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○戦傷病者戦没者遺族等援護法に関する質疑回答について(第九回)

(昭和二七年一〇月二〇日)

(援護第五五三号)

(各都道府県知事・地方復員残務処理部長あて引揚援護庁援護局長通知)

戦傷病者戦没者遺族等援護法に関する主なる質疑事項に対する解釈は、左記のとおりであるから通知する。

問一 遺族甲は年金等未請求のまま死亡し、甲の相続人乙も亦当該年金等未請求のまま死亡した場合において、乙の相続人丙は当該年金等を請求することができるか。

答 請求できるものと解する。

問二 戦没者の妻が、戦没者死亡前において某男と同棲しており、夫(戦没者)が死亡していたならば内縁関係にあつたと認められる場合において、妻の内縁関係は、戦没者死亡の時より発生したと解すべきか、あるいは死亡公報により戸籍が抹消された時より発生したと解すべきか。

答 戦没者死亡の時より内縁関係が発生していたものと解する。

問三 援護法附則第十一項の規定は、遺族年金を受ける権利を有する者が、当該権利発生の日において、禁以上の刑に処せられている場合についても適用されると解するが如何。

答 貴見のとおりである。

問四 戸籍の再製未了等の場合においては、仮戸籍のとう・・・抄本をもつて、援護法施行規則に規定する戸籍のとう・・・抄本にかえて差し支えないか。

答 本件については、昭和二十七年八月六日援護第四○三号第七回質疑回答第六問に関連してその取扱を明らかにしたところであるが、自今この取扱を改め、貴見のとおり取り扱つて差し支えない。

問五 民法の応急措置法施行前(昭和二十二年五月二日以前)において、甲女は乙男を養子とした後丙男と婚姻したが、丙男と乙男との間には継親子関係があるものと解するが如何。

答 乙男が甲丙夫婦と同一戸籍にある限り、貴見のとおりと解する。

問六 戦没者の妻甲は、戦没者死亡後、遺族以外の者乙と婚姻し、戦没者の子丙が、甲乙両者と養子縁組をした場合において、丙は、「遺族以外の者の養子」となつたものではないと解して差し支えないか。

答 お見込みのとおりである。

なお、丙が乙とのみ養子縁組をした場合においては、丙は、「遺族以外の者の養子」となつたものである。(昭和二十七年七月二十一日援護第三七五号第五回質疑回答第二問参照)

問七 戦没者死亡後、実家に復籍した妻が、戦没者の父母の養子となつた者と婚姻した場合における妻の弔慰金受給順位如何。

答 最後順位となるものと解する。但し、当該養子となつた者が、戦没者死亡前において戦没者の父母の養子となつたものである場合においては、その者と婚姻した妻の弔慰金受給順位は、第一順位である。

問八 入夫たる戦没者死亡後、戦没者の妻が、妻の父母の双方又は一方の養子となつた者と婚姻した場合において、なお戦没者の氏を称しているときは、妻の弔慰金受給順位は第一順位であると解していいか。

答 御見解のとおりである。

問九 戦没者の実父は、戦没者死亡前から某女と内縁関係にあつたが、戦没者死亡後において、当該某女と正式に婚姻した。この場合において、実父は援護法第三十一条第七号に該当すると解すべきか。

答 実父は、援護法第三十一条第七号に該当しないものと解する。

問一○ 民法の応急措置法施行前(昭和二十二年五月二日以前)において、いわゆる連子は、連子の父又は母の配偶者の継子となるか。

答 連子(父又は母が婚姻により他家に入つた場合において、引取入籍によつてその家に引き取られた子)と、その家にある連子の父又は母の配偶者との間には、継親子関係を生ずるものと解する。但し、母の連子が母の私生子(当該私生子が、事実上の父の認知をうけたものである場合を含む。)である場合においては、母の配偶者と母の連子との間には継親子関係を生ぜず、又父の連子が庶子である場合においては、父の配偶者と父の連子との間には嫡母庶子関係を生ずるものである。

問一一 甲女の私生子が乙男に認知せられて乙男の庶子となつた後、甲女はその子を連れ子して丙男と婚姻した場合において、甲女の連子は、丙男の継子となるか。

答 甲女の連子は、乙男の庶子ではあるが、甲女にとつては私生子であるから、丙男との間には継親子関係を生じないものと解する。

問一二 「扶養することができる直系血族」の中には、継子又は継親を含まないと解して差し支えないか。

答 御見解のとおりである。

問一三 継子と継親の実子又は養子は、援護法上兄弟姉妹と解して取り扱われるものであるか。

答 継子の父又は母(養父母を含み、継父母を含まない。)と、設問における実子又は養子の父又は母(養父母を含み、継父母を含まない。)とが同一人である場合には兄弟姉妹であると解する。

問一四 養子戦没前、養父母が離婚したときは、養子と養親との身分関係はどうなるか。又養子戦没後離婚したものである場合はどうか。

答 養親の離婚が、養子戦没の前になされたものであると後になされたものであるとにかかわらず、離縁しない限り養親子関係は消滅しないものである。但し、民法の応急措置法施行前(昭和二十七年五月二日以前)において、他家より入つた養親が離婚により養子の養家を去つた場合においては、当該養親と養子との親族関係は消滅するものである。

問一五 養父死亡後、養子が養母と離縁して実家に帰つた場合において、養子と亡養父との養親子関係は消滅するものであるか。

答 養子が亡養父と離縁しない限り、養親子関係は消滅しない。但し、民法の応急措置法施行当時において養母と養子とが離縁したものであれば、離縁の効力は亡養父にも及ぶものである。

問一六 戦没者の死亡後戦没者の祖父母の養子となつた者と婚姻した戦没者の妻の弔慰金受給順位如何。

答 最後順位となるものと解する。

戦没者の妻が、戦没者死亡後、遺族以外の者と婚姻した場合において、弔慰金受給順位が最後順位とならないのは、次のようなときである。

1 戦没者と同一の氏を称していた戦没者の妻が、戸籍の筆頭者となつた場合

2 戦没者と同一の氏を称していた戦没者の妻が、戦没者死亡後戦没者の父母の養子となり戦没者と同一の氏を称することとなつた者と婚姻して、その者(夫)の氏を称した場合

問一七 昭和二十七年八月二十八日援護第四四一号第八回質疑回答第四問に対し、戦没者の父母が婚姻したものと解されない場合として、「戦没者の死亡後、戦没者の実父と実母とが婚姻した場合等に限る」旨の回答があつたが、民法の応急措置法施行前における継父又は継母は、実父又は実母と同様に取り扱い、戦没者の継母が、戦没者死亡後、戦没者の実父たる夫と協議離婚し、その後いわゆる復縁再婚した場合についても、援護法第三十一条第七号に該当しないものと解して差し支えないと考えるが如何。

答 貴見のとおりである。

問一八 戦没者を養子とする旨の縁組届が、戦没者出征後になされ、戦没者は、死亡当時、養親、実親のいずれと生計維持又は生計同一の関係にあつたか判定困難の場合において、如何に取り扱うべきか。

答 他に証明資料のない限り、戦没者は、死亡当時において、養親と生計維持又は生計同一の関係にあつたものと認めるべきであると解する。