添付一覧
○政府管掌健康保険及び船員保険の被保険者に係る附加的給付事業について
(昭和六〇年三月二九日)
(庁保険発第一三号)
(各都道府県民生主管部(局)保険主管課(部)長あて社会保険庁医療保険部健康保険・船員保険課長連名通知)
標記については、健康保険法施行令等の一部を改正する政令(昭和六十年三月十五日政令第二十八号)及び健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(昭和六十年三月十五日厚生省令第六号)が公布され、同年四月一日から施行されることとなつているが、その具体的な運用については、次の事項に留意のうえ、承認等の事務の遺憾なきを期されたい。
記
第一 健康保険関係
1 実施主体
(1) 健康保険法施行令(以下「令」という。)第九十二条第一号に掲げる法人(以下「第一号法人」という。)は、政府管掌健康保険の適用事業所の事業主及び被保険者を社員とする民法上の社団法人であること。すなわち、第一号法人は、民法第三十四条の規定によつて設立される公益法人であり、健康保険の健全な発展に資するため、健康保険法(以下「法」という。)附則第十条第一項に規定する給付(以下「附加的給付」という。)事業の実施等社会保険に関する事業を行うことを目的とするものであること。
なお、第一号法人の設立認可については、その目的とする事業が二以上の都道府県にわたらないものについては都道府県知事が行うこととなるが、保険主管課(部)にあつても法人設立が円滑に行われるよう配慮すること。
(2) 令第九十二条第二号に掲げる法人(以下「第二号法人」という。)は、政府管掌健康保険の適用事業所の事業主が社員(会員、組合員等)となつている社団法人たる事業主団体であること。
これには、商工会等特別の法律に基づくもののほか、民法第三十四条の規定に基づいて設立されたものも含まれること。
2 承認基準
(1) 法附則第十条第一項の承認(以下、単に「承認」という。)は、次の基準に従つて行うこと。
ア 本事業の適正な運営を確保するため、第一号法人にあつては、附加的給付以外の給付を、第二号法人にあつては、附加的給付に類似する給付を行わないこと。
附加的給付以外の給付とは、入院見舞金・祝金・弔慰金等名目を問わず一切の金品の支給を意味するものであること。
附加的給付に類似する給付とは、健康保険組合において行われている被扶養者分に係る附加給付と同様の給付等を意味するものであること。
イ 対象となる事業所(以下「対象事業所」という。)の被保険者の大多数が附加的給付事業に参加していること。この場合、大多数か否かは、事業所ごとに判断することとし、この条件を満たさない事業所を含む法人については承認しないこと。また、大多数とは当該事業所の被保険者の全員が参加していることを原則とするが、若干名の不参加者のいる事業所が含まれていても差支えないものであり、個別に具体的な判断をすること。
ウ 附加的給付事業に要する費用は、事業主及び被保険者の拠出する掛金によつて運営され、寄附金や一定の基金からの収入その他は附加的給付事業に充てないこととなつていること。また、当該掛金が附加的給付事業以外の事業に流用されないこととなつていること。
なお、対象となる被保険者(以下「対象被保険者」という。)等からの返還金や繰越金、余裕金等の果実は附加的給付事業に充てて差支えないこと。
エ 附加的給付事業に係る経理は、他の事業の経理と区分して特別の会計を設けていること。
オ 定款において、附加的給付事業を行うことを明らかにしているとともに、附加的給付事業廃止の際になお当該事業に係る残余の資産がある場合には、健康保険に関する事業を行う法人(例えば、本事業の対象事業所において健康保険組合が設立される場合の当該組合、(財)都道府県社会保険協会等)に帰属する旨の定めがあること。
カ 附加的給付事業に係る掛金の総額が、当該事業の収支を相償うよう適切に定められ、年度途中での掛金率の引き上げ、過大な剰余金の発生等がないようにすること。
キ 附加的給付事業に係る余裕金は、銀行預金・郵便貯金・国債の保有その他安全かつ確実な方法で保管されること。
ク 附加的給付事業に係る剰余金の分配を行わないこと。
ケ 長期的に附加的給付事業の安定した運営が見込まれること。具体的には、以下の要件を満たしていること。
(1) 対象被保険者数が三○○人以上であること。なお、事業の安定的な運営を図るため、地域又は業種を同じくする事業所が協同してできるだけ規模を大きくすることが望ましいこと。
(2) 将来にわたつて対象事業所及び対象被保険者数に大きな変動が見込まれないこと。
(3) 過去において対象事業所に係る社会保険に関する成績が良好であること。
(2) 令第九十二条各号に掲げる法人が承認を受けようとするときには、申請書(様式第1号)に次の書類を添付すること。
(1) 定款
(2) 登記簿謄本
(3) 事業内容(様式第2号)
(4) 初年度の収入支出の予算(様式第3号)
(3) 第一号法人の定款例は、別紙1のとおりであること。
(4) 第二号法人の定款記載例は、別紙2のとおりであること。
3 事業
(1) 承認を受けたもの(以下「承認法人等」という。)は、次に掲げる業務を行うこと。
ア 給付
(1) 給付申請には、医療機関の発行した領収書、高額療養費支給決定通知書等支払つた額を証明する書類を添付させること。
(2) 法の規定に基づき受けた療養の給付に関し支払つた一部負担金の額又は療養費若しくは特定療養費の支給に関し一部負担金相当額として控除された額から、高額療養費として支給される額及び三○○○円を下回らない額を控除した額を支払うこと。
(3) 法の規定に基づき給付制限が行われているときは、給付を行わないこと。
(4) いわゆる第三者行為に係るものであるときは、その給付した範囲内で受給者が第三者に対して有する損害賠償請求権の譲渡を受け、また、受給者が損害賠償請求権を放棄したときは給付を行わないこと。
イ 掛金の徴収
(1) 徴収すべき掛金の額を決定し、事業主及び被保険者から徴収すること。
(2) 掛金の納期限は、原則として翌月末日とすること。
ウ 次に掲げる事由が発生したときは、速やかにその旨を健康保険法施行規則(以下「規則」という。)第百五条第一項に規定する承認庁(以下単に「承認庁」という。)に届け出ること。
(1) 定款を変更したとき
変更された部分が附加的給付事業に係るものかどうかは問わないこと。
(2) 対象事業所に次の異動があつたとき
・対象事業所の新規加入・脱退
・対象事業所の事業主の変更
エ 掛金率を変更しようとするときは、あらかじめ承認庁の承認を得ること。
オ 次に掲げる事項を記載した掛金に関する計算書を作成し、各事業所ごとに保管させておくこと。
(1) 事業主及び対象被保険者の氏名
(2) 徴収した掛金の額
(3) 徴収した年月日
(2) 対象事業所の事業主は、次の業務を行うこと。
ア 規則第五条の規定に基づく対象被保険者の標準報酬の決定又は改定の通知に基づき、当該決定額又は改定額を承認法人等に対し届け出ること。
イ 事業主負担分及び対象被保険者負担分の掛金を併せて承認法人等に納付すること。
ウ 事業主に変更があつたときは、新たに事業主となつた者(以下「新事業主」という。)及び事業主であつた者(以下「旧事業主」という。)は、連署して次に掲げる事項を承認法人等に届け出ること。ただし、事業主であつた者が死亡したとき等連署できないときは、新事業主が届け出ること。
(1) 事業所の名称
(2) 被保険者証の記号
(3) 変更の年月日
(4) 新事業主及び旧事業主の氏名及び住所
エ 次に掲げる事項に変更があつたときは、承認法人等に対し遅滞なく届け出ること。
(1) 対象被保険者の氏名
(2) 対象被保険者の被保険者証の記号及び番号の変更、被保険者資格の喪失
(3) 被保険者が新たに当該事業の対象者となろうとするときは、承認法人等に対し事業主を経由して、その旨を申請すること。
(4) 対象事業所の加入・脱退
承認法人等から対象事業所の加入又は脱退の届出がなされたときは、承認庁は新たに承認するときと同様の審査、特に、当該事業所の異動により承認基準に該当しなくなるかどうか、事業の安定的な運営に支障がないかどうかの審査を行うこと。
この審査の結果、承認基準に該当しなくなると認められるときは、承認法人等の承認を取り消すこととなるので、事業所の異動があるときは事前に十分な指導を行うこと。
なお、この審査には次の書類を添付させること。
ア 定款に変更がある場合は、定款
イ 当該事業所の加入又は脱退後の事業計画
ウ 当該事業所の加入又は脱退後の掛金率及びその計算の基礎を示した書類
エ 当該事業所の加入又は脱退後の収入支出の予算
(5) 事業の実施にあたつては実施規程を定め、これに基づいて行うこと。なお、実施規程例は第一号法人にあつては別紙3、第二号法人にあつては別紙4のとおりであること。
4 財務
(1) 会計年度
承認法人等の会計年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとすること。
(2) 特別会計
承認法人等は、附加的給付事業につき、特別の会計をもつて経理すること。
(3) 予算
承認法人等は、様式第3号に従い、毎年二月末日までに附加的給付事業に係る収入支出の予算を作成し、承認庁に届け出ること。
年度途中で予算を変更した場合は、速やかに承認庁に届け出ること。
(4) 掛金の計算
ア 対象被保険者に係る掛金額は、各月ごとに当該者の標準報酬月額に掛金率を乗じたものとすること。
イ 対象被保険者及び対象被保険者を使用する事業主は、それぞれ掛金額の二分の一を負担すること。ただし定款によつて事業主の負担割合を増加させることができること。
ウ 対象被保険者が月の途中から対象者でなくなつたときは、その月の掛金は算定しないこと。
(5) 決算
承認法人等は、様式第3号に従い、毎年六月末日までに前年度の附加的給付事業に係る決算書を作成し、承認庁に届け出ること。
(6) 公益法人会計基準への準拠
(1) ~(5)に掲げるもののほか、承認法人等の附加的給付事業に係る会計については、公益法人会計基準の例によること。
5 報告等
(1) 事業報告
承認法人等は、様式第4号に従い、毎年六月末日までに前年度の附加的給付事業に係る事業報告を作成し、承認庁に届け出ること。
(2) 報告の徴収
承認庁は、(1)の事業報告の外必要があると認めるときは、承認法人等に対し報告を求めること。
6 承認の取消
承認法人等が承認基準に該当しなくなつたときは、承認庁はその承認を取り消すこととなるが、この場合、次のような点に留意すること。
ア 加入者の減少が一時的なものかどうか、速やかにその回復が見込まれるかどうかを見極めること。
イ 対象事業所が複数の場合であつて、一部の事業所においてのみ加入率が基準を下回つた場合においては、実情をよく把握し、当該事業所の加入率の引き上げ又は当該事業所の脱退等適切な措置をとるよう指導すること。
7 税制上の特別措置
附加的給付事業に係る掛金、給付金については、税制上次の措置がとられる予定であること。
ア 給付金の非課税措置
承認法人等によつて行われる給付については、保険給付と同様、これを標準として所得税を課さないこと。
住民税についても同様であること。
イ 掛金の控除
承認法人等の徴収する掛金は、社会保険料と同様、所得税の課税対象所得から控除されること。
住民税についても同様であること。
第二 船員保険関係
健康保険に準じて取り扱うものとすること。
様式第1号
様式第2号
様式第3号
様式第4号
別紙1
別紙2
別紙3
別紙4