添付一覧
○健康保険組合の準備金及び任意積立金の保有形態等について
(平成六年一一月二四日)
(保険発第一六二号)
(各都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長あて厚生省保険局保険課長通知)
標記については、平成六年十一月二十四日付保文発第九〇四号をもって別添写のとおり、厚生大臣が監督する健康保険組合に対して通知したので、貴都道府県知事が監督する健康保険組合に対しても同様に通知し、遺憾のないよう指導されたい。
〔別添〕
健康保険組合の準備金及び任意積立金の保有形態等について
(平成六年一一月二四日 保文発第九〇四号)
(各健康保険組合理事長あて 厚生省保険局保険課長通知)
標記については、平成元年十一月二十二日付保文発第七五七号通知により取り扱ってきたところであるが、本日付保発第一二六号通知により健康保険組合事業運営基準(以下「事業運営基準」という。)等の一部が改正されたので、健康保険組合にあっては、左記の事項に留意のうえ、組合財政のより健全な運営に努められたい。
なお、平成元年十一月二十二日保文発第七五七号通知は、平成七年三月三十一日をもって廃止する。
記
1 準備金の保有形態等について
準備金の保有形態は事業運営基準第九の4の(1)に示された方法により保有すること。
また、事業運営基準第九の(1)の「ア」、「イ」の方法による保有は、準備金総額の二分の一以上とされているが、これは、突発的又は一般的な事由により、早急に保険給付費に充てる必要が生じた場合に備えて換金処分の容易なもので確保しておくためのものであること。
ただし、準備金総額を保険給付費に要する費用の三か月分を保有する場合には、総額の三分の一を「ア」、「イ」の方法で保有すれば、保険給付の一か月分を預金・貯金等で保有することとなるため、突発的又は一時的な事由に対応が可能なものとなるので、「ウ」から「キ」までの方法による保有を三分の二まで行うことを認めたものであること。
以下「ウ」から「キ」までの方法による保有についての留意事項等については、次のとおりであること。
ウ 証券取引法等に基づく有価証券について
証券取引法等に基づく有価証券の保有については、健康保険組合の責任においてその独自性に任せるところであるが、基本的に元本が保障されていること、一般的商取引において社会的信用度の高い商品、元金の償還金や利子の支払いに遅延のないものなど安全かつ確実なものとし、変動が大きくリスクの高いものは行わないこと。
エ 金投資口座について
金投資口座については、満期時の金の買い取り価格を決定(先物予約)して販売され、満期時に当初予約した買い取り価格で銀行が買い戻して指定の預金口座に入金されるものであり、利率はあらかじめ確定しており元本保証があるため、運用対象として認められるものであること。
オ 社会保険診療報酬支払基金への委託金について
社会保険診療報酬支払基金への委託金については、過去三か月における最高額の費用を要した月の診療報酬のおおむね〇・五か月分を保有しなければならないこととされており、これも突発的な保険給付費等に充当するものであるため、準備金に含まれるものであること。
カ 組合共同施設に対する出資金
(1) 共同の目的を達成するために設置する施設とは、法第二十三条に規定されている保健事業又は福祉事業であり、施設の事業運営に限定されていないこと。
(2) 健康保険組合が共同して高額医療費に係る貸付事業を行う場合の出資金については、高額医療費貸付事業が健康保険組合の事業の範囲であるので、その出資金についても認められるものであること。
(3) 健康保険組合が共同して在宅療養の環境整備の貸付事業を行う場合の出資金については、在宅療養の環境整備のための貸付事業が健康保険組合の事業の範囲であるので、その出資金についても認められるものであること。
キ 保健事業又は福祉事業の土地又は建物について
(1) 保健事業の土地又は建物については、健康管理センター、保養所、体育館、保健会館、健康増進施設等があり、福祉事業の土地又は建物については、病院、診療所、老人保健施設等があること。
(2) 保健事業又は福祉事業の土地又は建物について準備金として認められるのは、資産を十分保有していない組合等において、健康保険法施行令第五十条第一項の準備金保有基準を満たすためにこれらの不動産を処分して金融資産として保有する必要がないようにするためであること。
2 任意積立金の保有形態等について
健康保険組合においては、健康保険法施行令第五十条第一項の規定に基づき、毎年度剰余金中より、一定額を準備金として優先的に積み立てなければならないため、その準備金積立必要額を越えて剰余金を生じた場合に限り、任意積立金の積立てができる(退職積立金については支出予算に計上して積み立てる。)ものであること。
また、任意積立金の保有形態として「キ」の方法、すなわち不動産による保有が認められないのは、本来的に任意積立金は金融資産で保有すべきものであるためであり、保健事業及び福祉事業の土地又は建物については、準備金以外のものであれば、その他の財産に区分することが適当であるためであること。
なお、退職積立金については、その保有形態の範囲が広く、退職積立金の総額の二分の一の範囲内で、組合の役職員が組合から支払いを受けることができる退職手当金の額を限度として、住宅資金等に貸し付ける方法により保有することができることとされているが、この具体的な実施については、規程を設けて行う必要があること。
3 準備金又は任意積立金の資産運用上の注意事項について
準備金又は任意積立金の運用にあたっては、現在市場にでている金融商品の中には、満期前に途中解約をすると損失を生じるものや、国債、社債等の時々の相場により売買価格に変動が生じるものがあること。
したがって、運用対象の資産の購入に当たっては、将来の資金需要を予測してある程度余裕を持ちながら計画的に行うようにすること。