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○災害救助法による救助の実施について

(昭和40年5月11日)

(社施第99号)

(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)

今般「災害救助費の国庫負担について」(昭和40年5月11日厚生省社第163号厚生事務次官通知。以下「交付要綱」という。)が通知されたところであるが、災害救助法による救助の実施については、法令及び交付要綱によるほか次の要領によって取り扱い、円滑な救助の実施について遺憾のないようにされたく通知する。

第1 災害救助法による救助の実施の要件に関する事項

災害救助法(昭和22年法律第118号。以下「法」という。)第2条及び災害救助法施行令(昭和22年政令第225号。以下「令」という。)第1条に定める救助の実施要件については次の点に留意すること。

1 災害の認定

(1) 総則

ア 法の適用は、市町村(特別区を含む。)を単位として指定するものであること。

この場合において、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にあっては、当該市又は当該市の区を単位とすることができること。

イ 災害は、原則として同一原因によるものを単位とすること。ただし、同時又は相接近して異なる原因による災害が発生した場合、必要があると認められるときは、これらの災害を一の災害とみなして認定してさしつかえないこと。

ウ 法の適用に当たっては、必要に応じ社会・援護局長に対し技術的助言を求められたいこと。

(2) 令第1条第1項第1号及び第2号による災害

法の適用の基礎となる都道府県及び市町村人口は、地方自治法第254条並びに同法施行令第176条及び第177条に規定する人口によるものであること。

(3) 令第1条第1項第3号に定める災害

災害救助法施行令第1条第1項第3号の厚生労働省令で定める特別の事情及び同項第4号の厚生労働省令で定める基準を定める省令(平成12年3月31日厚生省令第86号。以下「省令」という。)第1条の「災害にかかった者に対する食品若しくは生活必需品の給与等について特殊の補給方法を必要とし、又は災害にかかった者の救出について特殊の技術を必要とすること」とは、次のような場合であること。

ア 被害地域が他の村落から隔離又は孤立している等のため、生活必需品等の補給が極めて困難な場合で、被災者の救助に特殊の補給方法等を必要とする場合

イ 有毒ガスの発生、放射線物質の放出等のため、被災者の救助が極めて困難であり、そのために特殊の技術を必要とする場合

(4) 令第1条第1項第4号に定める災害

ア 同号の基準は、災害による被害の発生前に適用することができるものであり、この場合においては、省令の定めるところにより、生命又は身体に対する危害のおそれの程度を十分に検討の上、法の適用について判断されたいこと。

イ 省令第2条第1号の「災害が発生し、又は発生するおそれのある地域に所在する多数の者が、避難して継続的に救助を必要とすること」とは、次のような場合であること。

(ア) 火山噴火、有毒ガスの発生、放射線物質の放出等のため、多数の住民が避難の指示を受けて避難生活を余儀なくされる場合

(イ) 紫雲丸事件等船舶の沈没あるいは交通事故により多数の者が死傷した場合

ウ 省令第2条第2号の「災害にかかった者に対する食品若しくは生活必需品の給与等について特殊の補給方法を必要とし、又は災害にかかった者の救出について特殊の技術を必要とすること」とは、次のような場合であること。

(ア) 交通路の途絶のため多数の登山者等が放置すれば飢餓状態に陥る場合

(イ) 火山噴火、有毒ガス発生等のため多数の者が危険にさらされている場合

2 被害の認定

被害の認定は、法の適用の判断の基礎資料となるのみならず、救助の実施にあたり、その種類並びに程度、方法及び期間の決定にも重大な影響を及ぼすものであることから、特に次の点に留意のうえ、迅速かつ適正に行わなければならないこと。

(1) 住家及び世帯の単位

ア 住家

現実に居住するために使用している建物をいい、社会通念上の住家であるかどうかは問わないこと。

イ 世帯

生計を一にしている実際の生活単位をいうものであること。

(2) 被害の認定基準

ア 住家の被害

(ア) 住家が滅失したもの(以下「全壊、全焼又は流失」という。)

住家がその居住のための基本的機能を喪失したもの、すなわち、住家全部が倒壊、流失、埋没、焼失したもの、または住家の損壊が甚だしく、補修により元通りに再使用することが困難なもので、具体的には、住家の損壊、焼失もしくは流失した部分の床面積がその住家の延床面積の70%以上に達した程度のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が50%以上に達した程度のものとすること。

(イ) 住家の半壊、半焼する等著しく損傷したもの(以下「半壊、又は半焼」という)。

住家がその居住のための基本的機能の一部を喪失したもの、すなわち、住家の損壊が甚だしいが、補修すれば元通りに再使用できる程度のもので、具体的には、損壊部分がその住家の延床面積の20%以上70%未満のもの、または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が20%以上50%未満のものとすること。

(ウ) 住家が床上浸水、土砂のたい積等により一時的に居住することができない状態となったもの(以下「床上浸水」という。)

(ア)及び(イ)に該当しない場合であって、浸水がその住家の床上に達した程度のもの、又は土砂、竹木等のたい積等により一時的に居住することができない状態となったものとすること。

イ 人的被害

(ア) 死者

当該災害が原因で死亡し、死体を確認したもの、又は死体を確認することができないが、死亡したことが確実なものとすること。

(イ) 行方不明

当該災害が原因で所在不明となり、かつ、死亡の疑いのあるものとすること。

(ウ) 負傷

災害のため負傷し、医師の治療を受ける必要のあるものとすること。

第2 情報提供に関する事項

法による救助を実施する必要のある災害が発生した場合は、その被害状況等について、次により社会・援護局長あてに情報提供すること。

1 情報提供の種類とその内容

情報提供の種類とその内容は次のとおりとすること。

(1) 発生情報

法による救助の実施の必要性が明白であるか、又は、その可能性があると認められる災害が発生した場合に行うものとし、その内容は次のとおりとすること。ただし、発生情報の時点で、その内容の全てが判明しないときは、判明している内容について情報提供すること。

ア 災害発生の日時及び場所

イ 災害の原因及び被害の概況

ウ 被害状況調(様式1)

エ 法適用(見込)市町村名及び年月日

オ すでにとった救助措置及びとろうとする措置

カ その他必要事項

(2) 中間情報

発生情報にかかる災害について、当該災害にかかる法適用市町村の指定事務が全部完了した直後、すみやかに、法適用市町村別に被害状況をとりまとめて情報提供するものとし、その内容は、発生情報の内容のほか、次のとおりとすること。

ア 救助の種類別、実施状況

イ 災害救助費概算額調(様式2)

ウ 救助費の予算措置の概況

(3) 決定情報

決定情報は、法による救助が完了した時に行うものとし、その内容は中間情報の内容とすること。

2 情報提供の方法

情報提供の方法は次によること。

(1) 発生情報は、災害の発生後可及的すみやかに電話又はファクシミリにより行うこととし、その内容に変更があった場合には、その都度すみやかに情報提供すること。

(2) 中間情報は、当該災害にかかる法適用市町村の指定が完了した後すみやかに電話、ファクシミリ又は文書により行うこととし、その内容に変更があった場合には、その都度直ちに情報提供すること。

(3) 決定情報は、救助の完了後すみやかに文書により行うこと。

3 通信連絡体制の確保

災害時に通信網の途絶等により情報収集が遅れ応急救助の実施に円滑を欠く事例も見られるので、混乱の時における有線電気通信設備等の優先利用について事前に関係機関と協議しておくこと。

また、有線通信を利用することができないか、又はこれを利用することが著しく困難であるときは、日本赤十字社が保有する非常無線、警察無線、又はアマチュア無線通信等の活用を考慮すること。

第3 市町村長に対する救助の委任

法第30条第1項の規定により、都道府県知事が救助の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととすること(以下「救助の委任」という。)に関しては、次の点に留意すること。

1 救助の委任は、救助の迅速、的確化が図られ、かつ、市町村において実施し得る範囲に限って行うこと。

2 避難所の設置、炊き出しその他による食品の給与及び災害にかかった者の救出等最も緊急を要する救助並びに学用品の給与等、都道府県において実施することが困難であると認められるものについては、市町村に対し、あらかじめ、救助の委任を受けて救助を実施する準備を求めておくことが望ましいこと。

3 救助の委任をした場合において、救助の委任をした範囲内において市町村長が行った救助は、都道府県が行った救助として認められることは勿論であるが、救助の委任をしない事項についても災害が突発し都道府県知事の指示を待ついとまがない場合には、市町村長が救助を開始し、事後、すみやかに都道府県知事に情報提供させるとともに、法第30条第2項の規定による補助として実施させるものであること。

4 救助の委任をした場合には、令第23条第1項の規定により、市町村長が行うこととする事務の内容及び当該事務を行うこととする期間を当該市町村長に通知すること。

また、物資や土地の収用等に係る法第24条から第27条までに規定する事務について救助の委任をした場合には、令第23条第2項の規定により、直ちにその旨を公示すること。

5 救助の委任をした場合は、法第44条の規定により救助の実施に要する費用を一時繰替支弁させる場合における当該繰替支弁にかかる費用の範囲及びその精算方法等に関する事務についても遺ろうのないよう万全を期されたい。

なお、救助の委任をしない救助事務についても、迅速、かつ、的確な救助を実施するため、市町村における救助事務の取扱要領を作成し、的確に技術的助言を行うとともに、被害状況等の情報提供並びに救助の実施にあたる一貫した組織を確立するよう努めること。

第4 救助の応援に関する事項

都道府県知事が行う救助について、他の都道府県知事が応援を行うときは、次によるものであること。

1 応援要請の手続

都道府県知事は、救助の実施に関して他の都道府県知事の応援を必要とするときは、次に掲げる事項を記載した文書をもって、他の都道府県知事に対して救助の応援を要請し、協議のうえ行うこと。ただし、緊急やむを得ない場合には、口頭、電話又はファクシミリ等によるものとし、事後において文書により処理すること。

(1) 被害状況

(2) 応援を要請する救助の種類

(3) 応援を要する職種別人員

(4) 応援を要する期間

(5) 応援の場所

(6) 応援を要する機械器具及び資材の品名並びに数量等

(7) その他応援に関する必要な事項

2 応援派遣措置

(1) 救助の応援について要請を受けた都道府県知事は、直ちに応援隊の編成を行うとともに人員及び物件を整備し、指揮者を定めたうえ、応援を求めた都道府県に連絡して出発させること。

(2) 応援隊の指揮は、原則としてその応援隊の長が行うこと。

(3) 応援を受けた都道府県知事は、他の都道府県からの応援隊が到着した場合、その長に対して、直ちに災害の概況を説明し、応援を受ける救助の程度、方法及び期間等を協議して、職務の分担を明確にすること。

3 国への情報提供

都道府県知事は、他の都道府県知事に対して救助の応援を要請したとき、又は他の都道府県知事の要請を受け応援隊を派遣するときは、1の例により社会・援護局長あてに情報提供されたいこと。

4 費用の求償

応援に要した費用を求償する場合は、救助の種類、期間等を明確にし、そのために支弁した費用の明細書、証拠書類を添付して行うこと。

5 応援の指示

法第31条の規定により、主任大臣が、他の都道府県知事に対して応援を行うことを指示した場合は2及び4の例により措置すること。

第5 救助の程度、方法及び期間に関する事項

救助の程度、方法及び期間については、令第9条第1項の規定に基づき、災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準(平成12年3月31日厚生省告示第144号。以下「告示」という。)に従い都道府県知事が定めているところであるが、その実施にあたっては、次の点に留意されたいこと。

1 救助の実施時期

法による救助は一般的には、災害発生の日に開始されることとなるが、雪又は長雨等で被害が漸増し、一定日時を経た後初めて法の適用基準に達した場合は、法の適用基準に達し、現に救助を必要とする状態となった日をもって災害発生の日とみなしてとりあつかってさしつかえないこと。

2 救助の種類別留意事項

(1) 収容施設の供与

ア 避難所

(ア) 避難所設置のために支出できる費用の限度は、市町村ごとにそれぞれ告示に示された1人1日当たりの限度額の範囲内であること。

(イ) 避難所を閉鎖した場合における残存資材等は、換価処分をし、当該収入金額を避難所設置の費用から控除すること。

(ウ) 避難所設置のために支出できる費用には、テレビ・ラジオ・公衆電話、公衆ファクシミリ、懐中電灯、仮設便所、仮設風呂、仮設洗濯場(洗濯機、乾燥機を含む。)、簡易調理室、冷暖房機器、仮設スロープ、更衣及びプライバシー確保に必要な間仕切り設備等の機械、器具、備品、仮設設備等の整備に要する費用を含むものであること。

(エ) 維持及び管理に要する費用のうち、管理責任者の設置費用について、管理責任者が原則として都道府県又は市町村職員であることから、超過勤務手当、休日給、夜勤手当及び宿日直手当(以下「時間外勤務手当」という。)等は救助の事務を行うのに必要な費用(以下「事務費」という。)に含まれることとなるが、その他の管理又は運営に要する経費は、精算等の事務に係るものを除き、避難所設置のための費用に含まれるものであること。

(オ) 「福祉避難所」の対象者は、身体等の状況が特別養護老人ホーム又は老人短期入所施設等へ入所するに至らない程度の者であって、「避難所」での生活において特別な配慮を要する者であること。

また、「福祉避難所」における特別な配慮のために必要となる費用とは、概ね10人の対象者に1人の相談等に当たる介助員等を配置するための費用、高齢者、障害者等に配慮した簡易便器等の器物の費用及びその他日常生活上の支援を行うために必要な消耗器材の費用とすること。

イ 応急仮設住宅

(ア) 告示に定める規模及び設置のため支出できる費用は、1戸当たりの平均を示したものであること。したがって、家族構成、被災者の心身の状況、立地条件等を勘案し、広さ、間取り及び仕様の異なるもの、共同生活の可能なもの、並びに1戸建て又は共同住宅形式のものなど、多様なタイプのものを供与してさしつかえないこと。

(イ) 応急仮設住宅設置のために支出できる費用には、原材料費、労務費、附帯工事費、輸送費及び建築事務費等一切の経費を含むものであり、高齢者、障害者等の日常の生活上特別な配慮をした構造・設備とするための費用、暑さ寒さ対策のための断熱材の費用、敷地内の建物に附帯する屋内・外の各種設備の整備費用が含まれていること。

(ウ) 建築工事関係者を法第24条の規定による従事命令によって従事させた場合においては、これら従事者の実費弁償の額について限度額に含まれるものであること。

(エ) 応急仮設住宅の建設用地は、公有地等を予定していることから、応急仮設住宅設置のために支出できる費用には、土地の借料は含まれないこと。

(オ) 「福祉仮設住宅」は、被災の規模及び程度、被災者のうちの高齢者、障害者等の数並びに施設入所等の状況を勘案し、必要な設置戸数を定め、高齢者、障害者等の利用しやすい設備及び構造に配慮して設置すること。

(2) 炊き出しその他による食品の給与

ア 炊き出しその他による食品の給与を実施するために支出できる費用は、主食費、副食費、燃料費のほか、機械、器具及び備品等の用謝金又は借上費、消耗器材費、その他の雑費とすること。なお、握り飯、調理済み食品、パン、弁当等を購入して支給する場合の購入費についても、炊き出しその他による食品の給与を実施するために支出できる費用としてさしつかえないこと。

イ 炊き出しその他による食品の給与を実施するため支出できる費用の限度額は、原則として市町村ごとに限度額の範囲内とすること。この場合、1日3食をもって計算するものであること。

(3) 被服、寝具その他生活必需品の給与又は貸与

ア 被服、寝具その他生活必需品の給与又は貸与に当たっては、被災者の世帯を構成する人員数は、死者を除き、災害発生の日における世帯構成人員数を基礎とするものであること。

イ 被服、寝具その他生活必需品の給与又は貸与に当たって法第41条第3号により事前購入した給与品を払出した場合は、当該地域における時価をもって精算するものとし、権威ある評価調書を作成しておくこと。

ただし、第8の2により時価評価をした後において特に著しい物価の変動がない場合は、当該評価をもって精算してもさしつかえないこと。

ウ 同一品目で価格の異なる場合は、平均価格をもって精算してもさしつかえないこと。

(4) 医療及び助産

ア 救護班は、都道府県立又は市町村立の病院、診療所、日本赤十字社等の医師、薬剤師及び看護婦等により編成した者であること。

ただし、これにより十分な要員の確保が困難な場合は、その他の医療機関から雇い上げ、或いは、法第24条の規定による従事命令により医師、薬剤師及び看護婦等を確保してさしつかえないこと。

イ 救護班の一員として、医師、薬剤師、看護婦、事務員、運転手等を医療業務に従事させた場合の費用については、次により取り扱うこと。

(ア) 国又は地方公共団体に勤務する者は、旅費及び時間外勤務手当等の費用について事務費として整理すること。

(イ) 日本赤十字社職員等は、法第34条の規定により委託費用として日本赤十字社に対し補償すること。

(ウ) 法第24条の規定により従事命令を受けた医師、薬剤師及び看護婦等は、同条第5項の規定により、その実費を弁償すること。

(エ) その他の者は、賃金職員等雇上費で取り扱うこと。

ウ 法による医療は、原則として救護班で対応すること。重篤な救急患者等を病院又は診療所に移送して医療を行った場合には、その移送に要した費用を応急救助のための輸送費とすること。

(5) 住宅の応急修理

ア 住宅の応急修理のため支出できる費用は、原材料費、労務費、輸送費及び修理事務費等一切の経費を含むものであること。従って、大工、左官等の工事関係者を法第24条の規定による従事命令によって従事させた場合においては、これら従業者の実費弁償の額については、限度額に含まれるものであること。

イ 同一住家(1戸)に2以上の世帯が居住している場合における住宅の応急修理は、1世帯当たりの限度額の範囲内とすること。

(6) 生業に必要な資金の貸与

ア 生業に必要な資金を貸与する場合においては、告示に示されているほか貸与できる者の範囲を次に掲げるものとし、貸与の条件として、連帯保証人1人以上をたてさせるものであること。

(ア) 小資本で生業を営もうとする者

(イ) 蓄積資本を有しない者

(ウ) 家族労働力によって生業を維持している程度の者

イ 国庫負担の対象となった生業資金の貸与に伴う償還金の取扱いについては、その全額を災害救助基金に繰り入れること。

ウ 災害による生業資金の貸与については、各種貸付制度が設けられているので、この制度による資金の活用を図ること。

(7) 学用品の給与

ア 小学校児童及び中学校生徒(盲学校、ろう学校及び養護学校の小学部児童及び中学部生徒を含む。以下同じ。)の判定の時点は、災害発生の日であること。ただし、災害が入進学時における場合にあっては、個々の実情に応じ、小学校児童又は中学校生徒に準じて取り扱ってさしつかえないものであること。

イ 教科書以外の教材とは、当該学校において、有効適切なものとして使用している教科書に準ずるもの又はワ-クブック等に類するもので、辞書、図鑑等の類は、含まれないものであること。

なお、学校法人の設置する学校において、使用している教材については、公立学校の例によるものであること。

ウ 同一品目で価格の異なる場合は、平均価格をもって精算してもさしつかえないこと。

(8) 埋葬及び死体の処理

ア 法による救助の適用された市町村以外の市町村の地域に漂着した死体が、当該災害によるものであると推定できる場合は、次により措置するものとすること。

(ア) 漂着した地域の市町村が、救助の行われた地の都道府県知事の統括する市町村であるときは、当該市町村長は、直ちに救助の適用市町村長に連絡して、関係者に死体を引き取らせること。

ただし、引き取る暇のない場合においては当該都道府県知事に死体の漂着の日時、場所等を報告するとともに、必要に応じてその指揮を受けて、当該市町村長が「埋葬又は死体の処理」を行うものとし、これに要する費用については都道府県が支弁すること。

(イ) 漂着した地域の市町村が、救助の行われた地以外の都道府県知事の統括する地域の市町村(この場合の市町村には、法による救助の適用市町村を含む。)であるときは、当該市町村長は、前号の例により措置するものとし、それに要する費用については、当該市町村を包括する都道府県が支弁すること。この場合における埋葬又は死体の処理は、救助の行われた地の都道府県知事に対する救助の応援として取り扱い、当該都道府県は、その支弁した費用について、法第35条の規定により、救助の行われた地の都道府県に対して、求償することができること。

イ 法による救助の適用市町村以外の市町村の地域に漂着した死体が当該災害によるものであると推定できないときにおいては、当該市町村長が、行旅病人及び行旅死亡人取扱法(明治32年法律第93号)の定めるところにしたがって、その死体を措置するものであるが、措置した後において、その死体の漂着が当該災害によるものであると判明した時期が、当該救助の実施期間内であるときに限り法による救助の実施とみなして取り扱うものとし、それに要した費用については前項各号の例により取り扱われるものであること。

ウ 告示に示す埋葬のため支出できる費用の大人とは満12才以上のものをいうものであること。

(9) 障害物の除去

同一住家(1戸)に2以上の世帯が居住している場合における障害物の除去は、一世帯当りの限度額の範囲内とすること。

(10) 応急救助のための輸送費及び賃金職員等雇上費

ア 救援物資は、法による被服寝具その他生活必需品、学用品、炊出し用食糧及び医薬品衛生材料のほか義えん物資等被災者の応急救助のため使用される一切の物資を含むものであること。

ただし、他の法令等によりその費用が措置される物資及び次に掲げる資材等については原則として除くものであること

(ア) 避難所設置のための資材等

(イ) 応急仮設住宅建築のための資材等

(ウ) 住宅の応急修理のための資材等

(エ) 埋葬のための棺、壺及び骨箱

(オ) 死体の一時保存のための資材等

(カ) 障害物の除去のための資材等

イ 応急救助のため支出できる輸送費の範囲は、当該都道府県内及び当該都道府県以外の地区を輸送した費用であること。ただし、当該都道府県以外の地区を輸送した費用については、法第23条及び令第8条に規定する救助を行うために必要な輸送費に限られるものであること。

ウ 応急救助のため支出できる輸送費の内容は、輸送契約による場合の輸送費のほか、借上費、燃料費、修繕費及び消耗器材費であること。

エ 応急救助のために支出できる賃金職員等雇上費は、告示に定める各救助の種類ごとに支出できる費用に賃金職員等雇上費を含まない場合で、都道府県又は市町村職員、日本赤十字社職員、被災者を含む地域住民及びボランティア等で対応できないため、臨時に職員等を雇い上げ実施した費用で、法第23条及び令第8条に定める救助を実施するために必要な要員に限られること。

3 費用に関する事項

法に基づき実施される救助のために支出できる費用としては、救助に当たって実際に使用されたものの経費についてのみ認めることが原則であるが、実際に使用されなかったものの経費についても、真にやむを得ない事情にあるものについては、法に基づき実施された救助のために支出できる費用として認めることもあるので、これらの事情を説明し得る書類等の整備を図っておくこと。

第6 削除

第7 救助の特別基準に関する事項

令第9条第2項の規定により特別基準の設定を協議する場合は、救助の種類別に、次の事項を明らかにした文書をもって、当該救助の基準期間内に行うこと。

ただし、緊急やむを得ない場合は、とりあえず電話により協議し、事後すみやかに文書をもって処理すること。

1 告示による実施期間内により難い場合

(1) 告示による実施期間内により難い理由

(2) 必要とする救助の実施期間

(3) 実施期間の延長を必要とする市町村別救助対象数

(4) その他必要な事項

2 避難所の設置、被服、寝具その他生活必需品の給与又は貸与の季別により難い場合

(1) 季別の変更を要する理由とその季別

(2) 季別の変更を必要とする市町村別救助対象数

(3) その他必要な事項

3 輸送費及び賃金職員等雇上費の範囲により難い場合

(1) 輸送費及び賃金職員等雇上費の範囲により難い理由

(2) 輸送費及び賃金職員等雇上費の範囲に含める必要のある事項及びその実施期間

(3) その他必要な事項

4 その他告示により難い場合

(1) 基準により難い理由

(2) 特別基準の内容

(3) その他必要な事項

第8 事務費に関する事項

事務費については、交付要綱に示されているところであるが、この取扱いに当たっては次の事項に留意すること。

なお、事務費についても、交付要綱の1から4までに定める算定基準により難い特別の事情がある場合は、あらかじめ厚生労働大臣に情報提供すること。この場合の手続きについては、第7の例によること。

1 事務費の範囲

(1) 事務費は、法に基づき実施する救助に当たり、必要やむを得ない経費であって、救助の実施機関の経費に限ること。従って、災害の事前対策又は復旧事業等の事務を行うために必要な経費等は含まれないが、救助の委任を受けた市町村並びに補助機関としての市町村が応急救助の事務に要した経費については、勿論含まれるものであること。

(2) 事務費は、救助の実施期間内において、救助の事務を行うのに直接必要な経費のほか、救助費の精算の事務を行うのに必要な経費も含まれるものであること。

2 事務費の対象経費

事務費として認められる経費は、次に掲げるものに限ること。

(1) 時間外勤務手当

職員が応急救助事務に従事した時間外勤務手当

(2) 賃金

筆耕等の臨時の賃金職員等雇上費

(3) 旅費

職員の被災地及びその地域内相互の指導連絡旅費、関係都道府県又は本省への連絡打合旅費及び救助物資調達旅費

(4) 消耗品費

文房具及び消耗器材等の購入費

(5) 燃料費

庁用暖房の石炭、薪炭等及び自動車燃料等の購入費

(6) 食糧費

職員に対する炊出し及び応急救助対策打合会賄料

(7) 印刷製本費

被災証明書、公用令書、災害報告等の作成に要する経費

(8) 光熱水費

電灯料、水道料、ガス代等

(9) 修繕料

自動車、船舶、自転車等の修理に要する経費

(10) 使用料及び賃借料

土地、家屋の借上料、船舶、車馬等の借上料及び機械、器具等の借上料等

(11) 通信運搬費

電信、電話及び郵便料、運搬料、近距離の交通費

第9 災害救助基金の取扱いに関する事項

災害救助基金の管理、運用については、次の点に留意すること。

1 規則の制定

災害救助基金の設置、管理及び処分にかかる細部の取扱いに関しては、都道府県規則をもって定めることとし、当該規則を制定し又は改正したときは、すみやかに、その写を厚生労働大臣に提出すること。

2 備蓄物資の管理

法第41条第3号の規定により事前に購入した給与品の管理については、善良な管理者の注意をもって行うとともに、毎年度当初において、公正な評価者により、時価による評価をしておくものとすること。

なお、法第41条第3号の規定により事前に購入した給与品については、当該都道府県の災害時の救助に重大な支障をきたさない範囲で、他の都道府県の応援等に利用してさしつかえないこと。

この際、当該額相当を一般会計から基金に繰り入れるのが原則であるが、求償に応じ、支払がなされた時点において補充する場合はこの限りでないこと。

3 情報提供

各年度における災害救助基金の積立状況等について、毎年度6月15日までに災害救助基金報告書(様式5)により厚生労働大臣に情報提供すること。

第10 救助事務の処理に必要な帳簿書式に関する事項

救助事務の処理に必要な帳簿書式は、次に定めるところによること。

1 救助の種目別物資受払状況(様式6)

2 避難所設置及び収容状況(様式7)

3 応急仮設住宅台帳(様式8)

4 炊出し給与状況(様式9)

5 飲料水の供給簿(様式10)

6 物資の給与状況(様式11)

7 救護班活動状況(様式12)

8 病院診療所医療実施状況(様式13)

9 助産台帳(様式14)

10 被災者救出状況記録簿(様式15)

11 住宅応急修理記録簿(様式16)

12 生業資金貸付台帳(様式17)

13 学用品の給与状況(様式18)

14 埋葬台帳(様式19)

15 死体処理台帳(様式20)

16 障害物除去の状況(様式21)

17 輸送記録簿(様式22)

18 令第10条第1号から第4号までに規定する者の従事状況(様式23)

19 令第10条第5号から第10号までに規定する者の従事状況(様式24)

20 扶助金の支給状況(様式25)

21 損失補償の状況(様式26)

22 法第34条の補償費の状況(様式27)

23 法第35条に規定する費用の求償の対象となった救助については、それぞれ該当する種目の様式に記載すること。

第11 関係通知の廃止に関する事項

昭和34年8月13日社発第416号本職通知「災害救助法による救助の実施について」は、この通知の施行と同時に廃止すること。ただし、災害救助費の国庫負担については、昭和39年度分に限り、同通知の第6によること。