○健康保険の巡回診療車の運営について
(昭和三二年六月二八日)
(保文発第五一四五号)
(各都道府県知事あて厚生省保険局発)
日雇労働者健康保険法第三十八条の規定による福祉施設並びに保健施設として、被保険者又は被保険者であつた者及び被扶養者(以下「被保険者等」という。)の衛生思想の涵養に努めるとともに疾病予防等を行い、かつ、健康の保持増進を図ることを目的として、先般「健康保険巡回診療車」(以下「巡回診療車」という。)を配置したが、これが運営に際しては、左記事項参照のうえ、特段の配慮を煩わしたい。
記
1 巡回診療車の運営は、別紙(1)「健康保険巡回診療車運営要領」によること。
2 都道府県知事は、巡回診療車の運営を委託しようとするときは、別紙(2)「健康保険巡回診療車運営委託に関する契約書例」により、契約を締結すること。
3 都道府県知事は、巡回診療車の運営を受託した者から、毎月、別紙(3)「健康保険巡回診療車運営状況報告書」を二部提出させ、その一部を当該月分につき翌月十
五日までに当局あて提出すること。
4 巡回診療車の運営委託に要する経費は、予算の範囲内において国が負担すること。
昭和三十二年度分として負担する額は、次のとおりである。
一 人件費 八〇万三〇〇〇円
二 物件費 三九万五〇〇〇円
5 委託契約を締結又は改訂しようとするときは、契約書案二部を添付して当局あて内議すること。
6 巡回診療車運営要領に定める巡回診療車運営規程の承認を行うときは、規程案二部を添付して当局あて内議すること。
別紙(1)
健康保険巡回診療車運営要領
第一条 日雇労働者健康保険法第三十八条の規定により、被保険者又は被保険者であつた者及び被扶養者(以下「被保険者等」という)の福祉を増進するために設置された健康保険巡回診療車(以下「巡回診療車」という)は、この要領により運営するものとする。
第二条 都道府県知事は、巡回診療車の運営を財団法人都道府県社会保険協会に委託するものとする。
第三条 巡回診療車は、左の各号に掲げる事業を行うため、被保険者等の密集している地域を選び、定期的又は必要に応じて随時巡回するものとする。
一 被保険者等の保険衛生思想を涵養し、健康の保持増進を図るため必要な事業
二 被保険者の傷病の早期発見早期治療、早期回復を目的とした集団健康診断等適切な事業
三 被保険者等の傷病に対し必要な療養指導を行う事業ただし、この場合、診察した患者の病状が緊急その他やむを得ない事情にあるときに限り応急措置として、投薬、注射、処置等必要な診療を行うことができる。
第四条 都道府県知事は、巡回診療車の事業実施にあたつては、受託者の巡回計画について関係機関と十分協議、検討するとともに、その目的、日時、場所等必要な事項を被保険者等に周知させ、事業の効率的な運営に努めるものとする。
第五条 都道府県知事は、第三条第二号及び第三号の事業の行う場合には、受託者をして被保険者手帳の提示を求める等その利用者が被保険者等であることをあらかじめ確認させるものとする。
第六条 都道府県知事は、日雇労働者健康保険の被扶養者に第二条第三号ただし書の規定により薬品並びに治療材料等を支給したときは、受託者をしてその実費に相当する額の半額をその者から徴収させるものとする。
第七条 都道府県知事は、巡回診療車が第三条の事業を行うに支障のない限度において、被保険者等以外の者に利用させることができるものとする。
第八条 国が受託者に交付する委託費は、次のものとする。
一 人件費(医師、レントゲン技師、看護婦、事務員、運転手に対する俸給給料)
二 物件費(消耗器材費、薬品費、衛生材料費、被服費、熱料費等)
第九条 都道府県知事は、巡回診療車の会計について、巡回診療車特別会計を設けて経理させなければならないものとする。
2 前項の特別会計の経理については、健康保険保養所の例によるものとする。
第十条 都道府県知事は、巡回診療車の運営の適正を期するため、少なくとも年二回運営状況等について実施調査を行い、かつ、必要な報告を求める等監督の万全を期
するものとする。
第十一条 都道府県知事は、巡回診療車及び同車庫の管理の万全を期するため、受託者をして、火災保険契約を締結させるものとする。
2 前項の契約の方法等については、健康保険病院の例によるものとする。
第十二条 都道府県知事は、巡回診療車の運営に関する帳簿書類を完結の日から五年間保存させるものとする。
第十三条 都道府県知事は、受託者として巡回診療車の運営に関する規程を定めさせるものとする。この場合においては、あらかじめ知事に協議してその承認を受けさせるものとする。
別紙(2)
別紙(3)