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○法第六十三条の規定による保険給付の一部制限について

(昭和二六年五月九日)

(保発第三七号)

(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)

健康保険法第六十三条の規定の趣旨とするところは、被保険者をして適正な保険診療を受けさせることによつて速かに傷病治ゆの目的を達成する指導的理念に基くと同時に、被保険者が療養の指揮に従わないために給付費の増嵩を招来し、他の被保険者に対し不当な負担を生ずることを避けんとするものであるから、同条の規定による保険給付の一部を制限する場合は、右の趣旨によつて左記の方針によることと決定したので了知されたい。

なお、法第六十九条ノ二において準用する第六十三条の規定の取扱についても、同様の方針によることとされたい。

一 療養の指揮に従わない者とは、左掲に該当する者とすること。

1 保険者又は療養担当者の療養の指揮に関する明白な意志表示があつたにも拘らず、これに従わない者(作為又は不作為の場合を含む。以下同様とする。)

2 診療担当者より受けた診断書、意見書等により一般に療養の指揮と認められる事実があつたにも拘らず、これに従わないため、療養上の障碍を生じ著しく給付費の増嵩をもたらすと認められる者

二 「保険給付の一部」とは、療養の給付又は傷病手当金について、その一部を指すものとすること。

三 療養の給付の制限の具体的な要領は、左記によること。

1 療養の給付については、正当の理由なく療養の指揮に従わない顕著な事実があつて、これを矯正するのに他の手段が行われ難い場合に限り、制限の対象とすること。

2 療養の給付の制限事由は、通常保険医等の届出によつて判明するのであるが、右の制限の事由に該当する場合には、保険者において、被保険者に対し被保険者証の提出を命じ証の「療養の給付記録欄」に、当該傷病について一定期間給付の制限を行う旨記載すること。

3 給付の制限期間は、船員保険法第五十四条の規定を参考として、概ね一〇日間を基準とすること。

四 傷病手当金の一部制限については、療養の指揮に従わない情状によつて画一的な取扱をすることは困難と認められるが、船員保険法第五十四条の規定を参考とし、制限事由に該当した日以後において請求を受けた傷病手当金の請求期間一月について、概ね一〇日間を標準として不支給の決定をなすこと。

五 療養の指揮に従わない事実が再度生じた場合には、右によつて療養の給付又は傷病手当金の一部制限措置を繰り返すこととするが、更に反覆累行する場合においては、制限期間を加重すること。

六 前各号の取扱をなすにあたつては、受給者の療養指導に重点をおくと共に、その権利を徒らに害することのないよう診療担当者との連絡指導につとめ、且つ、適正な事実の調査に遺憾のないよう留意すること。