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○未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律の施行について

(昭和三〇年九月二日)

(厚生省発援第一一二号)

(各都道府県知事あて厚生事務次官通知)

未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)は、昭和三十年法律第百二十九号をもつて公布施行され、改正法の施行に伴い、未帰還者留守家族等援護法施行令等の一部を改正する政令(以下「改正令」という。)が昭和三十年政令第二百二十号をもつて公布施行されたが、この法律の施行に当つては、特に左記事項に留意し、本法の所期する目的を達成するよう努められたく、命によつて通知する。

第一 法律改正の要旨

1 改正前の未帰還者留守家族等援護法(以下「法」という。)第八条本文の規定により支給する留守家族手当の月額は、二三〇〇円であるが、当該月額が昭和三十年十月分から昭和三十一年六月分までは二五八三円、昭和三十一年七月以後は二九三七円に増額されたこと。

2 法の施行前に帰還し、かつ、法による療養の給付(療養費の支給を含む。以下同じ。)を受けている者が、帰還後六年を経過する日において、なお、引き続き療養を要する場合においては、現行法上、さらに一年間、その者の申請により必要な療養の給付を行うことができるのであるが、この療養の給付期間がさらに三年間延長され、最大限帰還後一〇年間、法による療養の給付を受けることができるようになつたこと。

3 未帰還者が帰還した場合又は未帰還者の死亡の事実が判明した場合においては、留守家族手当又は特別手当の支給が打ち切られることになつているのであるが、改正法の施行後、未帰還者が帰還した場合は、その帰還した日の属する月の翌月以後三箇月間、未帰還者に死亡の事実が判明した場合は、その死亡の事実が判明した日の属する月の翌月以後六箇月間、それぞれ、留守家族手当又は特別手当の額に相当する額の手当が、支給されることとなつたこと。

第二 留守家族手当の増額に関する事項

留守家族手当の年額と戦傷病者戦没者遺族等援護法の規定による先順位者たる遺族に支給する遺族年金の額とは、留守家族と遺族とに対する処遇の均衡をはかる意味において、従前より同額となつているので、第二十二特別国会において成立した戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律(昭和三十年法律第百四十四号)により、遺族年金の額が昭和三十年十月分から昭和三十一年六月分までは三万一〇〇五円、昭和三十一年七月以後の分は三万五二四五円に増額されたことに相応し、留守家族手当が、第一の1に記したとおり増額されたものであること。

第三 療養の給付期間の延長に関する事項

1 改正法により療養の給付期間がさらに三年延長されたのは、法附則第四十一項の規定により療養の給付を受けている者に関する措置であつて、帰還後一〇年間療養の給付を受けることができるのは、法の施行前に帰還した者に限られること。従つて、法の施行後に帰還した者は、法第十八条第一項に定める期間に同条第三項に定める期間を加えた期間、即ち、七年間を超えて、法による療養の給付を受けることはできないこと。

2 療養の給付期間の延長を、法の施行前に帰還した者についてのみ行つたのは、法の施行前に帰還し、かつ、法による療養の給付を受けている者の大部分が本年十二月二十八日をもつて給付期間の満了する者であるのに対し、法の施行後に帰還し、かつ、法による療養の給付を受けている者は、最も早く給付期間が満了する者でも、昭和三十五年七月三十一日までは療養の給付を受けることができるので、今回は焦眉の急に迫つた期間満了者に対する立法措置を講じ、法の施行後に帰還した者については、期間満了の期日までにあらためて適当な措置を講ずるという趣旨に基くものであること。

第四 未帰還者の帰還後又は死亡判明後引き続き支給する手当に関する事項

1 改正法により法の附則に新たに加えられた附則第四十三項の規定により支給される手当は、未帰還者の帰還又はその死亡の判明により留守家族手当又は特別手当の支給が打ち切られることがその留守家族に大きな痛手を与えることとなるので、今回、さらに留守家族援護の充実を期するために、支給されることとなつたものであること。

2 法附則第四十三項の規定による手当を沖縄地域に居住する者に支給するに当つては、留守家族手当の支給に関するものと同様の特例を政令で定めることができるようにし、改正令第二条により当該特例を定めたこと。

3 未帰還者の帰還後、その者に支給されるべき恩給法の規定による普通恩給を受ける権利につき裁定があつた場合又は未帰還者の死亡が判明した後、その者の遺族に支給されるべき恩給法の規定による扶助料若しくは戦傷病者戦没者遺族等援護法の規定による遺族年金を受ける権利につき裁定があつた場合、法附則第四十三項の規定による手当は、当該裁定のあつた日の属する月の翌月分以降、当該普通恩給、扶助料又は遺族年金の支給額の限度において、支給されないものであること。この場合において、当該普通恩給、扶助料又は遺族年金の支給されるべき月の分として法附則第四十三項の規定による手当が支給されたときは、その支給された額は、政令で定めるところにより、当該普通恩給、扶助料又は遺族年金の内払とみなされるものであること。

4 前記3に記した普通恩給、扶助料又は遺族年金の内払額の算定については、改正令による改正後の未帰還者留守家族等援護法施行令(以下「令」という。)第四条に規定されたこと。

5 法附則第四十三項の規定による手当の支給に関する厚生大臣の権限は、改正令による改正後の令第二条第三項の規定に基き、留守家族手当又は特別手当の支給に関する権限の委任の例により、各行政機関の長等又は都道府県知事に委任されることとなつたこと。