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○消費生活協同組合の剰余金割りもどしに関する省令の施行について
(昭和三五年一〇月二八日)
(厚生省発社第二五二号)
(各都道府県知事あて厚生事務次官通知)
本年十月一日厚生省令第三十一号をもって「消費生活協同組合の剰余金割りもどしに関する省令」が公布即日施行されたが、この省令の制定の経緯及びこれが運用上留意を要する事項については、次のとおりであるので、貴管下各消費生活協同組合及び同連合会並びにその他関係方面に周知徹底方何分の御配意を煩わしたく、その施行に万遺漏なきよう通知する。
1 制定の経緯
消費生活協同組合(消費生活協同組合連合会を含む。以下同じ。)については、その事業経理上生じた所得を留保した場合は、これに対して税制上特別措置が講ぜられていたところ、この措置がこのほど廃止になったことは周知のとおりであるが、消費生活協同組合のうちその事業経理上生じた剰余金の割りもどしを行なっている組合が少なくない現状にかんがみ、この剰余金のうち組合員の利用分量に応じて割りもどしを行なうため積み立てた金額については、法人税制上特例措置を講ずることとなり、このためこの割りもどしに関し所要の規制を行なう必要が生じたためこの省令が制定されたものであること。
なお、法人税制上の措置については、別途国税庁より関係方面に通知される予定であること。
2 運用上留意を要する事項
(1) 消費生活協同組合において、この省令により組合員に対し利用分量に応ずる剰余金の割りもどしを行なうことができる場合は、組合の事業総額に対する組合員の利用分量総額の割合が五割以上(本年十月一日を含む事業年度においては、本年十月一日から同日を含む事業年度の終了する日までの期間に係る組合の事業総額に対する組合員の利用分量総額の割合が五割以上)となったときに限られているので、この点、各組合の経理を明確にし、いやしくも後日関係帳簿書類の調査を受けた場合にこの点について疑惑を生ずることのないよう充分留意せしめられたいこと。
特に、事業別に利用分量割りもどしを行なおうとするときは、当該事業別に関係帳簿書類を区分作成整理し、それぞれについて厳正な経理を行なうよう配意せしめられたいこと。
(2) 利用分量割りもどしは、組合員に対しその利用のつど交付する領収書その他利用分量を確認することができる証拠書類を確認することによって行なわなければならないことになっているが、この証拠書類については、後日割りもどし金支払の際無用の紛争を生ぜしめないよう、組合員個個の利用分量を確実に把握でき、かつ、員外利用を認められている組合にあっては非組合員と区別できるような方法を講ずるとともに、組合員に対してもそれぞれの利用分量を後日的確に組合に対し提示できるようこの点周知徹底を図らしめられたいこと。
(3) 利用分量割りもどしは、積立てを行なった事業年度の翌事業年度及び翌翌事業年度の二箇年度間に限り認められており、この期間内に組合員から請求のなかった分は、積立てを行なった事業年度の翌翌事業年度の利益金としなければならないこととされているので、組合員全員に対して、この期間内にもれなく割りもどしを請求するよう周知徹底方について特に配意せしめられたいこと。
このためには、利用分量割りもどしのための積立てを行なう決算総(代)会において、割りもどし金総額の利用分量総額に対する割合、割りもどしを行なう場所、期間等についてもその席上で報告する等の措置により組合員に周知徹底せしめるほか、定款に規定する組合の掲示場その他組合員の見やすい場所に掲示する等の方法を講ぜしめられたいこと。
(4) 利用分量割りもどしの支払は、積立金をとりくずして行なう点からして、現金又はこれらに代わる購買券(利用券)によって行なうこととするよう指導されたいこと。
なお、組合の財政基盤を確保するため、組合員個個の承諾を得て、これを出資金とすることも考慮されること。
(5) 以上のほか、利用分量割りもどしについては定款の規定するところに委ねられている点が少なくないので、割りもどしを行なおうとする組合においては、これに必要な定款の改正をすみやかに行なうとともに、これを確実に実施するよう留意せしめられたいこと。