添付一覧
○保険給付の疑義について
(昭和二六年七月六日)
(保発第二二八五号)
(神戸市兵庫区神戸工業株式会社あて厚生省保険局健康保険課長通知)
御来照にかかる標記について、次のとおりお答えします。
(1) 被保険者の自殺による死亡は、故意に基く事故ではあるが、死亡は絶対的な事故であり、救済又は弔慰に値いするものとみられますから、第六十条の規定の例外として埋葬料を支給すべき取り扱となつている。
(2) 第六十七条の趣旨は、被保険者又は被保険者であつた者が第三者に対して損害賠償の請求権を有し、しかも、その損害賠償請求権が消滅していない場合にすでに渡した保険給付額を限度として、その損害賠償請求権を代位行使することができるというにあるから、第三者の行為による保険事故であるため保険給付はしなくともよいというのではない。従つて、保険者としては、損害賠償の代位権が認められると否とにかかわらず、常に保険給付を行うことは必要であることは当然である。
保険者は、第三者の行為による保険事故が発生したときは、保険経済の利益のために被保険者又は被保険者であつた者の第三者に対する損害賠償請求権の消滅しないうちに、即ち、弁済見舞金の受領等のないうちに、この代位請求権を行使するよう留意する必要がある。
保険給付疑義照会について
(昭和二六年六月二五日 神人保発三八二号)
(厚生省保険局健康保険課長あて 神戸工業株式会社照会)
御多忙中まことに恐縮ですが、左記事項につき、何分の御回示賜りたく御照会致します。
1 被保険者自殺した場合、法第六十条「被保険者又ハ被保険者タリシ者……故意ニ事故ヲ生ゼシメタルトキハ保険給付ヲ為サズ」となつており、死亡に対する保険給付として法第四十九条「被保険者死亡シタルトキハ……埋葬ヲ行フモノニ対シテ埋葬料トシテ……支給ス」とあり、法第四十九条の給付は死者のなきがらを、ともらふ代金として支給する故に、自殺、他殺、病死にかかわらず給付すべきものなりや、或は「直接行為の結果」死亡すると云う認識のもとに事故を生ぜしめた場合にのみ不支給とするか。
2 法第六十七条「保険者ハ事故ガ第三者ノ行為……於テ●保険給付ヲ為シタルトキ●……」傍線の「保険給付ヲ為シタルトキ」の意味は、第三者の行為によつての事故は保険給付を為す必要がないように私推するも、第三者の行為による事故は保険給付を為す必要がないのか、或は第三者の不注意、不可抗力の場合に限り保険給付を為すのか、保険者は関係なく加害者と事故を受けし者(被保険者)との間の示談解決によるのか。
3 法第六十七条と法第四十九条との関係
支給の場合と不支給の場合の設例を御願いします。以上