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○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律の施行について(依命通達)(抄)

(昭和三七年五月一〇日)

(厚生省発援第八三号)

(各都道府県知事あて厚生事務次官通知)

戦傷病者、戦没者遺族、未帰還者留守家族、引揚者等に対しては、戦傷病者戦没者遺族等援護法(以下「遺族援護法」という。)、未帰還者留守家族等援護法(以下「留守家族援護法」という。)、引揚者給付金等支給法(以下「給付金支給法」という。)及び未帰還者に関する特別措置法(以下「特別措置法」という。)等によつて各般の援護措置が講じられてきたところであるが、近時における経済情勢の推移、関連諸制度との均衡等を勘案し、これら戦傷病者等に対する援護の万全を期することを目的として、今次第四十回国会において成立した戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)は、別添(1)のとおり、本日、法律第百十五号をもつて公布され、また、これに伴う未帰還者留守家族等援護法施行令等の一部を改正する政令(以下「改正政令」という。)及び戦傷病者戦没者遺族等援護法施行規則等の一部を改正する省令(以下「改正省令」という。)別添(2)及び別添(3)のとおり政令第二百一号及び厚生省令第二十一号をもつてそれぞれ本日公布されたので、その運用に関しては、特に左記事項に留意のうえ、管下一般に周知徹底を図るとともに、関係機関あいともに協力して改正の成果を挙げるよう努められたく、命により通達する。

第一 改正の主要事項

改正の主要事項は、おおむね、次のとおりであること。

1 障害年金、障害一時金、遺族年金、遺族給与金、留守家族手当、葬祭料及び遺骨引取経費を増額したこと。

2 帰還患者が療養の給付を受けることができる期間を当分の間延長したこと。

3 厚生大臣が戦時死亡宣告の請求ができる場合を民法第三十条に規定する場合に合致させ、昭和二十八年以降消息不明となつた未帰還者についても請求ができることとしたこと。

4 特別措置法による弔慰金の支給を受けるべき遺族の範囲を遺族援護法による弔慰金の受給者の範囲と同様に三親等内の親族まで拡大したこと。

5 生後六箇月未満の乳児であつた引揚者については、外地居住期間が六箇月未満のものであつても引揚者給付金を支給することとしたこと。

6 日本国政府の命令又は要請により外地に生活の本拠を有するに至つたものと厚生大臣が認める者については、外地居住期間が六箇月未満のものであつても引揚者給付金又は遺族給付金を支給することとしたこと。

7 引揚後、昭和三十二年三月三十一日以前に二〇歳以上二五歳未満で死亡した者の遺族に遺族給付金を支給することとしたこと。

8 引揚者給付金又は遺族給付金を受ける権利の時効期限を一年延長したこと。

第二 障害年金、遺族年金、留守家族手当等の増額に ―┐

関する事項                    │

第三 帰還患者の療養の給付期間の延長に関する事項  │

第四 留守家族手当の支給終了に関する事項      │

第五 戦時死亡宣告の対象範囲の拡大に関する事項   │

第六 弔慰料の受給対象範囲の拡大に関する事項   ―┘

第七 引揚者給付金等の支給対象の拡大等に関する事項

(改正法第四条中第二条、第八条及び第十八条の改正規定。附則第一項。附則第十一項から附則第十四項まで。)

(改正省令第四条の規定。附則。)

1 引揚者給付金は、終戦時(給付金支給法第二条第一項第一号に該当する者については昭和二十年八月十五日、同法同条同項第二号に該当する者については昭和二十年八月九日、同法同条同項第五号に該当する者については、昭和十八年十月一日又は同法施行令第一条で定める地域ごとに同条で定める日をいう。以下同じ。)まで外地に六箇月以上生活の本拠を有していた者のみに支給することを原則としているが、引揚者の子であつて終戦時以前六箇月未満の期間内に外地において出生し、出生日以後引き続き終戦時まで外地に居住し、同日以後本邦に引き揚げた者にも新たに引揚者給付金を支給することとしたこと。これらの者の親はすでに引揚者として引揚者給付金又は遺族給付金が支給されているものと思料されるので、新たに対象となつた者の引揚者給付金の認定にあたつては、できる限り事務の簡素化に配意し、すみやかな処理を行なうこと。

2 現在、昭和二十年八月十五日までの外地の居住期間が六箇月未満の引揚者のうち、満州開拓民のみは引揚者給付金が支給されているが、日本国政府の命令又は要請により外地に生活の本拠を有するに至つたものと厚生大臣が認める者については、満州開拓民と同様の考え方に基づき、在外居住期間が六箇月未満であつても、引揚者給付金又は遺族給付金を支給することとしたこと。従つて、これらの者についての厚生大臣の認定は、当時の命令書、要請書等の明確な資料に基づいて行なうこととしているので、厚生大臣への認定申請にあたつては、当時の資料をできる限り添付するよう指導すること。

3 引揚後、昭和三十二年三月三十一日以前に二五歳以上で死亡した者の遺族には遺族給付金が支給されているが、二〇歳以上二五歳未満の者も事実上一家の働き手と考えられるので、二〇歳以上の死亡者の遺族にも遺族給付金を支給することとしたこと。従つて、死亡した者の遺族等がすでに引揚者給付金又は遺族給付金の支給を受けている場合には、できる限り事務の簡素化に努めること。

4 引揚者給付金又は遺族給付金を受ける権利については、その時効期間が一昨年及び昨年にそれぞれ一年延長され、本年五月十六日をもつて時効の完成するものが生ずることとなつていたが、現在の請求書の受付状況等にかんがみ、なお若干の未請求者があると考えられたため、更に時効期間を一年延長し、六年間としたものであること。従つて、今後は、この延長期間内にこれらの未請求者がすべて請求を終るよう、一段の配意を熕わしたいこと。

第八 恩給法等の一部を改正する法律に関連する事項 略

第九 引揚者国債の元利金の支払についての特例に関する事項

(改正法第四条中附則第七項の次に一項を加える規定。附則第一項)

引揚者国債の元利金償還の消滅時効の起算日である国債の交付の日については、国債の銘柄や券面上の記載事項等によつて区々であり、これを明らかにするためには極めて多くの時間と労力を要するとともに、事務の熕雑を招き、ためにその支払を受ける権利者に迷惑をかけるおそれがあるので、消滅時効完成後も元利金の支払をすることができるように改めたものであること。しかしながら、消滅時効が完成しても未だ元利金の支払を受けていない引揚者等については、できる限りすみやかに元利金の支払を受けるよう指導すること。

別添(1)~(3) 略