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○資格喪失の傷病手当金の支給について

(昭和二七年五月二四日)

(徳支健第八号)

(厚生省保険局健康保険課長あて四国電力健康保険組合徳島支部照会)

1 被保険者結核性疾病の為、昭和二十三年十一月九日以来労務不能となつたが、労働協約により事業主から報酬の全額が支払われ三年経過昭和二十六年十一月八日退職となつた。

被保険者は、退職となつた翌日の昭和二十六年十一月九日資格喪失したが、前記労働協約により退職者に対する賃金給料等の支給取扱が、その月の退職者が十二日迄の者に対し半月分が支払われる規定になつて実際に支給されたので、当方としては喪失日十一月九日迄報酬の全額が支給されたものと見做し、傷病手当金の支給を行わなかつた。

2 被保険者は、資格喪失後事業主から報酬が支給されなくなつたので、傷病手当金請求を申出て来たが、一応徳島県保険課宛照会し、その回答により処理することとした。

3 徳島県保険課から次の通り回答があつた。

被保険者資格喪失後における傷病手当金は、資格を喪失したる際に法第五十五条の規定に該当し継続して傷病手当金の支給を受くることができる者は、法第四十七条の規定による給付期間が満了しない限り、療養給付開始後二年を経過し法第五十七条の三第二号の規定に該当なるまでは、傷病手当金を支給すべきものと考える。

しかし被保険者の資格喪失をした時に傷病手当金の支給開始されていないときは、法第五十五条の規定に該当しないから傷病手当金は支給できない。

4 徳島県当局からの指示により被保険者宛にその旨通報すると、被保険者は、法第五十五条に規定されている「被保険者ノ資格ヲ喪失シタル際」とは、資格を喪失した日を意味するものであり、且つ、事業主からの報酬は、法第十八条にあるその業務に使用せられざるに至りたる日迄のもので、資格喪失の日にはかかつていないものと断定、法第五十五条に抵触しないから当然受給権利のあるものであると主張している。尚被保険者は(一)項に労務不能後資格喪失迄三か年経過しているが、療養給付の開始は、昭和二十五年十一月二十六日(医師を退けて自宅に於て安静療養をなしたが経過不良の為初めて医師にかかるに至つた日)からであり、昭和二十七年十一月二十五日をもつて期間満了となるので未だ六か月間の療養給付期間がある。

5 以上の様に双方の解釈が異り、取扱い方法が判然としませんので、正しい御決定を御願い申上ます。

資格喪失の傷病手当金の支給について

(昭和二七年六月一二日 保文発第三三六七号)

(四国電力健康保険組合、徳島支部常務理事あて 厚生省保険局健康保険課長回答)

昭和二十七年五月二十四日付徳支健第八号による御照会につきましては、左記の通り回答いたします。

法第五十八条において「継続シテ報酬ノ全部又ハ一部ヲ受クルコトヲ得ベキ者ニ対シテハ之ヲ受クルベキ期間、傷病手当金又ハ出産手当金ヲ支給セズ」と規定されているが、これは被保険者の給付受給権の消滅を意味するものではなく、その停止を意味するにすぎないから、その者が資格を喪失し事業主より報酬を受けなくなれば、法第五十五条により当然にその日より傷病手当金は支給すべきものと思料される。従つて、例示の場合、その傷病手当金は資格喪失の日から療養の給付期間満了の日(二七、一一、二五)まで支給すべきものと考える。

なお、法第五十五条の「資格ヲ喪失シタル際、疾病、負傷又ハ分娩ニ関シ保険給付ヲ受クル者」とは、現にこれらの保険給付を受けている者は勿論その受給権者であつて、法律第五十八条の規定により一時給付の停止をなされている者をも含むものと解されるから申添える。