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○行政協定第十八条関係被害にかかる求償権行使の取扱について

(昭和二八年八月二〇日)

(保発第五五号)

(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)

日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定第十八条の規定にかかる駐留軍による損害を受けた者に対する補償については、別添1の「民事特別法(昭和二十七年四月法律第百二十一号)」が施行され、この補償基準範囲及び実施手続の細目等については、別添2の「閣議決定(昭和二十七年五月六日)」を見、更に別添3の「総理府令第三十二号(昭和二十七年六月十九日改正昭和二十八年二月五日総理府令第七号)」が施行されているが、これによれば次のようになつている。

(イ) 合衆国軍隊の構成員又は被用者(以下「駐留軍」という。)がその公務執行中(総理府令第二条参照)他人に損害を加えたときは、日本国が損害賠償の責に任じ補償金を支払う(行政協定に伴う民事特別法第一条及び第二条。総理府令第一条。閣議決定一、補償金の支給について)。この補償金は、日本国及び合衆国が分担して負担する(行政協定第十八条第三項(D))。

(ロ) 駐留軍がその公務執行外の不法行為によつて他人に損害を加えたときは、合衆国当局が慰しや料を支払う(行政協定第十八条第五項。総理府令第四章)。

従つて、健康保険、厚生年金保険及び船員保険の被保険者若しくは被保険者であつた者又は被扶養者(以下「被保険者等」という。)が駐留軍によつて損害を蒙つた場合には、保険者は、健康保険法第六十七条、厚生年金保険法第二十八条及び船員保険法第二十五条の規定によつて日本国政府又は合衆国当局に対し、求償権を行使することになるが、その行使に当つては、今後左記によるとともに関係当局(都道府県渉外関係課及び調達局事業部補償課等)と連絡を密にし、遺憾なきを期せられたい。

なお、管下健康保険組合に対しても右に準じて取り扱うよう指導されたい。

(健康保険関係)

1 駐留軍がその公務執行中に被保険者等に損害を加えた場合

(1) 保険給付を受けるべき者から健康保険法施行規則の規定によつて被害の届出があつたとき、又はこの届出はないが報道機関その他によつてその事実を知つたときは、直ちに保険給付を受けるべき者に対し、総理府令第四条の規定により、申請書(総理府令様式第1号)を被害発生地を管轄する都道府県知事に提出するよう指導するとともに当該都道府県知事に対し、本災害については健康保険法第六十七条の規定による求償権を行使する旨を予め通知しておくこと。

(2) 求償権は次によつてこれを行使すること。

(イ) 被害発生地を管轄する都道府県知事に対し、内訳書を添附した納入告知書(保険課所長名による。)によつて請求すること。

(ロ) 内訳書には、療養補償休業補償又は葬祭料の別に、それぞれ健康保険の療養の給付費用(療養費、家族療養費を含む。)傷病手当金又は埋葬料(埋葬費を含む。)の金額を記入すること。

療養の給付費用又は傷病手当金については、その支給期間も併記すること。

(ハ) 長期にわたる療養、又は休業については、各月ごとに請求するものとし、請求の都度将来なお給付の行われる旨通知すること。

(ニ) 請求額は、原則として「補償金支給基準」(別添閣議決定)にかかわらず、現実に保険給付を為した額とするが、事故の発生につき、被害者に故意又は過失があるときは、補償されず又は減額されることがあるので、これを確めるとともに、予め請求額につき所管の調達局長と協議すること。

(ホ) 求償権の行使に当つては除斥期間(民事特例法第四条)に留意すること。

2 駐留軍がその公務執行外の不法行為によつて被保険者等に損害を加えた場合

(1) 前項の取扱に準ずること。

(2) 請求は、災害発生地の都道府県知事を経由することとし、あて名は一応所轄調達局長(所轄課は事業部補償課)とすること。なお爾後の手続は所轄調達局において行われ、慰しや料の支払は合衆国当局より直接行われるものであることに留意すること。

3 駐留軍労務者で日本国が雇用するもの(すなわち駐留軍労務者L・S・O)がその職務を行うについて、不法行為により被保険者等に損害を与えた場合は、国においてその責に任ずべきものであるから、これが求償権の行使については、すべて1の取扱に準ずること。

(船員保険、厚生年金保険関係)

1 船員保険関係のうち健康保険に相当する部分については健康保険に準じて取り扱う外別途通ちようによること。

2 厚生年金保険関係については別途通ちようによること。