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○遺族援護法に関する質疑回答について

(昭和三二年九月一〇日)

(援発第六九九号)

(各都道府県知事・地方復員部長あて厚生省引揚援護局長通知)

法第三十四条第五項に規定する被徴用者等に関する主なる質疑事項に対する解釈は、左記のとおりであるから通知する。

問一 旧国家総動員法による被徴用者は何処に配置させられていたか。

答 被徴用者は、国、工場事業場管理令(昭和十三年五月四日勅令第三百十八号)により政府が管理する工場事業場(管理工場)及び国民徴用令第四条第二項の規定により厚生大臣が指定する工場事業場(指定工場)に配置させられていた。但し、昭和二十年三月十日以降は、国民勤労動員令が施行され、同勅令により右の管理工場、指定工場の別なく、同日以後徴用された者については、総動員業務を行つていた工場事業場であれば配置させられていたものと解する。

問二 現員徴用者とは何か。

答 軍需会社徴用規則(昭和十八年十二月十七日厚生省令第五十二号)第二条の規定により厚生大臣が指定した軍需会社において、当該軍需会社の営む軍需事業に従事していた者であつて、特定の者を除き徴用せられた者とみなされた者のことである。

問三 もとの陸軍又は海軍の管理工場の下請工場には、被徴用者は配置させられていたか。

答 当該下請工場が政府の管理工場又は厚生大臣の指定工場になつていない限り配置されていない。但し、被徴用者が当該下請工場に派遣されていた場合及び昭和二十年三月十日以降についてはこの限りでない。

問四 管理工場に勤務していた看護婦は、被徴用者と認められるか。

答 看護婦等医療関係者は、医療関係者徴用令により徴用されていた場合に限り認められる。

問五 国民学校六年の生徒が、総動員業務に従事中戦時災害により死亡した。この場合、学校報国隊員としての資格に疑義あるが如何。

答 国民学校初等科及びこれに準ずるものの児童並びに青年学校の生徒は、学徒勤労令による学校報国隊員として総動員業務につき協力を命ぜられることはないものと解する。なお、当時の実情等により、現実に学校長から総動員業務につき協力を命ぜられた者がある場合においては、その者が、総動員業務につき協力を命ぜられた事情について、詳細な資料を添附して当局に協議せられたい。

問六 被徴用者又は協力者が、自宅又は工場事業場が管理する寄宿舎(寮)から、配置又は出動を命ぜられた事業場に出動の途中又はその帰路において、戦時災害により死亡した場合には、法該当者と認められないか。

答 御質問の場合、通常の順路であつて、かつ通常の往復の場合に従つて行動している往復途上であつたものであれば、隊組織による隊長の指導監督のもとに行動していなかつた場合といえども、法該当者として取り扱つて差し支えない。

問七 死亡者甲は、徴用令書を受けたので、配置させられた事業場に赴任の途中空襲に遭い避難したが銃撃により即死した。この場合、在職期間内における公務傷病による死亡とみられないか。

答 設例の場合、通常の経路を経て遅滞なく配置させられた事業場に赴く途中であつたのであれば、甲の死亡は、在職期間内における公務傷病によるものとして取り扱う。

問八 被徴用者等が、業務外の事由により疾病にかかり、病院又は自宅において療養中空爆により死亡した。この場合、その者の死亡を業務上かつ、戦時災害による傷病と認めてよろしいか。

答 事業主が、特に指定した医療施設において療養中であつたものであれば認める。

問九 A県の学徒がB県の軍需会社に学校報国隊員として出動し、当該隊員たる学徒甲が受傷り病し病院に入院した。隊員たる学徒乙は命により甲の看護に従事していたところ、たまたま空襲により死亡した。この場合、乙の死亡を事由として弔慰金が支給されるか。

答 支給される。

問一○ 被徴用者等が命令により空襲による被災地の復旧作業に従事中不発弾の爆発により死亡した。この場合、当該不発弾が敵側の攻撃武器であつた場合には戦時災害と認められていたが、味方の武器であつた場合如何。

答 敵味方の別を問わない。

問一一 国民勤労報国隊員たる甲は、航空基地において業務に従事中味方航空機の不時着事故により受傷した。この受傷は戦時災害と認めて差し支えないか。

答 差し支えない。

問一二 防空法(昭和十二年四月七日法律第四十七号)による防空監視哨員が、当該業務に従事中戦時災害により死亡した場合如何。

答 当該防空監視哨員は、旧国家総動員法に基いて徴用され又は協力を命ぜられた者と解されないので、非該当である。

問一三 医師等が、医療救護班を編成し、空襲下の衛生、救護等の業務に従事中被爆死亡した。この場合、法に規定する総動員関係者として取り扱うか。

答 取り扱わない。但し、当該医療救護班が医療関係者徴用令に基き徴用された医師等であつて、防空法による防空計画設定者の行う防空上特に必要なる衛生に関する総動員業務に従事していた者である場合には、この限りでない。