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○戦傷病者戦没者遺族等援護法に関する質疑回答について(第四回)
(昭和二七年七月一四日)
(援護第三六五号)
(各都道府県知事・地方復員残務処理部長あて引揚援護庁援護局長通知)
戦傷病者戦没者遺族等援護法の主なる質疑に関する解釈は、左記のとおりであるから通知する。
記
(問一) 父母の一方のみを同じくする子は、法にいう兄弟姉妹であるか。
(答) 御見解のとおりである。
(問二) 弔慰金を受けるべき同順位の遺族が数人ある場合、そのうちの一人がこれを請求して弔慰金を支給されたときは、行政庁は、法律上これが分配につき干渉すべきことを義務づけられていないものと解するが如何。
(答) 御見解のとおりである。
(問三) 事実婚とは、正妻が存在する限り成立しないものと解して差し支えないか。
(答) 御見解のとおりである。
(問四) 弔慰金の請求者が死亡した者の妻であり、且つ、遺族年金の受給資格者も妻以外にない場合は、弔慰金請求書に戸籍の抄本を添付して差し支えないか。
(答) 弔慰金請求書に添付すべき戸籍の謄本を戸籍の抄本をもつて代えることはできない。
(問五) 弔慰金を請求する場合に添付すべき戸籍の謄本には、弔慰金の受給資格者として関係のない叔父、叔母、甥、姪等の戸籍の記載事項の一部を省略して差し支えないか。
(答) 戸籍謄本の記載事項の一部を省略したときは、戸籍の抄本となり援護法施行規則の規定に違反することとなるのでこれが省略は許されない。もし、これを許容するとすれば、戸籍吏が誤つて戸籍の記載事項を省略した場合は、弔慰金の裁定に甚だしく不都合を生ずることとなるのである。
(問六) 死亡した者の死亡後、その父母の養子となつた者が、死亡した者の妻と婚姻した場合において、新戸籍の筆頭者が当該養子であるときはその妻は、氏を改めないで婚姻したものと認められるか。
(答) 養子と死亡した者の妻は、共に養親の氏を称しているものであるから、かかる二人が婚姻した場合、その妻は氏を改めないで婚姻したものと解する。
なお、昭和二十七年五月十五日引揚援護庁発総第二三五号次長通知第一の九「戸籍において、夫が筆頭者である場合においては氏を改めたことになる」とあるのは、「たまたま同一の氏の者と婚姻して」その者の戸籍に入り、筆頭者たるその者の氏を称することになつた場合を例示したものであり、戦没者の父母の養子となつた者と婚姻して、その者の戸籍に入つた場合を含まない趣旨であるから申しそえる。
(問七) 内縁の妻の子で、父が認知していないものは、援護法において父の子として扱われないか。
(答) 内縁の妻の子を父が認知していない場合は、法律上の子ではないから、この子は援護の対象とはならない。
(問八) 養父と養母は、事実上の婚姻関係にあつたものであるが、養母が長女であつたため戸籍上の婚姻手続をしていなかつた。従つて、養子は、戸籍上養父とのみ養子縁組をしていた場合において、養子が戦死したときは、事実上養親の関係にあつた養母は、母としての援護を受けることができるか。
(答) 法に規定する母としての援護を受けることはできない。
(問九) 死亡した者の死亡後、その妻が子を連れて再婚した場合において、子は母の新夫と養子縁組をしないが、民法第七百九十一条の規定により家庭裁判所の許可を得て母と共に氏を改めたときも、その子は依然死亡した者の子としての資格に変りはないものと解してよいか。
(答) 御見解のとおりである。
(問一○) 援護法にある「直系血族」とは、自然血族及び法定血族(養親子)を意味するものと解するがどうか。
(答) 御見解のとおりである。
(問一一) 法第二十五条第二項に規定する「昭和二十八年三月三十一日までに六十歳に達した者」は、六○歳に達する前に遺族年金を請求してよいか。