アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の運用について(その二)

(昭和四〇年八月三〇日)

(援護第四〇八号)

(各都道府県民生主管部長・那覇日本政府南方連絡事務所次長あて厚生省援護局援護課長通知)

別添のとおり、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法関係問答集を作成したので送付する。

(別添)

戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法関係問答

(その二)

(問1) 戦没者の妻は、夫死亡後の昭和二十三年に某男と事実婚関係に入つたが、昭和二十七年戦傷病者戦没者遺族等援護法(以下「遺族援護法」という。)の施行とともに弔慰金を第一順位者として受給した。この妻が昭和三十一年にその内縁の夫と夫の氏を称する婚姻の届出をした場合、この妻に対する特別弔慰金の受給権者はどうなるか。(千葉県)

(答) 戦没者の妻とその内縁の夫が昭和三十一年にした婚姻届は、昭和二十三年から生じている事実上の婚姻関係についての形式的要件の補完と解するのが相当であるから、この妻が弔慰金の受給権を取得した当時、遺族援護法第三十六条第一項第二号から第九号までに掲げる遺族がなかつたものであれば、特別弔慰金の受給権を有するものと解する。

(問2) 戦没者の実母は、戦没者の生後間もなく夫(戦没者の実父)と離婚したうえ他に再婚し、一方、戦没者の実父もやがて後妻(戦没者の継母)を迎えたが、戦没者は未婚のまま軍属として戦死した。この例において遺族援護法の弔慰金は実父が受給したが、この実父は昭和四十年四月一日前に死亡している場合、特別弔慰金は継母、実母(いずれも六○歳未満で年金の受給権はない。)のいずれに支給されるか。(福岡県)

(答) 御照会の実母は、戦没者の死亡当時生計関係があつたとは考えられないので、特別弔慰金を受けることができる者は継母である。

(問3) 戦没者と生計同一関係にあつた養父母が弔慰金を受けた後昭和四十年四月一日前に死亡している場合、生計同一関係になかつた実父母が特別弔慰金を請求することはできないか。(大阪府)

(答) 設例の実父母は、第三順位の父母ではあるが、遺族援護法第三十六条第一項ただし書の規定により、生計関係のあつた養父母と同順位の者ではないので特別弔慰金の受給権はないものである。

(問4) 戦没者には、遺族援護法第三十六条第一項第一号から第十号までの遺族がないので、同項第十一号に規定する戦没者の叔父が弔慰金を受給したが、その叔父も昭和四十年一月に死亡した。このような場合、叔父の配偶者に特別弔慰金の受給権があるか。(鹿児島県)

(答) 叔父との婚姻届出の時期が戦没者の死亡日前であれば、戦没者との間に生計関係がなかつたことが明らかでない限り特別弔慰金の受給権を有する者と認めてさしつかえない。なお、弔慰金裁定通知書の名儀人である戦没者の伯叔父母等及びその配偶者が昭和四十年四月一日前に死亡していること等により、他の伯父母等又はその配偶者から特別弔慰金の請求があつた場合は、生計関係の有無、葬祭を行なつたかどうかについての資料を提出させた後当局(援護課)に協議されたい。

(問5) 戦没者の子が昭和四十年四月一日前に満二○歳に達したため公務扶助料を受ける権利がなく、かつ、その子が現在葬祭を行なつているのであるが、戦没者が文官であるため誰も弔慰金の受給権は取得していない。このような場合特別弔慰金の受給権はないと思うがどうか。(高知県)

(答) お見込みのとおりである。

(問6) 明治三十八年四月八日生まれの父母の受ける遺族年金は、昭和四十年四月分から支給されることとなるが、この者は、昭和四十年四月一日においては遺族年金を受ける権利を有しないとして特別弔慰金の受給権者となるか(島根県、鹿児島県)

(答) お見込みのとおりである。

(問7) 昭和四十年六月十六日援護第二七八号の問10の答では「兄弟及び子ともに特別弔慰金の受給権者となる」とあるが、次の事項につき御教示願いたい。

(1) 昭和三十八年法律第七十四号附則第二条第七項による二万円の弔慰金の受給者のみが特別弔慰金の受給権者となるものと解されないか。

(2) 両者とも特別弔慰金の受給権者であるとすれば、具体的には、法第六条の規定に準拠した先着請求者に裁定してよいか。(愛媛県、佐賀県)

(答) (1)については、兄弟と子とでは親等は異なるが両者とも弔慰金の受給権を取得した者であるから二万円の弔慰金の受給権者のみを特別弔慰金の受給権者と解することはできない。

(2)については、例えば兄弟等受給権者が二人以上ある場合と同様の扱いとされたい。

(問8) 弔慰金の裁定に疑義がある場合は、どうしたらよいか。(宮城県、群馬県)

(答) その事情を明らかにし請求書類を添付して個々に当局(援護課)に協議されたい。

(問9) 戦没者の遺族の現況等についての申立書(以下「現況申立書」という。)には、戦没者の死亡時までにすでに死亡している遺族については記載の要がないとされているが、たとえば死亡者の父母について当該申立書に記載がない場合は、記載洩れであるのか、すでに死亡しているため記載がないのかについて判断に苦しむ場合が多い。このような場合は、特に反証のない限り死亡しているものと推定してよいか。(長野県)

(答) お見込みのとおりである。

(問10) 配偶者について、住民票の謄本により事実婚の疑いのあるものについては、どのように処理するか。(京都府)

(答) 必要な調査を行ない、その結果事実婚関係の有無の明らかでない場合は、調査結果を付して当局(援護課)に協議されたい。

(問11) 弔慰金の請求時、同順位者の存在したことが本府の記録に残つており、特別弔慰金の請求にあたつて現況申立書にその同順位者を死亡と申し立てている場合、死亡事実を明らかにする戸籍書類の添付は必要ないと思うがどうか。(京都府)

(答) お見込みのとおりである。

(問12) 病院、寮、寄宿舎に居住している者については、世帯人員がきわめて多く、住民票の謄本の作成が困難なものもあると思われるが、このような場合抄本をもつてこれにかえてさしつかえないか。(京都府)

(答) 御照会のような特別の場合には、世帯主のその旨の申立書を添付したうえ、住民票の抄本を提出させることとしてさしつかえない。

(問13) 現況申立書には、戦没者の死亡の日前に死亡しているもの又は戦没者の死亡の当時日本の国籍を有しないものの記載は必要ないと解してよいか。(神奈川県、鹿児島県)

(答) 配偶者を除き、お見込みのとおりである。

(問14) 戦没者の妻が事実婚であるため次順位者である戦没者の子から特別弔慰金の請求があつた場合、妻が昭和三十九年法律第百五十九号によるいわゆる再婚解消の妻に該当するか否かを確認するため昭和二十七年当時の妻の住民票の謄本及び昭和二十七年四月三十日までに事実婚を解消していない旨の申立書を添付させる必要はないか。(高知県)

(答) その必要はない。ただし、現況申立書の記載から、再婚解消の妻に該当する疑いのもたれるものについては適宜必要な書類を提出させる扱いとされたい。

(問15) 兄弟姉妹等が数人ある場合における特別弔慰金請求書に添付する戸籍書類は、全員の戸籍の抄本を添付させる必要があるか。(三重県、鹿児島県)

(答) 請求者(代表者)の戸籍の抄本を添付すればたり、同意者各人の戸籍の抄本は必要としない。

(問16) 特別弔慰金を請求する場合、次に掲げる者について特別弔慰金請求同意書の添付を省略することはできないか。(佐賀県)

(1) 外国に居住している者

(2) 同居している父母の一方

(3) 戦没者の死亡日前に他家に嫁している者

(答) いずれの場合においても、原則として必要とする。ただし、同意を得ることができない特別の事情がある場合は、同意書にその旨を記載させ、事情やむを得ないと認めたものについては、裁定してさしつかえない。

(問17) 弔慰金の受給権を取得した戦没者の父から特別弔慰金の請求があつたが戦没者は朝鮮出身のためか、戦没者に係る戸籍の謄本が得られない場合、戦没者に係る戸籍の謄本の添付を省略してよいか。(佐賀県)

(答) 御照会のような場合には、戦没者の除籍時の戸籍の謄本が添付できない旨の申立書を添えて当局(援護課)に協議されたい。

(問18) 弔慰金の未請求者、未裁定者又は異議申立中の者が特別弔慰金請求書を提出する場合、戦没者等の妻に対する特別給付金の例に準じて申立書等を添付する必要はないか。(島根県)

(答) その必要はない。ただし、特別弔慰金請求書中弔慰金裁定通知書の記号及び番号の欄及び現況申立書中⑥の欄にその旨記載させるよう指導されたい。

(問19) 現況申立書の記載要領について、配偶者が婚姻した場合は「戦没者の死亡の日から昭和四十年三月三十一日までの状況④」の欄の「婚姻した」の欄に、○印を付し「④欄の説明」の欄に、たとえば「昭二二、三、三戦没者の弟甲野乙男と婚姻」のように記載するよう指導を受けたが、その再婚を解消している場合それを記載する欄がないがどうするのか。(新潟県)

(答) 諮問の場合には、「④欄の説明」欄に当然離婚の状況を記載させるべきであるから、現況申立書の記載について、そのように指導されたい。

(問20) 特別弔慰金請求書記載の住所、氏名の文字が印鑑票記載の住所、氏名の文字と相違するため財務局(部)から訂正依頼がある場合があると思われるので請求書に印鑑票を添付して本籍地の都道府県に送付し裁定通知書と同時に印鑑票を居住地の都道府県に返送してはどうか。(高知県、和歌山県)

(答) 通達どおり印鑑票は居住地の都道府県に保管する扱いとされたい。なお、特別弔慰金請求書を受け付けたときは居住地の都道府県において確実に住所、氏名の照会を行ない、また裁定通知書を受けたときも十分照合を行なつたうえ印鑑票を財務局(部)に送付されたい。