アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○老人就労あつ旋事業の充実強化について

(昭和五六年一月二〇日)

(社老第二号)

(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局老人福祉課長通知)

老人就労あつ旋事業の推進に当たつては平素から格別のご配意を煩わしているところであるが、本事業の最近の運営実績を個々の事業実施主体別にみると必ずしも十分とは言い難いものが相当数みられる実態にある。

これらの要因としては、昨今の雇用情勢の変動に起因する面も多分に含まれているが、事業の運営体制や運営方法にも少なからぬ問題を有しており、このことは先般行われた行政管理庁の行政監察結果においても同様の指摘を受けたところである。

ついては貴管下高齢者無料職業紹介所の運営状況を的確に把握し、次の諸点に留意のうえ指導方特段のご配意をお願いする。

1 高齢者無料職業紹介所の運営について

(1) 高齢者無料職業紹介所(以下「紹介所」という。)の事業の対象地域は、老齢人口等を勘案して概ね人口二〇万人程度の地域を対象とすることが望ましいが、現状は人口がこれに満たない市で、当該市のみを対象地域として実施しているため、このことが業績不振の一因となつている紹介所の例も見受けられるので、このような紹介所にあつては、近隣の市町村を含める等、対象地域の設定について見直しを行うこと。

なお、この場合、新たに対象地域に含まれる市町村とは事前に事業の実施及び運営等について十分調整を図り、円滑な運営が行われるよう配意すること。

(2) 紹介所の運営に当たつては、当該紹介所管内の事業所等の状況、就労を希望する高齢者の実情等を十分把握し、地域の高齢労働者の需給の実態に即して事業を展開する必要があるので、今後次のような運営上の創意工夫を必要に応じ強化されたいこと。

ア 対象地域内の市町村、社会福祉協議会、老人福祉センター等に老人の就労に関する相談の窓口を設け、又は既設の生活相談等の窓口との連携を密にし、相互のネットワーク化を図ること。

イ 求人件数の少ない紹介所にあつては、事業主訪問等による求人開拓を積極的に行うこと。

ウ 近隣の主な市町村に対し、巡回(出張)相談を定期的に実施すること。

(3) 紹介所の国庫補助対象職員については、三名の専任職員を配置することとしているが、一部の紹介所においては他の業務と兼務させている実態がみられ、しかもこのことが事業運営に少なからぬ支障を来たしているものと思われるので是正に努められたいこと。

(4) 事業の対象とされる者は、六五歳未満の者であつてもその者の個々の能力等からみて本事業になじむと認められる者について対象としているところであるが、一部の紹介所においては、五〇歳以上を一律に対象として取り扱つている等、これが趣旨をとり違えている向きがあるので、本事業の趣旨に沿つた対象者の選定について指導すること。

(5) 紹介所業務のうち、特に仕事の指導、紹介、求人情報の交換、求人開拓の実施、事業の啓蒙普及等の実施に当たつては、所轄の公共職業安定所の指導を受け、又は密接な連携を保ちながら効果的に推進する必要があるが、現状はこれが十分行われていないので、一層の連携の強化を図り、本事業が対象とする高齢者の就労あつ旋を効果的に推進されたいこと。

2 高齢者能力活用推進協議会の運営について

高齢者能力活用推進協議会(以下「協議会」という。)の運営状況をみると、一部を除いて不活発であるが、これらの要因としては、(1)協議会の設置の趣旨が十分理解されていないこと。(2)協議会の企画、運営に当たる職員に適任者が得られていないことによるものと思料されるところであり、今後は次の点に留意しながら運営する必要があること。

(1) 協議会は、常用の雇用関係を有する仕事以外のあらゆる社会参加形態を積極的に開拓し、高齢者の能力の活用を図ろうとするものであることから高齢者の経験と特別の技能(大工、表具師、庭師等)を生かす分野の開拓はもとより老人個々の能力に応じ、例えば奉仕活動等をも含めた、より広い観点での対応を要するところであるが、高齢者の仕事の紹介等を行う紹介所の業務とは本来、表裏一体の関係を有していることにかんがみ、その運営に当たつては紹介所業務との関連を持たせて行う必要があること。

なお、協議会の会議開催回数は本事業を効果的に行うため、少なくとも二月に一回以上を標準として随時開催することとされたいこと。

(2) 協議会の国庫補助対象職員については、高齢者能力活用推進事業における、いわゆるオーガナイザー的な役割を果たすことにかんがみ、これらの事業に精通し、関係する企業、団体等との調整役が十分果たせる人材を充てるよう配慮されたいこと。