○遺族年金又は弔慰金を受ける権利を有しない者が、これらの権利を有するものとして裁定を受けた場合等における処理について
(昭和二八年六月一五日)
(援護第四〇九号)
(各都道府県知事・各地方復員残務処理部長あて引揚援護庁援護局長通知)
標記の件については、左記各項により処理することとしたから右御了知のうえ遺憾のないよう致されたい。
記
第一 遺族年金に係るものについては、次により処理すること。
1 重複裁定を受けていた場合
(1) 重複裁定を受けている者(被選定人を選定している場合においては、当該被選定人。)より次に掲げる書類をその者の住所地を管轄する市町村長(以下「市町村長」という。)、甲都道府県知事(戦傷病者戦没者遺族等援護法施行事務取扱規程にいう甲都道府県知事をいう。以下同じ。以下丙都道府県知事という場合もこれに準ずる)及び丙都道府県知事を順次経由して裁定機関に提出させること。
(イ) 別紙様式(1)による届書
(ロ) 重複裁定を受けた権利のうち、正当な権利とする分の選定届(別紙様式(2))
(ハ) 裁定取消を要する遺族年金を受ける権利が表示されている遺族年金証書
(ニ) 重複裁定を受けている者が被選定人である場合において、その者の裁定取消に伴つて新たに被選定人の選定を要するときは、新たな被選定人選定届
(ホ) 重複裁定を受けている者が支払を受けた遺族年金の額についての支払郵便局の証明書
甲都道府県知事又は丙都道府県知事において、右の書類の送付を受けたときは、必要な調査を行い書類の内容に誤りがないことを確めたうえ意見を附して進達すること。
(2) 裁定機関において(1)による書類の提出を受けたときは、次により処理するものであること。
(イ) 遺族年金裁定取消通知書(別紙様式第(3))を甲都道府県知事及び市町村長を経て本人に交付すること。
(ロ) 遺族年金証書を書き換えて交付する必要があるものについては、遺族年金証書を書き換えて、これを甲都道府県知事及び市町村長を経て本人(被選定人名義のものは選定人。)に交付すること。(もとの陸軍に属していた者に係るものについては、遺族年金証書の書換記入に必要な事項を甲都道府県知事に通知するから、甲都道府県知事において、遺族年金証書を作成すること。)なお、この場合における遺族年金証書の記号、番号及び裁定年月日は、もとの記号、番号及び年月日とすること。
(ハ) 裁定取消をした遺族年金を受ける権利が表示されている遺族年金証書によつて、遺族年金の支払を受けていた場合は、当該支払を受けている遺族年金の納入告知書の発行方を歳入徴収官(当該年金の支払を受けた日が、昭和二十八年四月三十日以前であるときは、厚生大臣官房会計課長、同年五月一日以後であるときは、引揚援護庁長官房総務課長)に請求してそれを受領し、甲都道府県知事及び市町村長を経由して納人に交付すること。
右の納入告知書の発行を請求する場合は、(1)の(ホ)に掲げた証明書を添付すること。なお、地方復員残務処理部長において発行の請求をする場合は、引揚援護庁援護局(整理第二課)を経由すること。
(ニ) 遺族年金裁定取消通知書の写及び遺族年金証書交付通知書を丙都道府県知事(もとの海軍に属していた者で、その者の身分に関する書類が地方復員残務処理部に保管されているものに係るものは、丙都道府県知事及び当該地方復員残務処理部長)及び年金の支払機関に送付すること。
2 遺族年金を受ける権利を有しない者が、遺族年金を受ける権利を有する者として裁定を受けた場合
(1) 裁定を受けている者(被選定人を選定している場合においては、当該被選定人)より次に掲げる書類を1の(1)の例により裁定機関に提出させること。
(イ) 別紙様式(4)による届書
(ロ) 遺族年金証書
(ハ) 裁定を受けている者が被選定人である場合において、その者の裁定取消に伴つて新たに被選定人の選定を要するときは、新たな被選定人選定届
(ニ) 裁定を受けている者が、支払を受けた遺族年金の額についての支払郵便局の証明書
甲都道府県知事又は丙都道府県知事において右の書類の送付を受けたときは、必要な調査を行い書類の内容に誤りがないことを確めたうえ進達すること。
(2) 裁定機関において右により届書の送付を受け、遺族年金裁定取消をするときにおける裁定取消の手続及び裁定取消後における事務処理の方法等については1の(2)の例に準ずること。
第二 弔慰金に係るものについては、次により処理すること。
1 弔慰金を受ける権利の裁定を受けた後において、当該裁定を受けた者より先順位者たるべき者があることが判明した場合
(1) 当該先順位者たるべき者より弔慰金請求書を第一の1の(1)に掲げた機関を順次経由して裁定機関に提出させること。
(2) 甲都道府県知事において右の弔慰金請求書の送付を受けた場合においては、必要な調査を行い、裁定に必要な参考書類がある場合は当該書類を添附し、意見を附して進達すること。
特に次に掲げるような場合においては、詳細な調査を行い、必要と認めるときは、関係者の申立書等を添附させること。
(イ) 請求者が死亡した者と、事実婚の状態にあつた者である場合
(ロ) 父母又は祖父母相互間において、生計維持又は生計同一の関係により請求者とすでに弔慰金を受ける権利につき裁定を受けた者との間に弔慰金を受ける順位に先後を生ずる場合
(3) 丙都道府県知事において右の弔慰金請求書類の送付を受けた場合においては、先順位者としてすでに弔慰金を受ける権利の裁定を受けた者の現住所、死亡者との続柄、氏名及び弔慰金裁定通知書の記号番号を記載した書類及びその他裁定に必要な参考書類がある場合は、当該書類を添付し、意見を付して進達すること。
(4) 裁定機関において右の弔慰金請求書の提出を受け、すでに先順位者として弔慰金を受ける権利を有する者として裁定された者の裁定を取り消す場合は、左により処理するものであること。
(イ) 弔慰金裁定取消通知書(別紙様式第(5))を甲都道府県知事及び市町村長を順次経由して本人に交付すること。
(ロ) 弔慰金裁定取消通知書の写を第一の1の(2)の(ニ)に掲げた機関(支払機関を除く。)及び日本銀行国債局長に送付すること。
(5) 甲都道府県知事において市町村長を経由して弔慰金裁定取消通知書を本人に交付したときは、次の手続をとること。
(イ) 遺族国庫債券の返付を受け(遺族国庫債券を、担保貸付の担保に供しているとき又は買上償還されているときを除く。)これに引渡書(様式は昭和二十八年四月二十三日付援護第二七七号通達別紙によること。)二通を添付して最寄の日本銀行(支店、代理店を含む。)に引き渡し、引渡書の一通に遺族国庫債券を領収した旨の表示を受け、これを裁定機関に送付すること。
(ロ) 遺族国庫債券の元利金の支払を受けていたときは、その支払を受けた者の住所、氏名、金額及び年月日を記載した書類を裁定機関に送付すること。(支払機関の証明書を添附すること。)
(ハ) 遺族国庫債券を担保に供し、又は買上償還を受けているときは、担保貸付の機関、貸付金額及び貸付年月日又は買上償還の機関、買上償還額及び買上年月日を記載した書類を裁定機関に送付すること。(この場合、これらの事実に関する貸付機関又は買上機関の証明書を添付すること。)
(6) 裁定機関において(5)の(イ)及び(ロ)に掲げた書類の送付を受けたときは、左の手続をとるものであること。
(イ) 支払済の元利金及び買上償還額に対する納入告知書を第一の1の(2)の(ハ)に準じ納人に交付すること。
(注)遺族国庫債券を担保に供していた場合の取扱については、おつて通知する。
(ロ) 遺族国庫債券発行取消請求書に(5)の(イ)により送付を受けた引渡書及び右の納入告知書の写を添付して大蔵大臣に送付すること。
2 弔慰金を受ける権利を有しない者が弔慰金を受ける権利を有する者として裁定を受けた場合(1に該当する場合を除く。)
(1) 裁定を受けている者より別紙様式(6)による届書を第一の1の(1)に掲げた機関を順次経由して裁定機関に提出させること。
(2) 甲都道府県知事又は丙都道府県知事において右の届書を進達するときは、当該届書を提出した者が弔慰金を受ける権利を有しないものであることを知るに足る戸籍書類、事実に関する調書等を添付すること。
(3) 裁定機関において右により届書の送付を受け弔慰金裁定取消をするときにおける裁定取消の手続及び裁定取消後における事務処理法等については、1の(4)以下に記載したところに準ずること。
第三 重複裁定等を受けている者が第一の1の(1)、2の(1)又は第二の2の(1)による届書その他の書類の提出をしないときは左により処理すること。
1 甲都道府県知事は、裁定取消をするのに必要な事項を知るに足る事項(重複裁定等を受けている者の現住所、死亡者との続柄、氏名、遺族年金証書等の記号番号、戸籍書類、遺族年金又は弔慰金を受ける権利を有しなかつたことの事実に関する調書等)を具して、丙都道府県知事を経由して裁定機関に報告すること。
2 裁定機関において右の報告を受け、裁定取消の処分をするときにおける裁定取消の手続、裁定取消後の処理等は第一の1もしくは2又は第二の1もしくは2の場合に準じて取り扱うものであること。
第四 死亡したものと認定されていたものと認定されていた軍人軍属又は軍人軍属であつた者が生存していることが判明したときにおいて、その遺族と認定されていた者が遺族年金又は弔慰金を受ける権利の裁定を受けていた場合における処理については、昭和二十八年四月二十三日援護第二七七号通達によること。
様式(1)
様式(2)
様式(3)
様式(4)
様式(5)