アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○災害救助法による救助体制の確立について

(昭和三五年六月二八日)

(社施第二七号)

(各都道府県災害主管局(部)長あて厚生省社会局施設課長通知)

標記に関しては、さきに昭和三十五年五月二日社発第二百七十七号厚生省社会局長通知をもつて、各種災害に即応できる応急救助体制の確立を図り、災害救助法の運用に万全を期するよう指示されたところであるが、これが運用に当つては、更に左記事項に留意のうえ、その実施に遺漏のないよう特に配意されたい。

第一 救助計画の樹立について

1 災害救助法(以下「法」という。)第二十二条第二項の規定によつて、救助の万全を期するための必要な計画(以下「救助計画」という。)は、各種非常災害の発生に際し、応急的に必要な救助が直ちに実施できる態勢を整備するためのものであるから都道府県を単位に想定した災害に対処できるよう樹立しておかなければならないこと。

2 救助計画は、救助の種類ごとに災害の実態に即応するものでなければならないのでその作成にあたつては、次の事項にかかる調査検討の結果を十分活用すること。

一 市町村(特別区を含む。以下同じ。)ごとの人口、世帯数、戸数及び想定される被害世帯数、被害戸数。

二 避難所(学校、公会堂、公民館、旅館、飲食店、神社、仏閣、天幕利用等)の開設場所、開設方法及び収容可能人員。

三 応急仮設住宅の供与対象者の選定基準。

四 応急仮設住宅の設置に要する土地。

五 炊出しの実施場所(学校、公民館、旅館、飲食店等)、炊出し方法及び炊出し可能人員。

六 飲料水の供給に必要な水源、浄水能力及び供給量。

七 医療及び助産を行うための都道府県及び日本赤十字社都道府県支部の救護班の編成数、派遣方法並びに病院、診療所における診療科目、処置能力又は産院における助産能力。

八 住宅の応急修理対象者の選定基準。

九 生業資金の貸与対象者の選定基準。

十 死体の処理に必要な一時保存の場所並びに方法。

十一 障害物の除去の対象者の選定基準。

十二 り災者の救助に必要な物資資材の種類、所在場所及び数量並びに輸送方法。

十三 り災者の救助に必要な設備の種類、所在の場所及び輸送方法。

十四 り災者の救助に必要な労務関係者の所在地、動員可能人員及び輸送方法。

十五 り災証明書の整備及びその発行方法。

十六 救助の実施記録に必要な諸用紙の整備及び市町村に対する事前配布。

十七 強制権の発動のために必要な公用令書の整備及びその発行方法。

3 救助計画は、都道府県公報に公告するとともに、パンフレットの配布等の方法により一般に周知されなければならないこと。

4 救助計画は、遅滞なく市町村長(特別区長を含む。以下同じ。)及び関係行政機関の長に対し、通知するとともに、必要に応じて関係職員の講習会、研究会等を開催し周知徹底を図らなければならないこと。

5 救助計画に基づき、年に一回程度、地域住民の協力を得て想定災害に対する救助訓練を行うこと。

6 法第三十条の規定による救助の実施に関する職権の一部を市町村長に委任する場合についての委任基準を定めておくこと。

7 法第四十四条の規定により、市町村に救助費用を一時繰替支弁させるときは、救助の程度、方法及び期間の基準を周知させること。

第二 救助組織の確立及びその活用計画の樹立について

1 救助組織は、災害救助法施行令第七条第一項の規定による各部の設置にとどまらず部の下に必要な分課を設け、救助業務の分掌の細分化により適正な実施態勢を確立すること。

2 救助組織についての完全な活用計画を樹立するにあたつては、各部課の救助業務の分掌を各人ごとに定め、責任と権限を明らかにし、指揮命令系統を確立して、有事即応の態勢を整備すること。

3 救助組織の活用計画は、概ね次の事項について、調査検討し、その結果を十分活用して作成すること。

一 情報の収集、報告、通報に関し、各部相互間の連絡調整。

二 救助の実施にかかる総合統制に関し、各部相互間の連絡調整。

三 各部相互間の協力、応援の方法。

四 市町村における民間団体及び地域住民の協力関係並びにその組織化。

五 市町村相互間の応援方法。

六 他の都道府県からの応援の要請方法。

4 救助業務に従事する者の服務に関して、最少限度次の事項を定めること。

一 部課を単位にした救助業務従事者の非常災害時における具体的配置。

二 職務時間外における非常災害時の執務。

三 救助業務従事者の名簿及び招集方法。

第三 救助組織と災害対策本部の関係について

救助組織は、災害救助法による応急救助の実施に当る組織であり、災害対策本部は復旧対策等をも包含する広範な目的を有する任意の組織であるため、幾多の競合する分野があるから災害の際おのおのの独立した機能によつて、緊急事態に対処することは、実施上円滑を欠く面があるので、それぞれの業務内容については、平常時から必要な調整を行い、各組織の活動態勢の整備を図る必要があること。