添付一覧
○戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の運用について(その四)
(昭和四二年三月二〇日)
(援護第一二六号)
(各都道府県民生主管部長・那覇日本政府南方連絡事務所次長あて厚生省援護局援護課長通達)
標記のことに関し、別添のとおり戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法関係問答集を作成したので送付する。
なお、この通知において、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法を「法」と戦傷病者戦没者遺族等援護法を「遺族援護法」と略称する。
(別添)
戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法関係問答集
(その四)
(問1) 法第二条の二により、戦没者等の遺族とみなされる者(先順位の遺族)をきめる場合、遺族援護法第三十六条第一項の父母、祖父母についての順位の規定(養父母、実父母等に関するもの)は、はたらくか。(大阪府)
(答) 法第二条の二の規定により戦没者等の遺族とみなされる父母、祖父母は、遺族援護法第二十四条第一項に規定するものとのみ規定されているから、死亡した者と生計関係があつた父母又は祖父母である限り、それぞれ同順位であり、さらに同法第三十六条第一項に規定するような順位の先後はないものである。
しかしながら、実父母、養父母等がともに死亡した者によつて生計を維持し、又はその者と生計をともにしていたという事例は稀であると考えられるので、念のため申し添える。
(問2) 法第二条の二第四号括弧内にいう「氏」は、戦没者等の氏のみであるか。(大阪府)
(答) 法第二条の二第四号括弧内にいう氏とは、単に当該婚姻前の氏を指すものであり、必ずしも戦没者等の氏とは限らないものである。
なお、同号にいう「死亡した者の死亡当時称していた「氏」」についても同様である。
(問3) 法第二条の二第三号には、死亡した者の死亡前すでに遺族以外の者の養子となつているものについて何ら触れていないが、このような者が死亡した者の死亡後昭和四十年四月一日までの間にその縁組を解消していない場合、特別弔慰金の受給権はどうなるか。
(答) 遺族以外の者の養子となつている者であつても死亡した者の死亡の当時死亡した者と真に生計関係があつたと認められる者であれば、さらに法第二条の二第一号から第四号までに該当しない限り、その縁組の解消の有無にかかわりなく特別弔慰金の受給権を有するものである。
(問4) 特別弔慰金の支給順位の変更は、昭和四十二年四月一日以降厚生大臣に申請すべきものと思うがどうか。
(答) お見込みのとおりである。
(問5) 弔慰金を受けなかつた遺族が特別弔慰金を請求する場合の必要書類に「戦没者の死亡の当時における戦没者と請求者及び戦没者と弔慰金を受けた者との身分関係がわかる戸籍の謄本又は抄本」があるが、この戸籍書類は戦没者が分家等をしている場合何通もの戸籍書類が必要となると思われるが、前記の身分関係のわかる戸籍書類が何通になろうと添付する必要があると解してよいか。
(答) お見込みのとおりである。
(問6) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律(昭和四十一年法律第百八号)により特別弔慰金を受ける権利を生じた者の時効の起算日はいつか。
(答) 昭和四十一年七月一日である。
(問7) 空襲により除籍簿等が焼失したため戦没者に係る除籍時の戸籍の謄本が得られない場合、その旨を記載した市町村長の証明書が添付されていれば、「戦没者の除籍時の戸籍の謄本が添付できない旨の申立書」は省略させてよいか。(長崎県)
(答) お見込みのとおりである。
(問8) 弔慰金は戦没者の兄弟が受給したが、昭和四十年三月五日付確認の裁判により、そのうちの兄及びその妻が戦没者の養父母となつた。この場合、特別弔慰金の受給権はどうなるか。(養父母はいづれも六○歳未満である。)(福島県)
(答) 戦没者の養父母となつた者に特別弔慰金を裁定することとされたい。
なお、戦没者の他の兄弟は当該養父母が生じたことにより弔慰金の受給権はなかつたこととなるものである。
(問9) 戦没者の母は戦没者の死亡前に死亡し、戦没者の父は戦没者の死亡後、遺族以外の者と再婚したがこの父も昭和二十七年弔慰金を受給した後死亡した。その後昭和三十三年に戦没者の兄は、当該父の配偶者の養子となる縁組をした。この事例において、戦没者の兄から戦没者と生計関係があつたとして特別弔慰金の請求があつた場合、この兄に対する特別弔慰金の受給権はどうなるか。(福井県)
(答) 御照会の兄は、法第二条の二第三号に該当するので、特別弔慰金の受給権は有しない。
(問10) 戦没者の母は、戦没者死亡後に戦没者の弟を伴つて他家に嫁したため、弟も母の夫の氏を称することとなつた。その後、弟が遺族以外の者と氏を改めないで婚姻した場合、この弟は法第二条の二第四号括弧内にいう「氏を改めない法律上の婚姻」に該当すると思うがどうか。
(答) お見込みのとおりである。
(問11) 法第二条の二による特別弔慰金の転給は、戦没者との間に生計関係がある者に限られているが、例えば、戦没者と生計関係を有していた父母が、戦没者が出征したため、戦没者と別世帯にあつた請求者たる戦没者の弟から新たに生計の相当部分について援助を受けることとなつた場合、戦没者と弟の間に生計関係があるといえるか。
(答) 御照会のような弟は、戦没者と生計関係があつたものと解することは適当でない。
(問12) 弔慰金を受けるべき戦没者の父母が受給前に死亡したため、その相続人として戦没者の兄弟が弔慰金を受給している場合、当該兄弟は特別弔慰金の受給権者となりうると思うがどうか。
(答) 先順位の者がいない場合であつて、かつ、戦没者の死亡の当時、戦没者と生計関係があれば法第二条の二第一号から第四号までに該当しない限り、特別弔慰金の受給権を有する。
(問13) 戦没者との生計関係申立書の記載について、戦没者と同一世帯にあつた遺族欄には、戦没者と一戸を構え同じ世帯として起居を共にしていた者を記載し、戦没者が単身他県に出稼に行き、たとえば会社の寮から召集されたような場合、本籍地にいる兄弟姉妹は別世帯にあつた遺族として記載させるべきか。(高知県)
(答) お見込みのとおりである。
(問14) 戦没者の生計関係申立書の記載事項中に誤りがあることが判明した場合、請求者に返戻することなく、裁定機関において朱書をもつて訂正して差し支えないか。(高知県)
(答) 内容にもよるが、一般的には生計関係申立書の記載事項に疑問があれば、請求者に補正をさせることとされたい。
(問15) 特別弔慰金の同順位者のうち、戦没者の除籍時の戸籍の謄本により血縁関係が判明した場合、特別弔慰金請求同意書に同意の印のみで現戸籍抄本は添付する必要はないものと解してよいか。
なお、戦没者の除籍時の戸籍の謄本にない兄弟姉妹であつても、同意の印のみで現戸籍抄本は添付を要しないか。(高知県)
(答) お見込みのとおりであるが、生計関係申立書及び現況申立書の記載事項と矛盾のないことを確認されたい。
(問16) 法第二条第二項にいう「当該死亡した者の子」には戦没者の継子も含まれるものであるか。(福井県)
(答) お見込みのとおりである。
(問17) 戦没者の父母は弔慰金を受給した後昭和二十八年死亡した。戦没者の妹は戦没者の死亡後(昭和二十四年)遺族以外の者と氏を改めた婚姻をしたが、その夫が昭和二十五年戦没者の母と養子縁組したことにより、妹は戦没者の氏に復した。この場合、当該妹は昭和四十年四月一日において氏を改めない婚姻をしたものとして特別弔慰金の受給権を有するか。(静岡県)
(答) 御照会の妹は、法第二条の二第四号に規定する氏を改めない法律上の婚姻をしたものとはならないので特別弔慰金の受給権は有しない。
(問18) 死亡した者が従軍文官又は勅令第六十八号非該当陸海文官である場合は、公務扶助料が支給され、その代り弔慰金は支給されないこととなつている。この公務扶助料受給遺族が昭和四十年前失権した場合、他に生計関係のあつた兄弟姉妹までの遺族があつたとしても、これらの者には昭和四十一年法改正による特別弔慰金の支給ができないものと解してよろしいか。(岐阜県)
(答) お見込みのとおりである。
(問19) 法第二条第一項第二号の適用について、戦没者の妻が、弔慰金受給後、昭和四十年三月三十一日までの間に遺族以外の者と事実婚をし、その数カ月後に妻の氏を称する婚姻(妻が戸籍の筆頭者となつている。)の届出をした場合当該妻は特別弔慰金の受給権を有するか。(東京都)
(答) 事実婚の相手と法律婚の相手が同一人であれば、御照会の妻は氏を改めないで法律上の婚姻をしたものとして特別弔慰金の受給権を認めて差し支えない。