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○健康保険組合の事業運営について

(昭和二八年一月五日)

(保発第一号)

(各健康保険組合理事長あて厚生省保険局長通知)

健康保険組合の事業の運営については、健康保険制度の重要性と組合存立の目的から益々その内容の充実と健全化に夫々格段の努力がなされているところであるが、昭和二十八年度からは、その運営を次の方針に添つて自主的に且つ積極的に行うよう特に留意願いたい。なお、従来当局から発した通ちよう❜❜❜中、この通ちよう❜❜❜に抵触し又は重複するものは、廃止したものであるから承知願いたい。

一 一般事項について

1 組合は、事業運営の強化と発展を期するため、公法上の立場において事業主と常に密接にして且つ円満な関係を維持するよう特に留意すること。

2 職員の指導と育成については、常に意を用いて有能な職員を養成するように努めるとともに素質の向上を図り、他の事業所への転勤等は、頻繁に行わないように善処すること。なお、職員の福利厚生については、予算の許す範囲内で十分に考慮する必要があること。

二 庶務関係について

1 組合規約、組合員の権利義務に関する諸規程、組合原簿並びに公示事項、其の他の書類等の整理又は処理は、常に適確にしておくこと。

2 財産並びに備品等の取り扱いは慎重を期し、その保管についても万全を期すること。

3 従たる事務所に対する指導と統括については、常にその万全を期し、事業運営の発展と事務執行の円滑化を図ること。

4 認可事項の申請は、なるべく事前に提出するように留意し、法令、通ちよう❜❜❜等に基いて提出する諸届け並びに報告書等は、期日を厳守するとともに、その内容の適正を期すること。

5 諸統計資料を整備して、常に事業運営の発展強化に資すること。

6 組合員の議員及び理事、理事長の選挙は、法令、規約並びに規程の定める方法によつてとり行うこと。

7 組合会の検査は、少くとも年二回実施されるよう考慮すること。

8 理事専決は、法令に適合する事項に限定し、みだりに措置しないよう注意すること。

9 事業所の編入については、次のとおりとし、これに該当しないものにあつては、原則として認めない方針であること。なお、基本的な条件としては、組合事業の運営が、円滑に行なわれ、且つ、又その内容も充実している場合に限られること。

(イ) 同一法人内の事業所であるもの

(ロ) 事業主及び資本系統が同一事業所であるもの

(ハ) 編入する事業所の被保険者の多数が、従来から組合で管掌する被保険者であつたもの

(ニ) 編入する事業所の政府管掌時における成績が良好であつたもの

(ホ) 任意包括事業所の編入は、前記(イ)(ロ)(ハ)に該当し、しかもその事業の基礎が強固である場合に限つて認められること。

(ヘ) 組合の設立ある事業所と直接関係のない事業所の編入は、特別の事情がある場合を除く外、認めない方針であること。

三 財務関係について

1 組合財政の健全化には、特に意を用い、常に収支の適正強化によつて事業の円満な運行を図ること。なお、収支不均衡のおそれがある場合は、自ら事前に措置するよう留意すること。

2 会計帳簿の整理は、その都度正確に行い、常にかれこれの関係を符合せしめておくこと。

3 収入支出は、所定の方法によつて取り扱い、その証ひよう❜❜❜書類の整理、保管についても万全を期しておくこと。

4 支払基金への委託金は、必ず支払余裕金の中から委託すること。なお、別途積立金から委託し、又は委託しようとする場合は、これを処分し、支払余裕金としてから委託する取り扱いとすること。

5 結核病床、病院及び診療所を設置する場合における資金計画について、他に財源を求めることができないときは、実情によつては、法定準備金の二分の一以内の金額に相当する額を限度として、その処分を認める方針であること。但し、これは法定準備金の管理方法の一形態であること。

6 法定準備金並びにその他の財産の管理は、規約の定める方法によること。

四 保険給付関係について

1 療養の給付の支払に当つては、適正な審査を経て、迅速に措置すること。

2 保険給付は、適確にして、且つ、迅速に支給決定すること。

3 事業主等診療機関との契約単価は、この種の機関設置の趣旨に鑑み、原則として政府による契約単価の五割引程度とし、特別の事情がある場合に限つて増減することができること。なお、契約の方式は、原則として単価制とし、診療報酬請求明細書の様式も政府によるものを採用し、その診療内容等については、地方技官を委嘱して定例又は臨時の監査を実施せしめること。

4 事業主経営診療機関における診療中、健康保険法上における治療の範囲外に属する予防的な医療行為は、療養の給付より厳正に排除し、これらは別途保健施設で考慮されるべきであること。

5 附加給付は次によること。

(イ) 種類とその範囲は、疾病、負傷、分娩、死亡による保険事故に対する附加的なものに限定し、その内容も効果的で存在価値のあるものとする。

(ロ) 法定期間外の附加給付は、組合財政の許す範囲において認容する方針であること。この場合における附加給付の種類は、なるべく療養の給付費及び家族療養費に係るものが望ましいこと。

(ハ) 現行による保険診療の対象外のものにつき補償する附加給付は認めない方針であること。

(ニ) 資格喪失者に対して支給する附加給付は、認めない方針であること。

五 資格関係について

1 資格の決定及び得喪届の処理は、迅速にして、且つ、適確に取り扱うこと。

2 被保険者証に関する取扱いは、慎重を期すること。

3 標準報酬の適正強化については、常に努力を払う必要があること。

六 保険施設関係について

1 保険施設は、諸統計資料等を活用して、実態に即応する計画を樹立し、疾病の予防対策、体位の向上対策並びに保険宣伝等の見地から財政の許す範囲において活発に実施すること。なお、これが実施のてん末及び効果等は、記録にとどめ後日の参考に資すること。

2 病院、診療所、結核病床並びに休養施設等の設置については、全面的に容認し、且つ、助成する方針であるから、これが設置の可能な組合は夫々細目の設置計画を樹立して当局に連絡すること。なお、従来この種施設の設置ある組合及び今後によるものも、その運営については、特に合理化に留意して、この種施設の設置の目的を十分効果的に発揮することができるよう努力すること。

3 温泉保養所並びにこれに類する施設の運営については、疾病保険の一環としての施設である点等を考慮して、その運営の適正化に留意すること。