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○母子福祉資金の貸付等に関する法律施行令による元利均等償還の定率について
(昭和二八年五月一一日)
(児企第四二号)
(各都道府県民生部長あて厚生省児童局企画課長通知)
母子福祉資金の貸付等に関する法律施行令第十五条の規定による元利均等償還の実施方法については、既に了知のことと思料するが、別紙「母子福祉資金の貸付等に関する法律による貸付金の定率について」を送付するから参考といたされたく通知する。
母子福祉資金の貸付等に関する法律による貸付金の定率について
(1) 定率表の作成方法
定率表の作成方法は、元金をA,利率をr,毎回の賦金aをn期において償還するとき、下記(1)の数式においてA=1としてnの数値をそれぞれ代入することによつて算出することができる。
a=(Ar(1+r)n)/((1+r)n-1)…………………(1)
〔理由〕
第一期の償還元金を A1 ┐
第二期 〃 A2 │とすれば
・ │
第n期 〃 An ┘
A1=a-Ar
A2=a-(A-A1)r=(a-Ar)(1+r)=A1(1+r)
A3=a-{A-(A1+A2)}r=(a-Ar)(1+r)^2=A2(1+r)
……(=A1(1+r)^2)
即ち第n期の償還元金Anは同様にして、前期の償還元金An-1に(1+r)を乗じて得られるから
An=a-{A-(A1+A2+……+An-1)}r=An-1(1+r)
=A1(1+r)n-1
=(a-Ar)(1+r)n-1
依つて第n期の償還元金は
A=(a-Ar)(1+r)^-1……………………(イ)
次に第(n+1)期の償還元金を考えると
A+1=A(1+r)
又 A+1=a-{A-(A1+A2+………+An)}r
この総和はAに相当する
=a
依つて An(1+r)=a…………………………(ロ)
(イ)式の両辺に(1+r)を乗じ,(ロ)をこれに代入して Anを消去すると
An(1+r)=(a-Ar)(1+r)n
a=(a-Ar)(1+r)n
a(1+r)n-a=Ar(1+r)n
a{(1+r)n-1}=Ar(1+r)n
∴ a=(Ar(1+r)n)/((1+r)n-1)
従つて上式においてA=1とすれば,aは率を表すことになる。
(2) 定率表の検算法
なお定率表の作成方法により作成された定率表を検算するには、先きに定率表の作成方法で述べた理由に従い、賦金より最初の期間の利息を減じたもの(即ち、第1回の償還元金である)に(1+r)を順次乗じて(n+1)期が賦金の金額に一致すればよいことになる。
因みに先きに説明せるa=(Ar(1+r)/((1+r)n-1)の数式によつて当局で
算出した年利3分、第20期迄の別紙(1)の定率表を検算してみると、元金100,000利率年3分で20年賦で償還の場合は
毎期の賦金は同表の第20期の率により
100,000 × 0.0672157077 = 6721.57077
(100,000×0.03)
第1期の償還元金は6721.57077-~~~~~~~~~=3721.57077
最初の一年間の利息
第2期以後は、第1期の償還元金に順次(1+r)即ち1.03を乗じてゆくと
第2期の償還元金 3721.57077 × 1.03=3833.217893
第3期 〃 3833.217893 × 1.03=3948.214429
……………………┐
│-(―
……………………┘
第20期 〃 6335.7251159×1.03=6525.7968694
第21期 〃 6525.7968694×1.03=6721.5707750
即ち第(n+1)期即ち第21期の償還元金を考えれば、これは賦金に一致する。よつてこの定率表は間違つて居ないということが分るのである。
(3) 定率表の使用方法
定率表を使用するとき、償還元利金一覧表を作成すると、各期の賦金中の各期の償還元金の総計が、元金に満たないことを防止し、且つ一見瞭然に貸付現在高、償還元金及び利息が把握できるから、必ず償還元利金一覧表を作成すること。
参考迄に別紙(1)の表を使用して、利率年3分、貸付金50,000円の5か年の年賦償還の償還元利金一覧表を作成すると、別紙(1)の第5期の率は、0.2183545713であるから
賦金は 50,000円×0.2183545713=10,917円728
最初の1か年の利息は 50,000円×0.03=1,500円
従つて第1期の償還元金は 10,917円728-1,500円=9,417円728
第2期以後の償還元金は、さきの定率表作成の理由の説明にあるように最初の償還元金に順次(1+r)即ち1.03を乗じて次のように得られるから
第2期の償還元金は 9,417円728×1.03=9,700円25984
第3期 〃 9,700.25984×1.03=9,991.26763
第4期 〃 9,991.26763×1.03=10,291.00566
第5期 〃 10,291.00566×1.03=10,599.73582
これを別紙(1)の一覧表に記入する。そしてこれを合計すれば(但し円以上)49,998円となり、元金の50,000円に対し2円不足となる。
この場合は円未満の順次大なるものの中より切上げ、償還元金の合計を50,000円になるようにする。従つてこの場合賦金は10,918円となる。
第2期以後の利息は賦金10,918円より順次当該期の償還元金を減ずることによつて得られる。かくて一覧表が作成出来る。
別紙(1)略
別紙(2)略