添付一覧
○弁済供託金の取もどし請求権に対する滞納処分等について
(昭和三六年五月一五日)
(保険発第三九号)
(各都道府県民生部(局)保険課(部)長・各社会保険出張所長あて厚生省保険局庶務課長通知)
清算会社が残余財産の分配金を弁済供託した場合の取りもどし請求権に対する滞納処分による差押及び差押のためにする供託書閲覧の申請手続につき、別紙の通り法務省民事局長から国税庁長官あてに通知があつたので、健康保険法、日雇労働者健康保険法、厚生年金保険法及び船員保険法の規定により、国税徴収の例によつて保険料その他の徴収金を徴収する(国税滞納処分の例による処分を含む。)場合において、これらの取扱いをするときは、左記に留意のうえ処理されたい。
記
1 清算人が残余財産の分配を行なつた場合において、その分配金の受領を拒否する株主のために弁済供託がされているときは、たとえ清算結了の登記が完了しているときであつても、会社の保険料その他の徴収金の徴収との関係においてはなおその会社は存続するものとして、その弁済供託金の取もどし請求権につき滞納処分による差押ができること。
2 弁済供託金の取もどし請求権に対する差押のために供託書の閲覧を請求する場合には、供託事務取扱手続準則(昭和三十四年三月六日付法務省民事局長及び経理部長通達民甲四五二)第七十八条第二項に定める同附録第一六号様式による請求書を提出して閲覧するものとすること。
注1 附録第一六号様式の閲覧申請書は、次の通りである。
[様式ダウンロード]
2 供託書等供託に関する書類の謄写は閲覧により行なうことができる。
3 閲覧手数料等は納付することとなつていない。
別紙
弁済供託金の取戻請求権に対し滞納処分による差押を為す場合における供託事務の取扱について
(昭和二六年一月一八日 法務省民事甲第一四八号)
(国税庁長官あて法務省民事局長通知)
標記の件について、別紙甲号のとおり松山地方法務局長から照会があつたので、別紙乙号のとおり回答したから、参考のため通知します。
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別紙甲号
(昭和三五年七月二八日 供日記第七〇号)
(法務省民事局長あて松山地方法務局長照会)
此の度松山税務署より清算会社が弁済供託した残余財産分配金についての取戻請求権に対し滞納処分による差押を為すため供託書閲覧の申出がありましたが、税務官署は供託上利害の関係がある者と認められないので許可できないものと思われますが、なお供託金の取戻に関する税務当局の見解についても疑義があるので、何分の御指示賜り度く事情を具してお伺い致します。
記
松山市持田町二七番地、愛媛機帆船運送株式会社は、昭和二十九年五月三十一日解散したが同三十一年一月二十五日松山地方裁判所の命令により特別清算が開始せられ、その清算は裁判所の選任した特別清算人によつて行われた。特別清算人は残余財産分配につ株主中、分配金の受領を拒否する者三〇四名分については昭和三十二年五月十七日その分配金を松山地方法務局に弁済の為供託し、清算を終結した。
裁判所は昭和三十二年六月十八日特別清算終結決定を為し、翌六月十九日清算結了登記を完了し、会社は消滅した。処が此の度松山税務署から、前記会社は昭和三十三年度法人再評価税金五万五二一〇円が未納であるから之が滞納処分の為、弁済供託に係る残余財産分配金についての供託金取戻請求権に対し差押を執行し度いので、之が調査の為供託書の閲覧を許して貰い度いとの申出があり、且本件につき税務署としては次のような見解を有して居る旨を表明しました。
1 清算結了登記が完了していても公課未納の場合は適法な清算結了に基くものでないから清算の為必要な範囲に於てなお会社は存続し、課税されるべき国税は消滅しない。
2 滞納処分の為供託物の差押を為す場合は、税務官署は差押うべき供託物につき利害関係人に該当する。
3 滞納処分により弁済供託金の取戻請求権を差押えた場合には、税務官署は供託者に代り供託不受諾を事由として供託を取消し直ちに供託物の取戻を請求することができる。
然しながら第二項についてはその見解を是認し難く第三項についても甚だ疑義があるので、何分の御指示を願います。
別紙乙号
(昭和三六年一月一八日 法務省民事甲第一四八号)
(松山地方法務局長あて法務省民事局長回答)
昭和三十五年七月二十八日付供日記第七〇号で照会のあつた標記の件については、次のように考える。
徴税官署は供託事務取扱手続準則第七十八条第一項の「供託上利害の関係を有する者」とは認められない。しかし、国税徴収法第百四十一条の規定の趣旨にかんがみ、供託物を特定して同準則所定の様式の書面により閲覧の請求があつた場合は、これに応じて差しつかえない。
なお、本件会社は納税義務の認められる限り、清算会社として存続していると解すべきであるから、税務官署は、当該供託金の取戻請求権に対し滞納処分をすることができる。