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○戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律の施行について

(昭和三〇年八月二六日)

(援発第一〇一八号)

(各都道府県知事・各地方復員部長あて厚生省引揚援護局長通知)

標記の件に関し本日別途当省事務次官より依命通知されたが、なお左記事項御了知のうえ、本法の施行に遺憾のないようにされたい。

一 遺族年金額に関する事項

遺族年金額の増額に伴う遺族年金額の改定事務は、改正法附則第十六項の規定により、受給者の請求を待たずに、裁定庁において行うことになつているが、これに関しては、次の事項了知のうえ、所要の措置をとること。

(イ) もとの陸軍に属していた者の遺族に係る年金額を改定した遺族年金証書(以下「新遺族年金証書」という。)は、裁定庁よりの通知に基き、丙都道府県知事(戦傷病者戦没者遺族等援護法施行事務取扱規程においていう丙都道府県知事とする。以下「甲都府県知事」という場合もこれに準ずる。)において作成し、甲都道府県知事を経て遺族に交付すること。なお、もとの海軍に属していた者に係る新遺族年金証書は、裁定庁において作成し、甲都道府県知事を経て、遺族に交付するものであること。

(ロ) 甲都道府県知事において新遺族年金証書を遺族に交付するときは、市町村長を経て、従前の遺族年金証書と引換にこれをおこなうこと。なお、回収した遺族年金証書の処分については、昭和三十年一月十日援護第三号通知に準ずること。

(ハ) 遺族年金証書を国民金融公庫に対し、担保に供している場合は、新遺族年金証書は、前記(イ)にかかわらず、裁定庁から直接国民金融公庫(本所恩給部)に交付するものであること。

(ニ) 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百八十一号。以下「法律第百八十一号」という。)の施行に伴い遺族年金額が増額された者のうち、年金額の改定に関する省令(昭和二十八年厚生省令第四十号。以下「省令第四十号」という。)第二条の改定請求を要すべきもので、その請求をしていないものについては、今次の改正法施行に伴う遺族年金額の改定は、事実上実施できないので、これらの者は、すみやかに右省令による改定請求を行わせるよう指導すること。

(ホ) 遺族年金の既裁定のものに係る新遺族年金証書の交付は、遺族年金の支給期との関係上、遅くとも明年二月末までに完了する必要があるので、関係機関においては、本件事務の取り進めに遺漏のないよう留意すること。

二 公務死の範囲に関する事項

(イ) 改正後の第四条第二項の規定により公務死したものとみなされる者(以下「第四条第二項該当者」という。)に係る遺族年金は、昭和二十八年四月分(死亡した者の死亡の日が同月一日以後であるときは、その翌月分とする。以下死亡の日のずれによる遺族年金、弔慰金の支給の期日等の特例は特に記述せず省略する。)から支給するものであること。ただし、右第四条第二項該当者の遺族で、公務扶助料を受ける権利又は資格を有すべき遺族たる要件を具えているものは、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律(昭和三十年法律第百四十三号)による改正後の恩給法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百五十五号。以下「改正後の法律第百五十五号」という。)第三十五条の二第一項の規定により、旧恩給法の特例に関する件(昭和二十一年勅令第六十八号。以下「勅令第六十八号」という。)の施行前において、公務扶助料の請求を却下されたものであるものを含め、同法の規定により、昭和二十八年八月一日に遡つて、公務扶助料を受ける権利又は資格を取得し、原則として同年四月分から公務扶助料が支給され、又は加給の対象となり得るものであるから、現実に遺族年金を支給する者は、法律第百八十一号附則第十二項の規定により昭和二十八年八月一日において、公務扶助料を受ける権利又は資格を有しないものに限ること。

(ロ) 第四条第二項該当者の遺族に支給する弔慰金については、従前のとおり、昭和二十七年四月一日における身分関係によりその受給者を決定するものであるが、当該弔慰金として交付する遺族国庫債券の発行日は、昭和二十九年四月一日であること。従つてその者の死亡に関し、すでに改正前の法第三十四条第二項の規定により弔慰金を支給していた場合は、遺族国庫債券の発行換は、行わないものであること。

(ハ) すでに遺族年金又は弔慰金を請求した者に対し、死因の公務性を否認して当該請求を却下しているもの(改正前の法第三十四条第二項の規定による弔慰金の支給処分をしたものを含む。)については、裁定庁において請求書類を再審査し、第四条第二項該当者と認めた者については、別紙第一号様式により丙都道府県知事に通知するものであること。

(ニ) 右(ハ)により通知を受けた丙都道府県知事は、甲都道府県知事と連絡し、次の措置をとること。

(1) 公務扶助料を受ける権利又は資格を有する者については、公務扶助料請求の手続をとり進めること。なお、この場合において、すでに改正前の第三十四条第二項の規定により弔慰金を支給していたときの扶助料請求書の添付書類等については、昭和二十九年十二月一日援発第九六六号通知左記第四項の(ニ)の(ロ)の3に準ずるものであること。

(2) 公務扶助料を受ける権利又は資格を有しない者で遺族年金を受ける権利を有するものについては、遺族年金の請求手続を取り進めること。なおこの場合は、次の事項に留意すること。

(a) 遺族年金請求書の上部欄外にもとの請求書の進達番号及び日附並びに前記(ハ)により裁定庁から丙都道府県知事に通知した文書の番号及び日付を朱書すること。

(b) 右請求書には、死亡した者の死亡の日以後における請求者の身分関係の異動を明らかにすることのできる戸籍の抄本以外の書類の添付は省略して差支えないこと。ただし、請求者が法律第百八十一号の施行に伴い、増額された先順位者たる遺族年金の支給を受けるべき者である場合は省令第四十号第二条第二項に掲げる書類、被選定人の変更等が生じている場合は被選定人選定届等、所要の書類を添付すること。

(ホ) 今後、裁定庁において未裁定ケースを初度裁定する場合、死亡した者が法第四条第二項該当者と認めたときは、その者に係る弔慰金裁定通知書には、同通知書中「弔慰金裁定通知書」とある部分の下部に「改正後の法第四条第二項適用」と表示するから、この表示がある場合は、公務扶助料請求に関し、所要の措置をとること。

(ヘ) 今後、新たに遺族年金又は弔慰金を請求する場合(前記(ニ)の(2)により請求する場合を除く。)における当該請求書の添付書類については、改正後の施行規則第二十五条第二項又は第三十六条の二第二項の規定によるものであるが、なお次の事項に留意すること。

(a) 改正後の施行規則第二十五条第二項第十三号又は第三十六条の二第二項第九号に掲げる書類は、別紙第二号様式によること。なお、死亡した者の死亡処理の日等からみて明らかに恩給未裁定であると認められるものについては、これらの書類の添付は省略して差支えないこと。

(b) 進達機関においては、保有資料その他により右書類の内容を十分調査すること。

(c) 改正前の遺族援護法の規定により、遺族年金又は弔慰金を受ける権利を有するものとして請求する場合は、施行規則の一部を改正する省令附則第二項の規定により、従前の例によるものであること。(次項以下の場合も同様である。)

三 軍属の遺族に対する遺族年金の支給要件の緩和及び軍属の在職期間となるべき期間の拡大に関する事項

(イ) 軍属の遺族に対する遺族年金及び公務死による弔慰金の支給要件から戦時災害を除いたこと及び軍属の日華事変中の事変地勤務の期間を在職期間に加えたことに伴い、障害年金又は遺族年金の受給権を得るに至つた者に対する年金支給は、本年十月分からであり、又右改正により公務死による弔慰金を受ける権利を有するに至つた者の弔慰金の受給権の発生は、昭和二十七年四月一日であつて、当該弔慰金として支給する遺族国庫債券の発行の日は、昭和三十年十月一日であること。

(ロ) すでに遺族年金を請求した者に対し死亡した者の傷病が戦時災害非該当であること、又はその死亡が在職期間外に生じた傷病による死亡であることを理由として、その請求を却下しているもののうち今次の改正により新たに遺族年金又は弔慰金の受給権を得るに至るものの取扱については、前項(ハ)及び(ニ)に準ずるものであること。

四 弔慰金を支給すべき遺族の範囲の拡大に関する事項

(イ) 今次の改正により新たに弔慰金を受けるべき遺族の範囲に加えられた者(以下「弔慰金新規対象者」という。)を例示すれば次に掲げるものであつて、戦没者の死亡の当時、その者と生計維持又は生計同一の関係にあつたものであること。

(1) 戦没者の伯叔父母、甥姪、曾祖父母及び曾孫(血族)

(2) 戦没者の配偶者(事実上の配偶者を含まない。以下本(2)において、同じ。)の父母、祖父母、曾祖父母、兄弟姉妹、伯叔父母及び甥姪並びに戦没者の三親等内の血族の配偶者(姻族)

(ロ) 弔慰金新規対象者の弔慰金を受ける権利の発生は、昭和二十七年四月一日である(従つて同日現在における身分関係により弔慰金を受けるべき遺族を決定する。)が、当該弔慰金として交付する遺族国庫債券の発行の日は、昭和三十年十月一日であること。

(ハ) 弔慰金新規対象者のうち、誰が弔慰金を受ける順位にあるかを認定することは、相当の困難を伴う事例も少くないと予想されるので、請求書類の進達等に際しては、次の(ニ)以下の事項を了知のうえ、これが取扱いに慎重を期し、後において不測の紛議等が生ずるようなことのないよう留意すること。

(ニ) 弔慰金新規対象者の弔慰金を受けるべき順位は、改正後の法第三十六条第一項において第十一号及び第十二号として定められているところ、大部分のものは、同項第十一号に該当するものと認められるのであるが、戦没者の葬祭を行つた者であるか否かについては、戦没者との身分関係、地方の習慣、祭具等の承継保管の状況、その他諸般の状況を十分調査して、その認定に過誤なきを期すべきであること。特に市町村長に対するこの趣旨の周知徹底については、格段の配意を払うこと。

(ホ) 弔慰金新規対象者が、弔慰金を請求する場合の請求書に添付すべき書類については、第二項の(ヘ)において述べたところであるが、なお次の事項に留意すること。

(1) 改正後の施行規則第三十六条の二第二項第七号の二に掲げる生計関係に関する書類及び葬祭に関する書類は、別紙第三号様式及び別紙第四号様式により市町村長が作成した証明書とすること。なお、葬祭に関する証明書は、前記(ニ)の趣旨に則り、諸般の事情を十分調査したうえ慎重に作成するよう指導すること。

(2) 改正後の法第三十六条第一項第十二号の順位にある者が弔慰金を請求する場合の添付書類の整備については、次によること。

(a) 改正後の法第三十六条第一項第十一号の順位にある者がない理由を詳記した市町村長の証明書を添付すること。

(b) 請求書に添付すべき弔慰金請求に関する同順位者の同意書は、前記(1)の証明書に記載された者につき作成したものとすること。

五 事変地又は戦地勤務の軍属(もとの陸海軍部内の文官を含む。)の遺族に対するいわゆる特別弔慰金の支給に関する事項

(イ) 改正後の法第三十四条第三項又は第四項の規定の適用により支給する弔慰金の受給権発生の日は、昭和二十七年四月一日である(従つて、同日における身分関係により受給権者が決定する。)が、当該弔慰金として交付する遺族国庫債券の発行日は、昭和三十年十月一日であること。

(ロ) 軍属に係る弔慰金の請求に対し、改正前の法第三十四条の規定により弔慰金の受給権なしとして却下しているものに係る改正後の同条第三項の規定による弔慰金の支給に関する事務の取扱いについては、第二項(ハ)及び(ニ)に準ずるものであること。なお、右により弔慰金を請求する場合の請求書の様式は、昭和二十九年四月二十一日厚生省発援第七号別紙の様式によること。(ただし、この請求書を進達するときは、請求書の適宜の個所に「軍属」と朱書しておくこと。)

(ハ) 改正後の法第三十四条第三項又は第四項の規定の適用により支給する弔慰金の請求書に添附すべき書類のうち、改正後の施行規則第三十六条の二第二項第一号の四に規定する公務扶助料を受ける権利を取得したことがないことを認めることができる書類は、別紙第五号様式による申立書とすること。なお、進達機関においては、前記二の(ヘ)の(b)に準じた措置をとること。

六 満州開拓青年義勇隊員に関する事項

満州開拓青年義勇隊員は、改正後の法第三十四条第六項の規定により弔慰金の支給対象となつたが、当該隊員が、軍人、軍属、戦斗参加者又は特別未帰還者であるときは、それぞれ、それらの身分に従つて処理するものであること。なお、改正後の法第三十四条第六項の規定により新たに弔慰金の支給対象となつた者の弔慰金の受給権発生の日等は、前項(イ)と同様であること。

七 その他に関する事項

(イ) 改正法附則第六項の規定の遺族年金(養子縁組を解消した者に支給する遺族年金)は、本年十月分から、同法附則第十一項の遺族年金(責任自殺した者の遺族に支給する遺族年金)は、昭和二十八年四月分から支給し、同法附則第十一項の弔慰金は、昭和二十八年四月一日における身分関係により受給権者を決定し、同日発行の遺族国庫債券を交付するものであること。ただし、死亡した者が恩給法上の公務員である場合において、その者の死亡に関し改正法附則第十一項の弔慰金を支給する旨の裁定を行つたときは、改正後の法律第百五十五号附則第三十五条の三第一項の規定によりその遺族に対し昭和二十八年四月分から公務扶助料の額に相当する扶助料が給されるので、右の遺族年金は、死亡した者の遺族で同項の規定により扶助料の額を改定され、又は同項に規定する扶助料を受ける権利を取得すべきものがある場合は、支給しないものであること。

(ロ) 改正後の施行規則第二十五条第二項第十四号に掲げる書類は、別途通知の「普通恩給等と留守家族手当又は特別手当の額に相当する額の手当との調整について」の様式第一号(二)によること。なお留守家族援護法附則第四十三項に規定する手当と遺族年金との調整要領については、右通知を参照すること。

第一号様式

第二号様式

第三号様式

第四号様式

第五号様式 略

注 第五号様式は、昭和四五年六月一九日援発第六八一号様式第2のとおり改められた。