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○戦傷病者戦没者遺族等援護法に関する質疑回答について(第二回)

(昭和二七年六月三〇日)

(援護第三三八号)

(各都道府県知事・地方復員残務処理部長あて引揚援護庁援護局長通知)

戦傷病者戦没者遺族等援護法に関する主なる質疑事項の解釈は、左記のとおりであるから事務取扱上過誤のないようにいたされたい。

(問一) 召集を受け入営途上において、自己の責に帰することができない事故によつて死亡した者の死亡は、軍人としての在職期間内における公務上の死亡とみなしてよいか。

(答) 非現役軍人で召集を受けたものの在職期間は、その者が入営したときから召集を解除されたときまでの期間をいうのであつて、これ以外の軍人としての在職期間外に生じた如何なる事故に起因する死亡も、これを公務上の死亡とみることはできない。

(問二) 事実上の養子である者が、養子縁組により養親の戸籍に入籍していなかつた場合は、その者と事実上の養親との関係は、本法上親子として扱えないか。

(答) 事実上の養子と養親との関係を本法にいう親子関係として認めるには、明文の規定が必要であると考える。従つて、親子的共同生活を営んでいた場合であつても、法律上養子縁組の手続きがなされていない時は養親子としての本法上の援護を受けることはできない。

(問三) 弔慰金の請求権者が未成年者であつて所在不明(未帰還の場合等)の場合に、その者の親権者は、親権に基く請求権の代理行使をなし得ると思うが如何。又請求権者が成年者であつて所在不明の場合に、家庭裁判所の選任した財産管理人が請求権を代理行使する場合は如何。

(答) 昭和二十七年四月一日(死亡した者の死亡が、昭和二十七年四月二日以後であるときは、その死亡の日)において、弔慰金を受けることができる遺族が、請求権を行使することなく、四月二日(又は死亡の日の翌日)以後所在不明となつた場合は、その者の親権者又は財産管理人は、弔慰金を請求する権利を代理行使することができるものと解する。

昭和二十七年四月一日(死亡した者の死亡が、昭和二十七年四月二日以後であるときは、その死亡の日)において所在不明で、請求をしようとするときも引き続き所在不明の遺族については、弔慰金を受けることができる先順位の遺族であるかどうか極めて不明確であるから、その者の親権者又は財産管理人が代理して請求することはできない。従つて、その者の所在が判明するまで弔慰金の請求を留保するのが妥当であると考える。

(問四) 死亡した者が、養父母及び実父母と生計を共にしていた場合、両父母は、遺族年金を受けることができるか。

(答) 養父母と実父母が共に死亡した者と「生計を共にしていた者」であるならば、これらの者は、遺族年金を受けることができる。但し、養父母と実父母が死亡した者と生計を共にしていたものは、まれであると考えられるから該当の場合は十分調査が必要である。

(問五) 第三十一条第三号に該当するときは、どんな場合か例示されたい。

(答) 遺族年金を受ける権利を有する者が「離縁によつて、死亡した者との親族関係が終了したとき」とは、左のような場合がある。

(1) 養子縁組によつて、養子となつた者が、養親の死亡後離縁した場合における養子及びその直系卑属(養親の孫)

(2) 養子縁組によつて養子となつた者が、養親の直系尊属(養子の祖父)が死亡した後離縁した場合における養子

(3) 養子縁組後に生れた養子の直系卑属(養親の孫)が死亡した後、養子が離縁した場合における養親(死亡した者の祖父母)

なお、婿養子縁組により、婿養子となつていた者が、養親死亡後離縁したときも、法第三十一条第三号に該当するものである。

(問六) 第三十一条第七号の「父、母……が婚姻したとき」は、離婚していた戦没者の父母が、所謂復縁再婚した場合をも含むか。

(答) 死亡した者の死亡後その父母(養父母を含む。)が、婚姻した場合第三十一条第七号に該当しないものと解する。

(問七) 遺言は、弔慰金を受けるべき遺族の順位を変更する効力を有するか。

(答) 弔慰金を受けることができる遺族の順位に関する規定は、強行規定であるから、私法上の財産権の如く遺言によつて弔慰金を受けるべき者を任意に指定することはできない。

(問八) 第三十六条第一号中「死亡した者と同じ氏を称していた配偶者がその氏を改めないで婚姻したとき」とあるのは、如何なる場合か。事実婚の状態にある者は、これに該当するものと考えるがどうか。

(答) 設問の例は、おおむね左のような場合である。

(1) 死亡した者が旧民法施行当時、婿養子縁組又は入夫婚姻により妻の戸籍に入籍したものである場合において、夫の死亡によりその妻が旧民法施行の当時再び婿養子縁組又は入夫婚姻によつて新夫を自己の戸籍に入れた場合。

(2) 死亡した者が旧民法施行当時、婿養子縁組又は入夫婚姻により妻の戸籍に入籍したものである場合において、新民法施行後、夫の死亡により、その妻が新たに他の者と婚姻して新戸籍の筆頭者となつている場合。

なお、妻が婚姻した場合に、たまたま妻の氏と後夫の氏が同じで、妻が新夫の戸籍に入籍したときは、妻は氏を改めたことになる。

次に、死亡した者の死亡後、復氏することなく内縁関係にある妻は「その氏を改めないで婚姻したとき」に該当し、弔慰金を受けることができる先順位の遺族となる。

(問九) 戦没者が朝鮮人、台湾人で死亡の当時、日本の国籍を有していた者で、その遺族が日本人(昭和二十七年四月一日において、戸籍法の適用を受けている者。)であるときは、この遺族は、本法の適用を受けることができるか。