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○引揚者給付金等支給法の施行について

(昭和三二年五月二九日)

(援発第四三五号)

(各都道府県知事・那覇日本政府南方連絡事務所長あて厚生省引揚援護局長通知)

標記の件については、本日別途当省事務次官から通達されたところであるが、右通達のほか、左記事項御了知のうえ、本法の施行に遺憾のないよう配意されたい。

第一 引揚者給付金に関する事項

1 引揚者給付金の請求者(法第十九条ただし書の規定により引揚者給付金を受ける権利を譲渡した者を含み、法第七条第一項の規定により相続人が請求した場合は、当該死亡した者とする。以下同じ。)が法第二条第一項に規定する引揚者(以下単に「引揚者」という。)であるかどうかの判定は、次の各号了知のうえ、過誤なきを期すること。

(1) 法第二条第一項第一号から第三号までにおいていう「生活の本拠」とは、一般的には、人の一般の生活関係において、その中心をなす場所をいうものである。而してその者が外地に生活の本拠を有していたか否かは、その者の外地における居住の状況、その期間、職業、家族の生活状況等を総合的に考察して判定すべきものであるが、個々の案件の判定は、別紙(1)の判定基準により行うこと。

(2) 法第二条第一項第一号に該当する者となるには、その要件の一として、その者の外地よりの引揚が同号に規定する事由によるものでなければならないが、別紙(2)の表に掲げる地域から、昭和二十八年八月十五日(以下「終戦日」という。)から地域の区分により定めた同表に掲げる期日までの間に、本邦に引き揚げた者は、終戦後外地に行つた者である場合等その引揚が右の事由によるものでないという明確な反証のない限り、右の事由により引き揚げた者として取り扱うこと。なお、その他の地域から引き揚げた者及び同表に掲げる地域から、同表に掲げる期日後に引き揚げた者については、個々の案件について、その事情を詳細審査して判定すべきものであつて、その取扱要領については、おつて通達するものであること。

(3) 法第二条第一項第二号に該当する者となるには、その要件の一つとして、その者の引揚が同号に規定する事由によるものでなければならないが、法第二条第二項に規定する地域、千島列島、樺太、朝鮮、満洲(関東州を含む。以下同じ。)及び華北地区(満洲以外の現在の内蒙古自治区を含む。以下同じ。)から、同号に規定する期間内に引き揚げた者は、その引揚が右の事由によるものでないという明確な反証のない限り、右の事由により引き揚げたものとして取り扱い、その他の地域から同号に規定する期間内に引き揚げた者は、原則として同号に該当しないものとすること。

(4) 法第二条第一項第三号にいう「本邦に滞在中」に該当するか否かの判定は、別紙(3)の判定基準によること。

(5) 法第二条第一項第四号に該当する者となるには、同項第一号から第三号までの場合と異り、終戦日又は昭和二十年八月九日(以下「ソ連参戦日」という。)まで引き続き六箇月以上外地に生活の本拠を有していたという要件は必要としないが、その者の外地に残留したことが同項第四号に規定する事由によるものでなければならないものであつて、その事由によるものであるか否かの判定は、別紙(4)の判定基準によること。なお、同号に掲げる者のうち、法第五条第二項に該当する者については、その名簿を当局より別途送付するものであること。

(6) 法第二条第一項第一号又は第三号に該当する者となるには、同項第一号に規定する満洲開拓民(以下単に「満洲開拓民」という。)を除き、外地に生活の本拠を有していた期間が終戦日又はソ連参戦日まで引き続き六箇月以上でなければならないこと。

(7) 満州開拓民には、当該世帯主のほか、当該世帯主に属する家族及び満洲開拓青年義勇隊員を含むものであること。なお、引揚者給付金の請求者が満洲開拓民であつたか否かを判定する資料として、請求書に添附された書類のほか、昭和二十五年四月十三日管引合第四五七号をもつて外務次官から各都道府県知事に通達された「未引揚邦人調査に関し第五次府県ブロック会議開催の件」の別紙「開拓団義勇隊関係調査要領」に基き、各都道府県において作成した団隊別在籍者名簿を参考資料として利用すること。

(8) 第一号、第四号及び第五号に掲げた別紙(1)、(3)及び(4)の判定基準の取扱に関しては、なお、次の事項を承知されたいこと。

(イ) 右の判定基準は、法の施行事務が進捗するに従い逐次補正追加するものであるから、これらの判定基準に該当しない案件に係る引揚者給付金に関しては、右の補正追加があるまで、その認定を保留すること。

(ロ) 右の判定基準に該当するか否かに関し、疑義がある場合は、具体的事案を具して、当局に協議すること。

(9) 軍人又は軍属として内地から外地に行つていた者は、法第二条第一項第四号に掲げる者を除き、引揚者に該当する案件は少ないと考えられること。

(10) 引揚者給付金の請求者が引揚者であるか否かの判定に当たつては、その者が軍人又は軍属として外地にあつたかどうかを審査しなければならない事案が少くないと考えられるので、施行令第九条に規定する認定機関(以下単に「認定機関」という。)は、必要に応じその保有している兵籍等軍人軍属に関する資料との照合に着意すること。

(11) 本法においていう「本邦」には、当然小笠原諸島及び南西諸島は含まれるものであること。従つてこれらの諸島に生活の本拠があつた者は、本法においては、外地に生活の本拠を有していたことに該当せず、外地からこれらの諸島に引揚げた場合は「本邦に引き揚げた」ことに該当するものであること。なお、法第二条第二項に規定する地域から本邦に引き揚げた場合も右に該当するものであること。

2 法第六条の規定に適用については、次の各号に留意すること。

(1) 同条の規定により引揚者給付金を受けることができない者は、同条に規定する額をこえる所得税を納付すべき者及びその配偶者に限るものであるが、夫婦の一方が引揚者で他が引揚者でない場合で、その引揚者でない者が同条の規定に該当する者であるときにおいても、他の引揚者である配偶者は同条の規定の適用を受けるものであること。

(2) 同条に規定する所得税額を証明する書類は、その者に市町村民税を賦課すべき市町村長がその賦課をするため税務署より得た資料により作成した証明書とすること。なお市町村長において当該所得税額を証明する資料を現有していない場合は、関係税務署と連絡し必要な資料を入手するよう指導すること。

(3) 同条第一項においていう「事実上の婚姻関係と同様の事情にある者」とは、民法に定める婚姻成立の実質的要件に違反することなく、婚姻する意思のもとに事実上の夫婦の関係にあるもので、ただ、その形式的要件である婚姻の届出をしていないものをいうものであること。

(4) 配偶者の所得税額との合計額により同条の規定を適用する場合は、昭和三十二年四月一日(同年同月二日以後引揚げる者については、その引き揚げた日)に配偶者がある場合とし、この場合においては、婚姻前における当該年分の所得税額は合計すべきものであること。(例えば、昭和三十二年四月一日において夫婦である者については、その婚姻が昭和三十一年十二月三十一日に始まつたものであつても、両者の昭和三十一年分の所得税額又は昭和二十九年から昭和三十一年までの各年分の所得税額の平均額をそれぞれ合計して同条を適用すべきものである。)

3 引揚者給付金を受ける権利を有する者が未成年者等民法で定める無能力者である場合における引揚者給付金の請求又は法第十九条ただし書の規定による権利の譲渡は、親権者若しくは後見人が法定代理人として、又は保佐人の同意の下に、その請求又は譲渡を行わせること。ただし、法第七条第一項の規定により相続人が請求をする場合及び法第十九条ただし書の規定により引揚者給付金を受ける権利を譲渡する場合を除き、当該権利を有する者が引揚者給付金の請求に関し、意思能力を有するものと認められる場合であつて、法定代理人において請求させることが不適当であると認められるときは、本人が請求しうるものであること。

4 法第七条第一項の規定により引揚者給付金を受けるべき同順位の相続人が数人ある場合は、そのうちの代表者一人が引揚者給付金の請求を行うよう指導し、この場合においては、相続人相互の間における紛議等を防止するため、その代表者の請求につき、他の同順位の相続人の同意書を請求書に添附させること。ただし、他の同順位の相続人が所在不明等当該同意書をとることができない相当の理由があるときは、その理由を明らかにした書類を添附して当該同意書をとることができない者の同意書の添附を省略してよいこと。

第二 遺族給付金に関する事項

1 死亡した者が法第八条第一号又は第二号に該当するか否かの判定は、次の各号により行うこと。

(1) 次の(イ)又は(ロ)に該当する者は、法第八条第一号又は第二号に該当する者でないという明確な反証のない限り、これらの規定のいずれかに該当するものとして取り扱うこと。

(イ) 終戦日以後引き続き別紙(2)の表の上欄に掲げる地域にあつた者で、同表の当該中欄に掲げる期日以前に、当該地域から本邦に引き揚げる途上(本邦に上陸するまでとする。以下同じ。)において死亡したもの

(ロ) ソ連参戦日から終戦日の前日までの間に法第二条第二項に規定する地域、千島列島、樺太、北緯三八度以北の朝鮮又は満洲にあつた者で、終戦日前に当該地域において又は右の期間内に当該地域を出発して本邦に引き揚げる途上において死亡したもの

(ハ) ソ連参戦日から終戦日の前日までの間に、北緯三八度以南の朝鮮又は華北地区にあつた者で右の期間内に当該地域を出発し本邦に引き揚げる途上において死亡したもの

(ニ) 第一の第一項第五号に掲げる別紙(4)の判定基準に掲げる者が外地又は外地から本邦に引き揚げる途上において死亡したもの

(2) 前号に該当しない者の取扱要領は、おつて通達するものであること。

2 死亡した者が法第八条第三号に該当するか否かの判定は、第一の第一項の例により、その者が法第二条第一項各号のいずれかに該当するに至つた後死亡したものであることを慎重に審査して行うこと。

3 遺族給付金を受ける権利の認定に当つては、法第十二条第二項の規定の適用の有無に関し、特に次の各号了知し、過誤なきを期すること。

(1) 同項においていう「遺族給付金に相当する給付」とは、戦傷病者戦没者遺族等援護法(以下「援護法」という。)による遺族年金及び弔慰金のほか、引揚前(本邦に上陸するまでの引揚途上を含む。以下同じ。)受傷り病し、引揚前又は引揚後これにより死亡した者の死亡に関し、他の法令により支給される給付(当該負傷又は疾病により増加恩給又は障害年金を支給された者が平病死した場合に支給する扶助料又は遺族年金を含む。)をいい、恩給法による普通扶助料又は引揚後公務上受傷り病し、これにより死亡した者の死亡に関し支給される公務扶助料及びこれらに相当する給付並びに旧雇員扶助令又は旧傭人扶助令による給付に含まれないものであること。

(2) 同項においていう「受ける権利を取得した者がある場合」には、その受給権者が本法による遺族給付金を受けるべき者以外の者である場合及びこれらの者が当該権利につき裁定を受けていないが、請求すれば同項に規定する給付が支給されるべき者がある場合を含むものであること。

(3) 援護法第二条に規定する軍人軍属で同法第三条に規定する在職期間内にあるもの(以下「援護法上の軍人軍属」という。)が在職期間内に生じた傷病により引揚前又は引揚後死亡した場合は、当該死亡のほとんどすべてが同法による弔慰金の支給事由になつているから、これらの者に係る遺族給付金を受ける権利の有無の認定は、その者の死亡に関し、弔慰金を受ける権利を取得した者の有無を確認したうえ、これを行い、当該権利を取得した者の有無に関し疑義あるものについては、当省に協議すること。

(4) 恩給法上の公務員(援護法上の軍人、軍属を除く。)が引揚前に生じた傷病により引揚前又は引揚後死亡した場合は、当該死亡の相当部分が恩給法による公務扶助料の支給事由となつているから、この場合においても前号に準じて取り扱うこと。

(5) 朝鮮総督府、台湾総督府等の部内の雇傭人又は陸海軍部内の雇傭人等の有給軍属で、援護法上の軍人軍属でないものが、終戦日以前(台湾総督府部内の雇傭人については、昭和二十年十月頃まで)に生じた公務上の傷病により、引揚前又は引揚後死亡した場合は、当該死亡は旧令による共済組合等から年金受給者のための特別措置法による殉職年金の支給事由になつている場合があるから、この場合においても、第三号に準じて取り扱うこと。

(6) 第三号から前号までに掲げる者以外の者が、引揚前外地において生じた傷病により死亡した場合においても、その者が援護法第三十四条第五項に規定する戦闘に参加した者又は同条第六項に規定する満洲開拓青年義勇隊の隊員若しくは当該隊員であつた者又は特別未帰還者がこれらの各項において規定する傷病により引揚前又は引揚後死亡した場合は、当該死亡は、同条による弔慰金の支給事由となつているので、この場合も第三号に準じて取り扱うこと。

4 法第九条及び第十条に規定する配偶者には、婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、その範囲は、第一の第二項第三号に述べたところと同様であり、法第十条にいう「事実上婚姻関係と同様の事情に入つていると認められる場合」には、民法に定める婚姻成立の実質的要件を有しない場合であつても、社会通念上婚姻と称するにふさわしい関係に入つていると認められる場合で、その関係に入つている者を、第一順位として死亡した者に係る遺族給付金の支給対象にすることが社会の実情にそわないと判断されるものを含むものであること。

5 遺族給付金を受けるべき順位にある遺族が法第十二条第一項第一号に該当する場合において、他に同号に該当しない同順位の遺族があるときはその遺族が、同順位の遺族がないときは次順位の遺族で同号に該当しない者が、それぞれ遺族給付金を受けるべき者であること。

6 前各項のほか、第一の第二項は法第十二条第一項第一号の規定の適用に関し、第一の第三項及び第四項は遺族給付金を受けるべき同順位の遺族が数人ある場合及び遺族給付金を相続人又は民法で定める無能力者が請求する場合等に準用すること。

第三 引揚者給付金及び遺族給付金の請求手続等に関する事項

1 給付金を受ける権利を有する者の数は相当多数に上り、かつ、その審査に困難を伴うものも少なくないことが予想されるので、請求書類の受付送達等にあたつては、書類の紛失、重複認定等の生じないようその取扱及び記帳に確実を期すること。

2 認定機関と請求者の居住地を管轄する都道府県知事又は那覇日本政府南方連絡事務所長(以下これらを「居住地都道府県知事」という。)が異なる場合において、居住地都道府県知事が請求書類を受け付けたときは、第一の第一項第九号において述べた兵籍等との照合を除き、認定機関が行う場合と同様に書類の内容を十分審査し、不備があるときは、市町村長又は請求者をして補正させる等により書類を完備したうえ、認定機関に送付すること。

3 給付金の請求書に添附すべき書類については、施行規則に規定されているところであるが、次の各号に留意すること。なお、請求書に添附すべき書類が請求者等において将来とも保有しておくことが必要であるものである場合又は請求書を二通以上提出する場合において原本が一通しかないとき等は、市町村長の奥書証明のある当該書類の写を添附して差し支えないこと。

(1) 引揚者給付金又は法第八条第三項に掲げる者に係る遺族給付金の請求書類において、当該請求者又は死亡した者が、法第二条第一項に規定する引揚者又は同項に該当した後死亡した者であることを認めることができる書類としては、次に掲げるようなものが考えられること。

(イ) 地方引揚援護局等において発行した引揚証明書

(ロ) 在外公館、居留民団体等が当時発行した外地居住、引揚、身分等を証明する書類又は許可、認可等に関する書類

(ハ) 外地関係の団体、会社等が当時発行した外地居住、引揚、身分等を証明する書類

(ニ) 当時の確実な資料を現有している外地関係の団体、会社等又はこれらの継承機関が当該資料により証明した外地居住、引揚、身分等に関する書類

(ホ) 官公署の証明した履歴書

(ヘ) 外地における出産、寄留等の記事がある戸籍書類

(ト) 通信文書(当時の日付印があるもの。)

(チ) 外地において受払がある預貯金通帳

(リ) 持帰り証券等の預り証

(ヌ) 市町村長が発行した引揚による転入又は外地移住による転出に関する証明書

(ル) 引揚者援護物資配給証明書

(オ) 外地における学校等の卒業証書等

(ワ) その他右に掲げた書類に準ずるもの

(2) 復員者に交付した前号の(イ)の引揚証明書には、その職業欄に、軍人又は軍属と記載してあるのが例であるが、その記載がないもの又は記載に間違いのあるものが少なくないので、請求書の審査に当つては、この点留意し、必要に応じ、認定機関は、その保有している兵籍等と照合すること。

(3) 第一号に掲げた書類は、その一をもつて、請求者が、法に定める要件を具備していることが確実に判定しうる場合は少なくないと考えられるので、確実にその判定ができるように、添附しうる書類は、すべて添附させるよう指導すること。

(4) 第一号に掲げた書類だけでは請求者が法に定める要件を具備していることが判定しえない場合又は第一号に掲げた書類のいずれもえられない場合は、請求者又は死亡した者の在外事実、引揚事実等に関する申立書に記載された申立事項につき、参考人の証言を求める等その認定は慎重に行うこと。なお右の場合におけるその取扱要領については、おつて通達するものであること。

4 法第十九条ただし書の規定により引揚者給付金を受ける権利を譲渡した場合において、当該譲渡した権利の認定は、当該譲渡人に係る認定機関において行うこと。従つて譲渡人と譲受人に係る認定機関が異なる場合は、なるべく権利の譲渡を行わず各人別に請求するよう指導すること。若し、この場合において、権利の譲渡が行われたときは、譲受人の本人に係る引揚者給付金の請求書と譲渡人に係る引揚者給付金の請求書(譲受人の名義によるもの。)を認定機関毎に別通として提出させること。

5 引揚者給付金又は遺族給付金に関する通知書の作成については、次の事項を了知されたいこと。

(1) 引揚者給付金又は遺族給付金に関する通知書には、認定機関の別により定めた次の表の記号を「記号及び番号」欄の「引」又は「遺」の下に記載すること。

区分

記号

区分

記号

区分

記号

北海道知事

秋田県知事

栃木県知事

東京都知事

新潟県知事

静岡県知事

滋賀県知事

広島県知事

愛媛県知事

長崎県知事

鹿児島県知事

岩手県知事

福島県知事

埼玉県知事

山梨県知事

石川県知事

鹿

大阪府知事

岡山県知事

香川県知事

佐賀県知事

宮崎県知事

青森県知事

山形県知事

岐阜県知事

奈良県知事

鳥取県知事

山口県知事

高知県知事

熊本県知事

那覇日本政府南方連絡事務所長

宮城県知事

茨城県知事

南      


群馬県知事

神奈川県知事

富山県知事

愛知県知事

京都府知事

兵庫県知事

千葉県知事

長野県知事

福井県知事

三重県知事

和歌山県知事

島根県知事

徳島県知事

福岡県知事

大分県知事


(2) 法第十九条ただし書の規定により引揚者給付金を受ける権利の譲渡を受けた者について認定を行つた場合には、次の要領によること。

(イ) 譲受人(請求者)、及び譲渡人のすべてについて引揚者給付金を受ける権利を有するものと認定したときは、一枚の認定通知書を用い、その「引揚者の氏名」欄にそのすべての氏名を、「引揚者給付の額」欄にその者の受くべき引揚者給付金の額を各人別に記載し、「受給者」欄には、譲受人(請求者)に関する該当事項を記載すること。

(ロ) 譲受人(請求者)については、引揚者給付金を受ける権利を有するものと認定したが、譲渡人については、その全部又は一部について引揚者給付金を受ける権利を有しないものと認定したときは、認定通知書一通及び却下通知書一通を作成し、それぞれ、前記(イ)の要領により必要事項を記載すること。

(ハ) 譲受人(請求者)及び譲渡人の全部又は一部について引揚者給付金を受ける権利を有しないものと認定したときは、譲受人(請求者)及び譲渡人のうち、引揚者給付金を受ける権利を有しないものと認定した者についてのみ、却下通知書を作成し、その「備考」欄に他の者については譲受人が引揚者給付金を受ける権利を有しないため、譲渡はできない旨記載し、認定通知書は作成しないこと。

6 認定機関は、当該認定機関が認定すべき者に関し、次に掲げる帳簿を備え、これを整理して置くこと。

(1) 引揚者給付金請求書受付簿    別記様式第一号

(2) 遺族給付金請求書受付簿     別記様式第二号

(3) 引揚者給付金受給者(譲渡者)名簿 別記様式第三号

(4) 遺族給付金受給者名簿      別記様式第四号

(5) 引揚者給付金却下通知簿     別記様式第五号

(6) 遺族給付金却下通知簿      別記様式第六号

(7) 不服申立受付送付簿       別記様式第七号

なお、引揚者給付金及び遺族給付金に関する請求書を経由する都道府県知事及び那覇日本政府南方連絡事務所長は、次の帳簿を適宜備えつけ、これを整理しておくこと。

(1) 引揚者給付金請求書受付送付簿  別記様式第八号

(2) 遺族給付金請求書受付送付簿   別記様式第九号

7 前項の帳簿の整理については、次の事項に留意すること。

(1) 引揚者給付金請求書受付簿及び遺族給付金請求書受付簿は、請求者の居住地の市区郡別(状況に応じ、他の適当な区域の別、以下(3)の(イ)において同じ。)に、請求書(他の都道府県知事が権利の認定を行う請求書を除く。)の受付順に記帳し、当該請求書を返戻したとき、当該請求につき認定したとき等はその都度所要の事項を記入すること。

(2) 引揚者給付金請求書受付送付簿及び遺族給付金請求書受付送付簿は他の都道府県知事が権利の認定を行う請求書につき前号に準じて整理すること。ただし、状況に応じ市区郡別等に整理する必要はないこと。

(3) 引揚者給付金受給者名簿及び遺族給付金受給者名簿は、認定機関において備え付けるものとし、重複認定の防止に便ならしめるため次により整理すること。

(イ) 引揚者又は死亡した者の昭和二十年八月十五日又は除籍時の本籍地の市区郡の別にし、更に引揚者又は死亡した者の氏名の仮名読頭文字により「いろは」又は「五十音」順に分けて別々の口座を設け、給付金を受ける権利を認定した順にその都度所要の事項を記入すること。

(ロ) 法第十九条ただし書の規定により引揚者給付金を受ける権利の譲渡を受けた者につき認定したときは、当該権利を譲渡した者についても所要の事項を記入し、あわせて、当該「備考」欄に当該権利の譲渡を受けた者(請求者)の氏名を記入すること。

(ハ) 法第七条第一項の規定により相続人が請求した引揚者給付金につき認定した場合は、引揚者給付金受給者名簿の「受給権者」欄は、当該死亡した者を記入し、「備考」欄に請求者の氏名を記入すること。

(ニ) 法第七条第一項を準用する法第十三条の規定により相続人が請求した遺族給付金につき認定した場合は、遺族給付金受給者名簿「死亡した者」欄は、法第八条各号に掲げる者を記入すること。

8 引揚者国庫債券はなるべく、請求者の委任により居住地の市町村長が代理受領したうえ、本人に交付するよう指導されたいこと。

9 給付金請求書に添附する書類のうち、特にその様式を全国的に統一することが便宜と認められるもの、添附を省略して差し支えないもの等に関しては別途通達するものであること。

別紙(1)

外地に生活の本拠の有無判定基準

通し番号

区分

外地に生活の本拠の有無

備考

1

外地において、農業、林業、漁業、鉱業、工業、商業等(以下「農業等」という。)を営んでいる者及びその者の世帯にある家族(2及び3の者を除く。)

上記においていう「世帯」とは、居住及び家計をともにしている者の集りをいう。以下同じ。

2

外地で農業等を営んでいる者で住居を内地と外地に有しているが、生活の大半を外地の住居でしている者及びその者の外地の世帯にある家族

 

3

外地で農業等を営んでいるが内地に住所を有している者及びその世帯にある家族

 

4

外地にある工場、事業場等に勤務している者及びその者の世帯にある家族

次に掲げる者は保留とする。

一 採用、転任等身分が内地にある本社等で取り扱われている者で一人で赴任しているもの

二 臨時的に当該事業場等に派遣されている者

5

外地にある日本の官公署に勤務している者(軍人軍属を除く。)及びその者の世帯にある家族

右に準ずる。

6

外地にある外国の官公署に勤務している者(満洲国軍の軍人を含む。)及びその者の世帯にある家族

右に準ずる。

7

外地で家事従事員として雇われている者

右に準ずる。

8

外地に生活の本拠を有する者によつて生計を維持しているその者の家族で、内地にある学校等に在学しているもの

 

9

内地に生活の本拠を有する者によつて生計を維持しているその者の家族で、外地にある学校等に在学しているもの

 

10

外地に生活の本拠を有している間に入営又は応召した者及びその入営又は応召の際その者によつて生計を維持していたその家族で外地にあるもの

一 入営又は応召し、その勤務している場所が内地である場合を含む。ただし家族を内地に同伴して内地にきている場合は外地に生活の本拠なし。

二 入営又は応召したため家族を内地に帰し、生活の本拠を内地に移したと認められる場合は外地に生活の本拠なし。

11

内地に生活の本拠を有している者で、入営又は応召等により外地で勤務しているもの(12の者を除く。)

 

12

家族を同伴して、外地で軍人軍属として勤務している者及びその同伴家族(10及び13の者を除く。)

 

13

外地で勤務している軍属で軍属となつた際、外地に住所を有している者及び軍属になつた際その者によつて生計を維持していた家族で外地にあるもの

軍属になつたため、家族を内地に帰し生活の本拠を内地に移したと認められる場合は外地に生活の本拠なし。

別紙(2)

地域

期日

備考

千島

(法第二条第二項に規定する地域を含む。)

樺太

昭和二十四年七月二十三日

 

北朝鮮

昭和二十三年七月六日

南朝鮮を経由して引き揚げた者を含む。

満洲

昭和二十四年十月三日

 

華北

華中

華南

海南島

昭和二十三年十二月十日

 

台湾

昭和二十四年八月十五日

 

南朝鮮

比島

南洋委任統治領

グアム

ウエーキ(大鳥島)

香港及び九竜半島

仏印

タイ

北部ボルネオ

マライ及びシンガポール

アンダマン諸島

ニコバル諸島

サバン

スマトラ

バンカ

小スンダ

タニンバル諸島

モルツカス諸島

南部ボルネオ

ニューギニア

ニューブリテン

ニューアイルランド

ブーゲービル

ソロモン諸島

ニュージーランド

オーストラリア

昭和二十二年十二月二日

 

ビルマ

昭和二十三年一月三日

 

セレベス

昭和二十四年一月十七日

 

ジャワ

昭和二十四年十二月二十六日

 

ソ連

昭和二十五年四月二十二日

千島、樺太、北鮮、満洲、関東州等から移送されてナホトカで乗船した者とす。

備考

右に該当する場合であつても、当該引揚者に交付した引揚証明書に記載してある引揚年月日は、右の表に掲げた日の数日後になつているものがあるから留意すること。

別紙(3)

法第二条第一項第三号に規定する「本邦に滞在中」の該否判定基準

外地に生活の本拠を有している者で、次の各号のいずれかに該当するものは、法第二条第一項第三号に規定する「本邦に滞在中」に該当するものとする。

1 本邦に所在する部隊に入営又は応召中の者

2 本邦に所在する工場、事業所等に応徴中の者

3 本邦にある学校等に在学中の者

4 本邦に公用、社用等で出張中の者(ただし、昭和二十年二月十五日以前から引き続き本邦にあつた者は保留する。5についても同様とする。)

5 墓参、冠婚葬祭のため本邦にきていた者

別紙(4)

法第二条第一項第四号に規定する「外地に残留することを余儀なくされた者」に該否判定基準

昭和二十年八月十五日以後引き続き外地にあつた者で次の各号のいずれかに該当するものは、法第二条第一項第四号に規定する「外地に残留することを余儀なくされた者」に該当するものとする。

1 終戦後、法第二条第二項に規定する地域、千島列島、樺太、北鮮、満洲からソ連へ移送されて、ソ連で抑留された者

2 中国(満洲、関東州を含み、台湾を除く。)にある者で、次のいずれかに該当するもの。

(イ) 平和条約第十一条に定める裁判により拘禁された者(当該裁判を受けるべき容疑者として逮捕拘禁された者を含む。以下3において同じ。)

(ロ) いわゆる季徳全名簿に登載されている者

(ハ) 旧特別未帰還者給与法に規定する特別未帰還者

(ニ) 政府機関留用者、軍機関留用者として残留させられた者

(ホ) 孤児となつて残留している者

3 その他の地域にある者

平和条約第十一条に定める裁判により拘禁された者

様式第一号

様式第二号

様式第三号

様式第四号

様式第五号

様式第六号

様式第七号

様式第八号

様式第九号