添付一覧
○審査権の及ぶ範囲について
(昭和三五年一〇月六日)
(年企発第二一号)
(各都道府県社会保険審査官(国民年金担当)あて厚生省年金局企画数理室長通知)
標記について、別紙甲号京都府社会保険審査官の照会に対し、別紙乙号のとおり回答したので御了知のうえ事務処理上の参考とされたい。
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(別紙甲号)
(昭和三五年九月一二日 五国審第一六号)
(厚生省年金局企画数理室長あて 京都府社会保険審査官照会)
前記のことについて左記のとおり疑義があるので至急御教示願いたい。
記
聴覚障害を理由とする障害福祉年金裁定請求者が当該請求の却下を不服として審査請求をした場合、その不服とする理由が視覚障害にあるときは、審査は当該視覚障害にも及ぶことができるか。この場合、当該視覚障害を理由とすれば、受給権があると認められるときは、却下処分の取消決定を行うべきか。
すなわち、審査は、請求の理由とは関係なく、当該請求事件の受給要件の全部に亘つてなすべきであるかあるいは、請求人の請求の趣旨及び原因は、聴覚障害を理由としたものにつき、その点のみの審査に限られ、視覚障害に対する審査を必要とせず、却下の原処分は視覚障害を判断したものでないと解することにより、請求は審査の範囲外であるとして却下するを相当とするものか。
また、老齢福祉年金の裁定請求では却下された者が、障害福祉年金の受給権者であることを理由として審査請求をなしうるか。
(別紙乙号)
(昭和三五年一〇月六日 年企発第二〇号)
(京都府社会保険審査官(国民年金担当)あて 厚生省年金局企画数理室長回答)
昭和三十五年九月十二日五国審第一六号をもつて照会のあつた標記について左記のとおり回答する。
記
1 障害福祉年金の裁定却下に対する不服申立の審査は、障害福祉年金の受給権の有無について行なうものであるから、審査の範囲は、障害福祉年金の支給要件の全部について及びうるものであつて、原処分庁が判断の基礎とした理由に限られるものではない。したがつて、聴覚障害が一級に該当しないことを理由とする障害福祉年金の裁定却下処分に対し、視覚障害又はその他の障害が一級に該当することを理由として審査請求があつた場合であつても、当該視覚障害又はその他の障害によつて法定の受給要件を満たしているものと判断されたときは、社会保険審査官は、その請求を容認することができる。なお、原処分が誤りであることを明白に示す資料があらたに提出された設問のような事例については、決定に先立つて原処分庁に連絡し、処分の訂正をうながすことが望ましいと考えられる。
おつて、本件については、昭和三十五年九月二十日年企発第一七号本職通知「国民年金法第百一条第一項の規定による審査の請求に対する疑義について」別紙甲号熊本県社会保険審査官の照会に対する別紙乙号本職回答記四を参照されたい。
2 老齢福祉年金に関する処分と障害福祉年金に関する処分は、全く別個の処分であるから、老齢福祉年金の裁定却下処分を受けた者が、障害福祉年金を受けることができることを理由とし障害福祉年金の支給を求めて審査の請求をすることはできない。すなわち、この審査の請求に対しては、不服の申立の対象となる原処分がない不適法な請求として本案の審理に入ることなく却下の決定がなされるべきである。