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○老人福祉法施行事務に係る質疑応答について

(昭和三九年一月七日)

(社施第一号)

(各都道府県・指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局施設課長通)

標記のことについては、昭和三十八年八月一日社施第二七号本職通知をもつて通知したところであるが、今般更にその追加として老人福祉法施行後における主要な質疑応答を別紙のとおり示すから、事務処理上の参考とされたい。

別紙

老人福祉事務質疑応答

第一 福祉の措置に関する事項

第1問 養護老人ホーム又は特別養護老人ホーム(以下「老人ホーム」という。)に私的契約で入所している者から当該老人ホーム所在地を管轄する甲市に措置開始の申出があつた。当該老人の入所前の居住地は乙市である。措置の実施機関は甲、乙いずれの市の市長であるか。

答 老人ホームに入所している者の居住地は、当該老人ホーム所在地であると解すべきであるので、設例の場合は当該老人ホーム所在地を管轄する福祉事務所を管理する甲市長が措置を行なうこととなる。

なお、軽費老人ホーム又は有料老人ホームに入所している者に対し措置を行なう場合も同様である。

第2問 異なる措置の実施機関から措置を受けて同一の老人ホームに収容されている男女老人が当該施設内で結婚し、引き続き措置を受ける場合の措置の実施機関はどうなるか。

答 当該被措置者は、婚姻により同一世帯を構成することとなるが、措置の実施機関は、老人福祉法第十一条第四項ただし書に規定するとおり、当該被措置者の収容前の居住地又は現在地により定まるものであつて、変動することはない。従つて、この場合においては、同一世帯と認定される事例についても、二つの実施機関がそれぞれ引き続き別個に措置を行なうこととなる。

第3問 老人福祉法施行細則準則第五条第二項によれば、養護受託者(申出者)の申出の受理、審査及び登録等については福祉事務所長が行なうこととされているが、これによると、福祉事務所長は自ら登録した養護受託者に対してのみ老人福祉法第十一条第一項第四号による措置をとり得るものと解されるが如何。

答 原則としては、貴見のとおりであるが、同一都道府県、指定都市又は社会福祉事業法第十三条第三項ただし書の市にあつては、当該都道府県又は市が設置した他の福祉事務所の管内に居住する養護受託者に対しても養護委託の措置を行なつて差しつかえない。

第4問 老人の養護を受託した養護受託者が他の都道府県、市又は福祉事務所を設置する町村に転出した場合においては、先に行なつた養護委託の措置を廃止すべきか。

答 貴見のとおりである。

第5問 老人ホームに収容されている者若しくは養護受託者にその養護を委託されている者が生活保護法による医療扶助により入院するとき、又は入院している被保護者が老人ホームに入所するとき若しくは養護受託者の家庭に入るときの移送に要する費用は、老人福祉法により支給することができるか。

また、老人ホーム等から医療扶助により通院するときの移送に要する費用の取扱いはどうなるか。

答 いずれの場合においても、当該費用は、老人福祉法によつては支給されない。

第6問 老人ホームに収容されている者又は養護受託者にその養護を委託されている者が死亡した場合であつて、次のようなときは、老人福祉法による葬祭又は葬祭の委託の措置を行なうことができるか。

1 当該死者の扶養義務者等に葬祭を行なうに充分な資力を有する者があり、しかもその葬祭を行なおうとしないとき

2 当該死者が同時に被保護者であつてその葬祭を行なう者がないとき

3 当該死者の扶養義務者等が引き取つて葬祭を行なう場合であつてその扶養義務者等が要保護者であるとき

答 老人福祉法第十一条第三項の規定により、葬祭又は葬祭の委託の措置は、葬祭を行なう者がないときに行なうものであるから、設例の1及び2については、当該措置を行なうこととし、設例の3については、当該措置は行なわないこととする。

第7問 生活保護法により養老施設に収容されていた者が、老人福祉法の施行直前に医療扶助により一か月以上入院し、老人福祉法施行後退院して老人ホームに入所しようとする場合において、その時点で六〇歳未満であるときは、これを措置することができるか。

また、同様に同法施行前から養老施設に収容されていた六〇歳未満の者が、同法施行後に老人ホームから入院し、一か月以上を経て再び同法により老人ホームに入所しようとする場合の取扱いはどうなるか。

答 これらの事例における如く、かつて生活保護法により養老施設ヘの収容の措置をとられていた者については、昭和三十八年八月一日社発第五二五号社会局長通知第五の趣旨にかんがみ、その者が六〇歳未満であつても、養護老人ホームへの収容の措置を行なつて差し支えない。

第8問 老人福祉法の施行に伴い、老人ホームへの収容又は収容の委託の措置は、六〇歳以上の者について行なわれることとされたが、生活保護法による救護施設に生活保護法第三十条第一項但し書の規定により現に収容されている六〇歳以上の者については、老人ホームに収容の余力が生じた場合において老人ホームに移替えを行なうべきであるか。

答 貴見のとおりである。

第二 費用に関する事項

第9問 次の事例に掲げる者について、外国人の場合と同様に措置費につき老齢福祉年金又は障害福祉年金相当額を加算する取扱いは認められないか。

1 七〇歳以上とみられる者又は国民年金法別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態(以下「年金一級廃疾状態」という。)にある者であつて、本籍が明らかでない(本籍が樺太等の旧日本領土であるため日本国籍を証明することができない場合を含む。)ため老齢福祉年金又は障害福祉年金を受給できないもの

2 国民年金法施行当時七〇歳をこえていたか、又は年金一級廃疾状態にあつたが外国に居住していた場合等、年金の支給事由発生当時日本国内に住所を有しなかつたため、老齢福祉年金又は障害福祉年金を受給できない者

3 身体障害者福祉法施行規則別表第五表の二に掲げる身体障害者程度等級表の一級又は二級に該当し、かつ、年金一級廃疾状態にない者

答 設問の事例に掲げる者については、昭和三十八年八月一日社発第五二五号社会局長通知第四の特例に準ずる取扱いは認められない。

このような者については、福祉年金の支給要件を満たさないことが確認された場合に、次に掲げる書類を添付して、昭和三十八年八月一日厚生省発社第二五三号厚生事務次官通知別紙の第一のただし書による特別基準設定申請を行なわれたい。

1 老齢による加算については、戸籍の抄本

2 廃疾による加算については、その程度についての確認書

3 老齢福祉年金又は障害福祉年金の支給要件を満たさないことの確認書

4 収入認定調書

第10問 削除

第11問 甲老人ホームに収容されている被措置者を乙老人ホーム(又は保護施設)に移し替えた場合において、当該日にかかる措置費等は甲、乙両施設に重複して交付してよいか。また、甲乙両施設が同一主体により経営されている場合も同様に取り扱つてよいか。

答 貴見のとおりである。

第12問 老人ホームに収容されている者が月の中途で死亡した場合、当該月の保護措置費の死亡日の翌日以降にかかる部分の取扱いはどうなるか。

答 保護措置費は、被措置者の当該月の養護に要する費用であり、かつ、当該施設の長又は養護受託者に交付されるものであるから、被措置者が月の中途で死亡した場合は、死亡日の翌日以降の部分は過払いとなり、地方自治法施行令第百五十四条第二項の規定するところに従い、当該施設の長又は養護受託者から返納させること。