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○健康保険法等の一部を改正する法律等の施行について(依命通知)

(昭和五九年九月二二日)

(厚生省発保第八七号)

(各都道府県知事あて厚生事務次官通知)

健康保険法等の一部を改正する法律(昭和五十九年法律第七十七号)は、昭和五十九年八月十四日に公布されたところであるが、改正の趣旨及び内容は、次のとおりであるのでこれが周知徹底を図り、その実施に遺憾なきを期されたく、命により通知する。

第一 改正の趣旨

I 改正の基本的な考え方

我が国の医療費は、人口の急速な高齢化、疾病構造の変化、医学医術の高度化等により、今後とも増加の基調にあるが、安定成長の定着した経済環境の下で、これまでのような医療費の増加が続けば、国民の負担能力との間の乖離が拡大していくおそれがあり、また、厳しい国家財政の状況下で、国庫による各医療保険制度間の不均衡の調整機能を維持することも困難となつてきている。

今般の改正は、このような状況に的確に対応し、二十一世紀の本格的な高齢化社会に備え、医療保険の揺るぎない基盤づくりを進め、すべての国民が適正な負担で公平に質の高い医療を受けることができるよう、(1)医療費の適正化、(2)保険給付の見直し、(3)負担の公平化を三本の柱として、被用者保険本人に係る一部負担金制度の導入、高額療養費制度の改善、退職者医療制度の創設、国民健康保険における国庫補助制度の改正、日雇労働者の健康保険体系への取入れ等医療保険制度全般にわたる改革を行うものであること。

Ⅱ 主要な改正事項の趣旨等

1 被用者保険本人に係る一部負担金制度の改正

(1) 被用者保険本人に係る一部負担金については、国民すべての給付の公平化を図る第一歩とするとともに、医療費の適正化、効率化を進めるという観点から、定率の一部負担を導入することとされたこと。

(2) 一部負担金の割合については、急激な変化を避けるため、昭和六十一年四月一日以後の日で国会の承認を受けて厚生大臣が告示する日までの間は一〇〇分の一〇とし、その日の翌日以後一〇〇分の二〇とされたこと。

(3) 定率一部負担の導入により、健康への自覚、医療費に対するコスト意識の喚起が期待されるとともに、医療を受ける者とそうでない者との間の負担のバランスが図られるものであること。

(4) なお、保険医療機関等の事務の軽減を図るため、(1)希望する医療機関等における少額医療費段階別定額制及び(2)一部負担金等の一〇円未満の端数金額の四捨五入の措置が講ぜられたものであること。

2 高額療養費制度の改正

高額療養費制度については、医療費の家計への影響に特に配意して制度全般の改善を図ることとし、可能な限りの改善が行われたものであること。また、高額な医療費の当座の支払に充てるため、保険者が貸付制度を実施することができることとされたこと。

3 療養費制度の改正

特定療養費制度の創設は、患者の選択による特別室への入院や金等の歯科材料を使用した治療及び高度先進医療を受けた場合の負担について、法令に基づき適正なルール化を図り、保険給付と国民の多様なニーズとの調整を図る趣旨のものであり、今後においても、必要にして適切な医療は保険で給付する方針に変わりはないものであること。

なお、特定承認保険医療機関の要件、高度先進医療の内容等については、今後、中央社会保険医療協議会において審議されることとなつていること。

4 保険医療機関等に関する改正

不正、不当な保険医療機関、保険医等に係る再指定、登録等に関し、所要の規定の整備が行われたものであること。

5 退職者医療制度の創設

(1) 被用者保険の被保険者は、退職後、国民健康保険の加入者となるため、給付水準が低下し、また、その医療費の負担は、主として自営業者や農業者等他の国民健康保険加入者と国庫に依存することとなるが、この給付と負担両面での不公平を是正するため退職者医療制度が創設されたものであること。

(2) 対象者については、その把握を確実かつ円滑に行うため被用者年金の受給権者等とされたこと。

(3) 給付については、将来の各医療保険制度における給付の公平化等に配慮して、被保険者については、入院、入院外とも八割給付とし、その被扶養者については、現行の被用者保険の被扶養者と同一とされたこと。

(4) 費用負担については、制度間の負担の公平を図る等のため、退職者の保険料及び一部負担金を除いた部分につき、被用者保険等の保険者からの拠出金によるものとされたこと。

(5) 実施主体は、対象者の利便等を考慮して、国民健康保険の保険者である市町村とされたこと。

6 日雇特例被保険者に係る改正

日雇労働者健康保険法による健康保険制度については、今後とも単独の制度としてこれを運営していくことは困難であることに鑑み、同法が廃止され、その対象者は健康保険の日雇特例被保険者とされたこと。

7 国民健康保険の国庫補助に係る改正

国民健康保険の国庫補助については、退職者医療制度の創設等に伴い、他制度に比較して過重となつていた医療費負担が軽減されること等に鑑み、補助の仕組みを見直すこととされたこと。

8 社会保険診療報酬支払基金等における審査体制に係る改正

医療費の適正化のため、著しく高額等の診療報酬請求書の審査体制の一層の充実を図ることとし、社会保険診療報酬支払基金の主たる事務所等に特別審査委員会を設置することとされたこと。

第二 改正の内容

I 健康保険関係

1 保険給付に関する事項

(一) 一部負担金制度の改正

(1) 被保険者は、療養の給付を受けるに際して、昭和五十九年十月一日から昭和六十一年四月一日以後の日で国会の承認を受けて厚生大臣が告示する日までの間は、当該療養の給付に要する費用の一〇〇分の一〇に相当する額を一部負担金として保険医療機関又は保険薬局に支払うものとされたこと。この場合において、都道府県知事に届け出た保険医療機関等について被保険者が療養の給付を受けた場合の一部負担金は、当該療養の給付に要する費用の額の段階に応じて所定の一定額とされたこと。

(2) (1)の厚生大臣が告示する日の翌日以後の被保険者の支払う一部負担金の割合は、一〇〇分の二〇とされたこと。

(3) 保険医療機関等における一部負担金等の支払について、一〇円未満の端数金額が出るときは、その額は、四捨五入し、一〇円単位とされたこと。

(二) 高額療養費制度の改正

(1) 同一月において被保険者及びその被扶養者の支払つた一部負担金等の額のうち、三万円以上のものを合算した額が五万一〇〇〇円を超える場合に、当該額から五万一〇〇〇円を控除した額を支給するものとされたこと。この場合、低所得者等にあつては、三万円とあるのは二万一〇〇〇円と、五万一〇〇〇円とあるのは三万円とされたこと。

(2) 療養に要する期間が著しく長期にわたり、一定の高額な治療を継続して行うことを必要とする疾病であつて厚生大臣の定めるものに関しては、一部負担金等の額から一万円を控除した額を支給するものとされたこと。なお、この疾病としては、いわゆる血友病及び人工透析治療を行う必要のある慢性腎不全を指定する予定であること。

(3) 高額療養費の支給を受ける場合において、当該高額療養費に係る療養があつた月以前一二か月間に既に四回以上高額療養費が支給されているか、又は当該高額療養費を含めて四回支給されることとなるときは、一部負担金等の額から三万円(低所得者等にあつては二万一〇〇〇円)を控除した額を支給するものとされたこと。

(4) 被保険者等が(2)の疾病に係る療養を受けた等の場合には、保険者は、高額療養費として被保険者に支給すべき額に相当する額を保険医療機関等に支払うものとされたこと。

(三) 療養費制度の改正

(1) 被保険者が次に定める療養を受けたときは、保険者は、特定療養費を支給するものとされたこと。

ア 保険医療機関等につき、被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生大臣が定める療養を受けたとき。なお、この療養としては、療養を受ける者の選定に係る次に掲げる療養が定められたものであること。

(ア) 特別の病室の提供

(イ) 前歯部の鋳造歯冠修復又は歯冠継続歯に使用する金合金又は白金加金の支給

イ 大学の附属施設である病院その他の高度の医療を提供するものとして所定の要件に該当する病院又は診療所であつて都道府県知事の承認を受けたもの(以下「特定承認保険医療機関」という。)につき、療養を受けたとき。

(2) 特定療養費の額は、当該療養につき厚生大臣が定める療養の給付に関する療養に要する費用の算定方法を勘案して厚生大臣が定めるところにより算定した費用の額の一〇〇分の九〇に相当する額とされたこと。ただし、(一)の(1)の厚生大臣の告示する日の翌日以後は、その割合は一〇〇分の八〇とされたこと。

(3) 特定療養費について、その支給すべき額の限度において、保険者が被保険者に代わり、保険医療機関等又は特定承認保険医療機関に対し支払をなすことができるものとされたこと。

(4) 保険医療機関等又は特定承認保険医療機関は、(1)の療養に要した費用につき支払を受ける際に被保険者に対し領収証を交付しなければならないものとされたこと。

(5) 厚生大臣は、(1)のアの厚生大臣の定める療養及びイの特定承認保険医療機関の要件並びに(2)の厚生大臣の定める費用の算定方法を定めるに当たつては、中央社会保険医療協議会に諮問するものとされたこと。

(6) 被扶養者についても被保険者と同様の取扱いとされたものであること。

(7) なお、この療養費の取扱いについては、各公費負担医療等(生活保護法による医療扶助を除く。)においても、健康保険と同様であること。

(四) 傷病手当金に関する改正

傷病手当金の受給者が、同一の傷病により厚生年金保険法の障害年金又は障害手当金の受給要件に該当することとなつた場合は、従来、一律に傷病手当金が不支給とされていたが、傷病手当金の額が障害年金又は障害手当金の額を上回るときは、その差額を支給するものとされたこと。

2 標準報酬に関する事項

標準報酬月額の下限について実態を勘案して三万円を六万八〇〇〇円とするとともに、上限についても実態を勘案しつつ被保険者間の負担の公平を図るため、四七万円を七一万円とされたこと。

3 保険医療機関等に関する事項

(一) 保険医療機関又は保険薬局の指定に当たり、当該医療機関又は薬局が診療又は調剤の内容が適切を欠くおそれがあるとして厚生大臣又は都道府県知事の指導を重ねて受けたものであるときは、都道府県知事は指定を拒むことができるものとされたこと。

(二) 医師等が単独で開設する診療所等において保険医等の登録がなされた場合であつても、都道府県知事が不適当と認めるときには、保険医療機関等の指定があつたものとはみなさないものとされたこと。

(三) 保険医又は保険薬剤師の登録に当たり、当該医師等が保険医等として著しく不適当と認められるときは、都道府県知事は登録を拒むことができるものとされたこと。

(四) 厚生大臣又は都道府県知事は、保険医療機関等の開設者等であつた者に対して報告等を命ずることができるものとされたこと。

4 日雇特例被保険者に関する事項

(一) 日雇特例被保険者に係る給付内容と保険料は、その就労の特性を考慮して一般の被保険者と実質的に均衡のとれたものとなるよう定められたこと。

(二) 国庫は政府管掌健康保険の事業所の日雇特例被保険者に係る給付等の費用について、一般の被保険者と同一の補助率により補助を行うこととされたこと。なお、従来の国庫補助水準を確保するため、この定率補助とは別に予算措置による補助を行うこととしている。

(三) 日雇特例被保険者が就労した事業所に係る健康保険組合等は、その就労実態に応じて、日雇拠出金を拠出するものとされたこと。

(四) 廃止前の日雇労働者健康保険事業に係る累積収支不足については、借入れができることとされ、その償還を一般会計からの繰入れにより行うことができることとされたこと。

5 その他の事項

(一) 五人未満の従業員を使用する事業所等のうち法人の事業所について、昭和六十一年四月から段階的に健康保険の適用を行うこととされたこと。

(二) 退職者医療制度の対象となるまでの間の給付水準の低下を回避するため任意継続被保険者制度の期間の特例を設け、五五歳以上で被保険者資格を喪失した者については六〇歳に達するまで(六〇歳に達する前に国民健康保険法に規定する退職被保険者となりうるときはそのときまで)の間、任意継続被保険者となりうるものとされたこと。また、任意継続被保険者の保険料について、被保険者の利便に資するため六か月間又は一二か月間を単位として前納ができるものとされたこと。

(三) 保険者は、被保険者等の健康の保持増進を図るため、健康相談、健康診断等の事業を行い、又はこれに必要な費用の支出をすることができる旨明文化されたが、保険者においては、これら健康管理事業の一層の充実に努める必要があること。

(四) 保険者は、被保険者等の療養のための費用に係る資金の貸付けの事業を行い、又はこれに必要な費用の支出をすることができるものとされたこと。

(五) 退職者給付拠出金及び日雇拠出金は、保険料をもつて充てるものとされたこと。

(六) 健康保険組合連合会が行う交付金交付事業の目的に日雇拠出金及び退職者給付拠出金の納付に要する費用の財源の不均衡を調整することを含めるものとされたこと。

(七) 厚生大臣の認可を受けた健康保険組合の被保険者であつた者であつて、国民健康保険法に規定する退職被保険者であるべき者のうち、当該組合の規約で定める者は、申請により当該組合の特例退職被保険者となることができるものとされたこと。

(八) 府管掌健康保険の事業所の事業主及びその被保険者により組織された法人等で社会保険庁長官の承認を受けたものは、被保険者の支払つた一部負担金に相当する額の範囲内で附加的な給付を行うことができるものとされたこと。

Ⅱ 船員保険関係

1 一部負担金制度については、船員法(昭和二十二年法律第百号)第八十九条に規定する療養補償に相当する医療を受けるときは、一〇割給付とし、その他の職務外の傷病に係る医療を受けるときは、健康保険と同様、九割給付とされたこと。

2 次の事項について、健康保険と同様の改正が行われたものであること。

(1) 高額療養費制度

(2) 療養費制度

(3) 傷病手当金に関する事項

(4) 標準報酬に関する事項

(5) その他

ア 疾病任意継続被保険者制度の期間の特例に関する事項及び疾病任意継続被保険者の保険料の前納に関する事項

イ 保険者の実施する健康相談、健康診断等に関する事項

ウ 被保険者等に対する資金の貸付けに関する事項

エ 退職者給付拠出金に関する事項

オ 船員保険被保険者本人に係る附加的給付に関する事項

Ⅲ 国民健康保険関係

1 退職者医療制度に関する事項

(一) 退職者医療制度の対象者は、次に掲げる者とされたこと。

(1) 退職被保険者

市町村が行う国民健康保険の被保険者(老人保健法の規定による医療を受けることができる者を除く。)のうち、厚生年金保険法等被用者年金保険の各法令に基づく老齢又は退職を支給事由とする年金給付を受けることができる者であつて、これらの法令の規定による被保険者等であつた期間が二〇年(その期間が二〇年未満で当該年金たる給付を受けることができる者にあつては、政令で定める期間)以上であるか、又は四〇歳に達した月以降の年金保険の被保険者等であつた期間が一〇年以上であるもの。ただし当該年金たる給付の支給がその者の年齢を事由として全額につき停止されている者を除く。

(2) 退職被保険者の被扶養者

市町村が行う国民健康保険の被保険者(老人保健法の規定による医療を受けることができる者を除く。)のうち、退職被保険者の直系尊属、配偶者(届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、孫、弟妹等であつて、退職被保険者と同一の世帯に属し、主として退職被保険者により生計を維持するもの。

(二) 退職被保険者及びその被扶養者(以下「退職被保険者等」という。)に係る一部負担金の割合は、次のとおりとされたこと。

(1) 退職被保険者 一〇分の二

(2) 退職被保険者の被扶養者

ア 入院外 一〇分の三

イ 入院 一〇分の二

(三) 退職被保険者等が療養の給付を受けた際に国民健康保険の一般の被保険者と同じ割合の一部負担金を支払つた場合において、やむを得ない理由があると認めるときは、すでに支払われた一部負担金の額と退職被保険者等として支払うべき一部負担金の額との差額を特例療養費として支給するものとされたこと。

(四) 市町村が負担する費用のうち、退職被保険者等に係る医療給付費から退職被保険者等に係る保険料(税)を控除した額については、社会保険診療報酬支払基金(以下「基金」という。)が市町村に対して交付する療養給付費交付金をもつて充てることとされたこと。

(五) 療養給付費交付金及び基金の退職者医療関係業務の事務の処理に要する費用は、基金が被用者保険等保険者から徴収する療養給付費拠出金及び事務費拠出金をもつて充てることとされ、この場合において、各々の被用者保険等保険者の拠出すべき額は、総拠出額を各々の保険者の標準報酬総額(共済組合等にあつては、政令で定めるところにより補正した額)により按分した額とされたこと。

(六) 厚生大臣は、市町村の退職被保険者等に係る国民健康保険事業の運営に関し、市町村が確保すべき収入を不当に確保しなかつた場合又は市町村が支出すべきでない経費を不当に支出した場合においては、基金に対し、当該市町村に対する療養給付費交付金の額を減額することを命ずることができるものとされたこと。

(七) 厚生大臣は、被用者保険等保険者の拠出金等に関する重要事項について社会保険審議会の意見を聴くものとされたこと。

(八) Iの5の(七)の厚生大臣の認可を受けた健康保険組合が拠出すべき療養給付費拠出金については、所要の減額を行うものとされたこと。

2 国庫補助に関する事項

(一) 国は、毎年度、各市町村につき、当該年度における次に掲げる額の合算額の一〇〇分の四〇に相当する額を療養給付費等負担金として負担するものとされたこと。なお、一部負担金の割合を減じている等の市町村に関しては、(1)及び(2)の額は、当該一部負担金の割合の軽減等の措置が講ぜられないものとして算定した額に相当する額とされたこと。

(1) 一般被保険者(退職被保険者等以外の被保険者をいう。以下同じ。)に係る医療給付費の額

(2) 老人保健医療費拠出金の納付に要した費用の額に七分の一〇を乗じて得た額にすべての市町村の一般被保険者に係る平均医療給付率を乗じて得た額

(二) 市町村に対する調整交付金の総額は、(一)の(1)及び(2)に掲げる額の合算額の見込額の一〇〇分の一〇に相当する額とされたこと。

(三) 国は、毎年度、国民健康保険組合(以下「組合」という。)に対し、各組合につき、当該年度における次に掲げる額の合算額の一〇〇分の三二に相当する額を補助することができるものとされたこと。なお、一部負担金の割合を減じている等の組合に関しては、(1)及び(2)の額は、当該一部負担金の割合の軽減等の措置が講ぜられないものとして算定した額に相当する額とされたこと。

(1) 医療給付費の額

(2) 老人保健医療費拠出金の納付に要した費用の額に七分の一〇を乗じて得た額に、すべての組合の平均医療給付率を乗じて得た額

(四) 国は、(三)の補助を行う場合において、組合の財政力等を勘案して、(三)の(1)及び(2)に掲げる額の合算額の見込額の一〇〇分の一五に相当する額の範囲内で、補助の額を増額することができるものとされたこと。

3 その他の事項

(一) 高額療養費制度及び療養費制度について、健康保険と同様の改正が行われたものであること。

(二) 国民健康保険医等の登録及び療養取扱機関の開設者等であつた者に対する報告命令等について、健康保険法と同様の改正が行われたものであること。

(三) 著しく高額等の診療報酬請求書の審査の一層の適正をはかるため、国民健康保険団体連合会は、委託を受けた審査に関する事務のうち厚生大臣の定める診療報酬請求書の審査に係るものを、厚生大臣の指定する者に委託することができるものとされたこと。

(四) 保険者の実施する健康相談、健康診断等に関する事業、被保険者に対する資金の貸付けに関する事業について、健康保険法と同様の改正が行われたものであること。

Ⅳ 社会保険診療報酬支払基金関係

厚生大臣の定める診療報酬請求書について審査を行うための特別審査委員会を社会保険診療報酬支払基金の主たる事務所に設けるものとされたこと。

V 施行期日等

1 この法律及び関係政令等の施行は、昭和五十九年十月一日からとされたこと。ただし、健康保険組合の特例退職被保険者に係る事項及び政府管掌健康保険の被保険者及び事業主により組織された法人等が行う附加的な給付に関する事項については、昭和六十年四月一日から等とされたこと。

2 政府は、新健保法の施行後、医療費の動向、国民負担の推移、財政事情等各般の状況を勘案し、健康保険制度の全般に関する検討を行い、その結果に基づいて、社会保険の被扶養者及び国民健康保険の給付割合を八割とするよう必要な措置を講ずるものとされたこと。