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○老人保健法による移送費の支給の取扱いについて
(平成六年九月九日)
(老企第二三六号)
(各都道府県・各指定都市老人保健福祉主管部(局)長あて厚生省老人保健福祉局企画課長通知)
従来、移送については、老人保健法(昭和五十七年法律第八十号。以下「法」という。)第十七条に規定する医療の一環として給付されていたところであるが、今般、健康保険法等の一部を改正する法律(平成六年法律第五十六号。以下「改正法」という。)による改正後の法の規定により、法第十七条の六に規定する移送費の支給として、法第十七条第一項に規定する医療から独立した新たな給付とし、法第四十六条の五の四の規定に基づき、老人医療受給対象者が、医療(特定療養費に係る療養を含む。)を受けるため病院又は診療所に移送されたときに支給されるものとされたところである。
移送費の支給については、本日公布された健康保険法施行規則等の一部を改正する等の省令(平成六年厚生省令第五十六号。以下「整備省令」という。)により、老人保健法施行規則(昭和五十八年厚生省令第二号。以下「規則」という。)の諸規定が整備されたので、その取扱いについては、規則、本日付け老企第二三四号各都道府県知事・指定都市市長あて厚生省老人保健福祉局長通知「健康保険法等の一部を改正する法律の施行による老人保健福祉制度の改正について」によるほか、左記の事項に留意するよう貴管下市町村(特別区を含む。以下同じ。)に周知徹底を図り、その適正な取扱いを期されたい。
記
1 制度の概要
(1) 移送に係る給付については、負傷、疾病等により移動が困難な患者が医師の指示により一時的、緊急的な必要性があって移送された場合に、その経済的な出費について補填を行い、必要な医療が受けられることを可能にするとの考え方から、平成六年十月一日より移送費として現金により支給することとされたこと。
(2) これは、今般の制度改革の一環として医療に関する規定の整備が行われたことに伴い、従来医療費の支給として行われてきた移送費について、新たに現金給付として位置付けることとしたものであり、これまでの移送費に係る制度の運用の実績を踏まえ支給要件の明確化等の措置を講じたものであること。
(3) 移送費は、当該移送の目的である医療(特定療養費に係る療養を含む。以下同じ。)が、法に基づく適切なものであって、患者が移動困難であり、かつ緊急その他やむを得なかったと市町村長が認めた場合(規則第四十一条)について、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定された額を、現に要した費用を限度として支給することとされたこと。(規則第四十条)
(4) 従って、通院など一時的、緊急的とは認められない場合については、移送費の支給の対象とはならないものであること。
2 移送費の支給基準
(1) 移送費の支給要件(規則第四十一条)
移送費は、次のいずれにも該当すると市町村長が認めた場合に支給すること。
① 移送により法に基づく適切な医療を受けたこと。
② 移送の原因である疾病又は負傷により移動をすることが著しく困難であったこと。
③ 緊急その他やむを得なかったこと。
なお、次のような事例の場合には、移送費が支給されるものであるが、これらの事例は標準的なものであり、個々の事例に応じて社会通念上妥当な範囲で市町村長が適切に判断すること。
① 負傷した患者が災害現場等から医療機関に緊急に移送された場合。
② 離島等で疾病にかかり、又は負傷し、その症状が重篤であり、かつ、傷病が発生した場所の付近の医療施設では必要な医療が不可能であるか又は著しく困難であるため、必要な医療の提供を受けられる最寄りの医療機関に移送された場合。
③ 移動困難な患者であって、患者の症状からみて、当該医療機関の設備等では十分な診療ができず、医師の指示により緊急に転院した場合。
(2) 移送費の支給額
移送費の支給額は、規則第四十条に規定する算定基準により算定された額とすること。
具体的には、次のような取扱いとなるものであること。
① 経路については、必要な医療を行える最寄りの医療機関まで、その傷病の状態に応じ最も経済的な経路で算定すること。
② 運賃については、その傷病の状態に応じ最も経済的な交通機関の運賃で算定すること。
③ 医師、看護婦等付添人については、医学的管理が必要であったと医師が判断する場合に限り、原則として一人までの交通費を算定すること。
④ 天災その他やむを得ない事情により、前記のような取扱いが困難である場合には、現に要した費用を限度として例外的な取扱いも認められること。
(3) 平成六年十月一日前の移送に係る医療費の支給及び支給手続については、なお従前の例によるものとしたこと。(改正法附則第二十一条、整備省令附則第二十一条)
3 付添人の医学的管理等に係る医療費の支給
移送費の支給が認められる医師、看護婦等の付添人による医学的管理等について、患者がその医学的管理等に要する費用を支払った場合にあっては、現に要した費用の額の範囲内で、移送費とは別に、診療報酬に係る基準を勘案してこれを評価し、医療費の支給を行うことができること。