アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○政府管掌健康保険保養所の運営について

(昭和四三年三月七日)

(庁文発第二六九二号)

(各都道府県民生主管部(局)保険課(部)長あて社会保険庁医療保険部健康保険課長通知)

標記については、昭和四十三年三月七日庁発第二号をもつて社会保険庁長官から貴都道府県知事あて通達されたところであるが、これは昭和三十六年十一月二日保発第七四号による保養所の運営及び昭和四十一年六月三日庁発第九号による保養所の利用料基準が、その後必ずしも実情に適合しない面が生じたため改正をはかつたものであつて、その主な改正点及び留意すべき点は次のとおりであるから、よろしくお取り計らい願いたい。

1 保養所経営委託費について

(1) 経営受託者に交付する保養所経営委託費のうち人件費と維持費との間における流用は、従来、都道府県限りで行なつたところであるが、今回の改正により、保養費についても都道府県限りで流用して差し支えないこととしたこと。

(2) 保養所経営委託費のうち保養費については、従来は要保養被保険者の食費実費相当額として交付していたところであるが、今回の改正により、要保養被保険者の入所費相当額として交付するものであること。

なお、要保養被保険者の食費実費相当額は、当該要保養被保険者から徴収するものであること。

2 経営受託者について

(1) 国有施設である保養所については、従来は都道府県知事が財団法人都道府県社会保険協会長、財団法人社会保険協会長又は社団法人全国社会保険協会連合会長に経営を委託することとされていたが、現状に合致させるため財団法人社会保険協会長は削除したこと。

(2) 国有施設以外の保養所については従来は、都道府県知事がその財産所有者に経営を委託することとされていたが、今回の改正により、財団法人都道府県社会保険協会長にも経営を委託することができることとしたこと。

3 保養所利用手続等について

(1) 従来、保養所利用については、都道府県知事が受付け承認していたところであるが、今回の改正により、利用申込並びに承認所為を経営受託者に行なわせることとしたこと。

なお、要保養者の利用申込並びに利用承認については、従来どおり都道府県知事が行なうものであること。

(2) 従来、利用者が保養所を利用しようとする場合、利用申込書の様式の定めがなく、その統一について被保険者等の要望があるため、今回、利用申込書の様式を定めたものであるので、今後はこの様式を使用願いたいこと。

なお、従来の様式については当分の間使用してさしつかえないこと。

(3) 要保養被保険者についても、今回の改正による利用申込書の様式を準用するものであること。

(4) 従来利用者の利用承認期間は一泊二日以内とされていたが、最近の利用の実態から利用承認期間を、原則として、二泊三日以内としたこと。

(5) 要保養被保険者の利用承認期間を五日以内としたこと。

(6) 被保険者及び被扶養者の資格の証明については、従来特段の規定がなく、社会保険事務所長が行なつていたところであるが、事務の簡素化を図るため今回の改正により、社会保険事務所長、社会保険相談員、事業主又は当該事業所の社会保険委員が資格の証明を行なえることとしたこと。

(7) 従来、利用申込受付期日については、特に定めがなく利用者から要望もあり、利用日の六か月前から受け付けることとしたこと。

4 保養所特別会計について

(1) 二以上の保養所の経営委託者にあつては、従来、保養所特別会計の予算及び決算について、保養所ごとに経理することとされていたが、今回の改正により、一つの保養所特別会計をもつて経理することができることとしたこと。

なお、この場合保養所ごとの収支を明らかにしたものでなければならない。

(2) 保養所特別会計の取り扱いについては、昭和三十八年二月六日庁文発第四九五号により取り扱うものであり特に変更しないものであるので、その取り扱いに留意願いたいこと。ただし、同通知第五項については前記(1)のとおり変更するものである。

5 保養所の利用料について

(1) 利用料の改定は、本年四月一日から実施するものであること。

(2) 今回の利用料基準の改正は、利用者に提供する食事内容の維持及び保養所職員の待遇改善を図ることにより、利用者に対するサービスの向上に資する必要があるため真にやむを得ない措置であるのでこの点被保険者及び事業主に周知願いたいこと。

(3) 今回の利用料改定に伴ない利用料を改定した場合、入所費の引き上げる増収財源は、主として、保養所職員の待遇改善にあてるよう経営受託者に対し指導願いたいこと。

(4) 今回の利用料基準では、被保険者及び被扶養者とそれ以外の利用料の差は、宿泊の場合一五〇円日帰りの場合一〇〇円の差を設けてあるが、利用料を利用料基準額以下で定める場合においてもこの差を設けることが望ましいこと。

(5) 今回の利用料改定の特例として、宿泊の場合の食費実費相当額は、物価高騰の特殊事情のある場合には、当庁の承認を得て基準で定めた額を上廻る額で定めることができるとされているが、その額は、当分の間四五〇円以内の額とするものであること。

なお、当庁に承認を申請する場合には、その事由及び参考資料を付すること。

(6) 今回の利用料決定の特例として、寒冷地であつて、冬期間暖房を必要とする地域にあつては、宿泊の場合、当庁の承認を得て十一月から翌年四月までの間暖房料を加算して入所費を定めることができるとされたが、暖房料として加算できる額は、当分の間一人五〇円とするものであること。

なお、当庁に承認を申請する場合には、その事由及び参考資料を付すること。

(7) 宿泊の場合の食費実費相当額については、実情に応じて、朝食代及び夕食代に区分してその内訳を定めておくこと。

なお、日帰りの食費実費相当額は昼食代の意味であること。

(8) 従来、要保養被保険者の食費実費相当額は、保養費として交付されていたが、今回の改正により、要保養被保険者の食費実費相当額は、当該要保養被保険者から徴収するものであること。

なお、保養費として交付されるものは、利用料基準により入所費として都道府県知事が定めた額であること。

(9) 本年四月以降の利用承認をすでに行なつている場合、従来の利用料を徴収することが望ましいこと。

6 経営委託契約書について

(1) 従来、保養所の経営委託契約は保養所ごとの契約であつたが、今回の改正により二以上の保養所も一括して契約できることとしたこと。

なお、一括して契約する場合は保養所特別会計の一本化の問題と関連するので、保養所ごとの特別会計を設ける都道府県にあつては、従来どおり保養所ごとの契約をすること。(第一条)

(2) 従来、国有財産の維持管理がなく国有財産国有物品の滅失又はき損した場合の責任が明確でなかつたので、新たに条項をつけ加えたものであること。(第四条)

(3) 利用者の退所の条項に新たに「公序良俗に反する行為があつたとき」をつけ加えたこと。(第五条)

(4) 要保養被保険者の「保養費」を「入所費」としたこと。(第六条)

(5) 管理人の採用解雇については従来規定がなかつたが実態としては、事前に知事に協議していたものと考えるが、今回の改正より管理人の採用解雇にあたつては、事前に協議を必要としたこと。(第十五条)

(6) 保養所職員の指導については、従来から経営受託者に対し指導されていたところであるが、今回の改正により明文化したものであること。(第十六条)

(7) 都道府県知事の指示する方針を守りその方針に従つて運営すべき旨の条項をつけ加えたこと。(第十七条)

(8) 経営委託契約解除時における剰余の資産の帰属については特に規定がなく問題となる場合もあると考えられるので今回の改正により、将来において、保養所特別会計を清算した場合は、剰余の資産を国に引き渡すものであることをつけ加え明確にしたこと。

なお、この件については、特に従来の方針を変更したものでなく、単に将来問題となつた場合を考慮してつけ加えたものであるので、この点経営受託者に対し十分指導願いたいこと。(第十八条)

(9) 保養所経営委託費請求書の様式を改正したこと。

7 保養所利用申込書について

3の(2)にもとづく様式については、受託者に作成させること。ただし、当面使用する分については別途送付する予定である。