健康保持増進、成人病予防健診の普及推進に必要な事業を行うとともに、社会保険に関する相談等に応ずることによって社会保険制度の円滑な運営と健全な発展を図り、もって国民の福祉の向上に寄与するための施設であることから、その事業運営にあたっては、事業内容の充実向上に努め自主的かつ効率的な運営を行うよう努めること。
2 センターの運営については、独立採算を原則とし、それぞれのセンターの収入をもってその支出にあたるものであること。
3 センターは、国の行う保健・福祉施設事業を実施する機関であることから、社会保険健康事業財団(以下「財団」という。)及び各都道府県保険課・国民年金課とつねに連絡を密にし、その協調と理解を得て円滑な事業運営を行うよう努めること。
第二 組織
組織については、つねに事務処理の迅速・的確を期するよう事務の簡素化を図り、合理的な体制を整えておくこと。
1 センター長、部長等には、社会保険事業について専門的知識と経験のある者を配置すること。
2 事務職員等の配置その他については、次の点に留意すること。
(1) 事務職員等は、努めて有能な職員を配置するようにし、健康相談、運動指導、社会保険相談等にあたっては、専門的知識と経験のあるものをあてること。
(2) 職員の教養訓練については、機会あるごとに講習会等に出席させる等、有能な職員を養成するよう努めるとともに資質の向上を図ること。
(3) 職員の福利厚生については、十分な配慮を行うこと。
第三 事業
センターは、設置の趣旨を達成するため、次の点に留意し事業を実施すること。
1 心身の健康づくり事業が主たる事業であるので、事業実施にあたっては十分配慮すること。
2 社会保険に関する相談を積極的に実施すること。
3 各種講座の選定にあたっては、地域のニーズを重点的に考慮する必要があることから、アンケート調査、類似民間施設・講座の実態等、広く市場調査を行うとともに、各種講座の実施結果の把握を十分行い的確を期すること。
なお、教養文化講座の選定にあたっては、心の健康づくり事業として効果的な講座となるよう配慮すること。
4 一週間単位のスケジュールにより講座数、教室数を管理し、空白時間の解消を図るなど施設機能の有効的、効率的使用に努めること。
また、被保険者に対しては勤務後に利用できるよう、できるだけ時間的な配慮をすること。
5 特別講座については、社会的、地域的、時期的にマッチしたものを選択し、開講のタイミングを失することのないようにすること。
6 講師については、当該講座の専門知識のみでなく、講師としての豊富な経験を持ち、社会保険事業に理解のある社会的にも知名度の高い人格者をあてること。
7 軽食、喫茶部門については、衛生管理、食品管理を十分行うこと。
なお、この事業は、付随的事業であることから、採算性を十分考慮し、本来事業に経済的負担をかけることのないように努めること。
第四 経理
経理については、事業内容の推移を把握し、適切で計画性のある施策を講じ、その執行にあたってはつねに厳正に執行すること。
1 予算の執行
センターの事業に関するすべての収入金及び経費は、これを予算に計上し、所属する財団支部、各都道府県保険課・国民年金課並びに財団本部と協議ののち、財団本部が総合調整をした上で承認申請を行い、社会保険庁の承認を得てから執行されるものであり、その収入は確実かつ適正に確保し、経費はその目的を達成するための必要額を超えて支出してはならない。
したがって、その執行にあたっては、センター長は実行計画を定めるとともに善良な管理者としての注意を払うこと。
2 決算
決算にあたって支払未済が予想されるときは、予算の範囲内において積立金の処分等を行って、支払未済が生じないようその解消に努めること。
3 財産管理等
(1) 国有財産、国有物品
「国有財産及び国有物品の管理責任者」と同様に清掃、保守、付属消耗品の交換等、善良な管理者の注意をもって管理し、社会保険庁が定めた「施設に係る国有財産・国有物品取扱要領」の定めにより適正に取り扱うこと。
(2) センター有物品
センター運営のために、センターの負担において取得した部品については、センター有物品として国の例にならい台帳を作成し、物品管理簿に登載して管理すること。
(3) 積立金
積立金の管理及び運用については、財団本部が社会保険庁の承認を得て定める規程に基づき効率的に行うこと。
第五 執行
センター事業及び予算の執行にあたっては、センター事業の合理的、安定的な運営を図るため、毎年度、次の事項について見直し検討のうえ、事業計画及び予算の実行計画を定め、厳正かつ円滑な執行につとめること。
1 広報
広報計画を定め、真に効果の期待できる内容と方法に限り実施することとし、その媒体、時期と期間、地域と場所等十分に検討を行うこと。
2 受講料
受講料は、センターの立地環境(競合施設との関係、需要と供給のバランス等)や地域性(所得水準、各種講座への参加意識の高低等)等により異なることとなるが、類似施設の受講料の概ね七〇%程度が望ましいこと。
3 施設利用料
施設を一般の利用に供する場合は、講座実施に支障のない範囲で行うものとし、その施設利用料については、市場価格を基準にしてその七〇%程度を目途として設定することが望ましいこと。
4 講師謝金
講師の知名度、経験年数により大幅に異なるので、次のような標準値を目途に設定することが望ましいこと。
謝金≦受講料収入の90/100
また、採算面での危険負担を軽減すること、受講者数の確保、講師の士気の高揚の面から、受講料収入の七〇%程度については固定給とし、残りについては歩合制を導入する方法等を考慮する必要があること。
第六 施設整備等
施設の整備は、原則として国が行うこととしているが、負担の可能な範囲においてセンターが負担して行うことができること。
(1) 施設の補修
応急措置、又はペンキの一部塗替、ガラスの一部入替、Pタイルの一部貼替、囲障の補修等軽微な修繕については、センターの負担により行うことができる。
なお、補修等にあたっては、事前に都道府県保険課・国民年金課長と協議が必要であること。
(2) 備品の取得
センター事業のために必要とする備品について、センターの負担により取得する場合は、運営事業勘定「消耗器具備品費」からの支出により取得することとし、委託事業勘定からの支出は原則として行わないこと。
また、センター負担により取得できる物品の価格は、五〇万円未満の物品とすること。
第七 余剰金
「社会保険健康センター運営委託契約書(以下「契約書」という。)」第五条第一項の利益金の取扱いについては次のとおりとする。
1 別途積立金
契約書第五条第一項の積立金の保有率については、当分の間、当該年度の運営事業勘定の事務取扱費、維持管理費、事業費、雑支出及び委託事業勘定の事業費の合計額の二倍に相当する額に達するまでとする。
2 繰越利益金
契約書第五条第一項の繰越利益金については、社会保険庁の承認を得て財団本部が定める使途及び範囲内において、翌年度の運営事業勘定支出予算に計上し、支出することができる。
第八 法人税等
センター事業には、法人税法第二条第十三号の「公益法人における収益事業」に該当する事業があることから、経理上の取り扱いについて遺憾のないよう留意すること。