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○児童扶養手当及び特別児童扶養手当関係法令上の疑義について

(昭和五五年六月二三日)

(児企第二六号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省児童家庭局企画課長通知)

標記については、昭和四十八年五月十六日児企第二八号をもつて通知しているところであるが、今般別添のとおりその内容の一部を改めることとしたので、御了知のうえ、今後の事務取扱い上の参考とされたい。

なお、今回の主要な改正及び追加事項等は、左記のとおりである。

追つて、昭和五十三年六月九日児企第二二号本職通知「児童扶養手当関係法令上の疑義について」は廃止する。

1 事実婚の範囲について

(1) 児童扶養手当は、母がいわゆる事実婚をしている場合には支給されない。(児童扶養手当法第四条第二項第七号及び第三条第三項)これは、母が事実婚をしている場合には実質上の父が存在し、児童はその者から扶養を受けることができるので、そもそも児童の養育費たる性格をもつ本手当を支給する必要性が存在しないからである。

従来事実婚の解釈については、いわゆる内縁関係にある場合であつても当事者の関係が民法に規定する重婚の禁止(第七百三十二条)、近親婚の制限(第七百三十四条)、直系姻族間の婚姻の禁止(第七百三十五条)又は養親子間の婚姻の禁止(第七百三十六条)のいずれかの規定に抵触する場合には、事実婚には該当しないものとして取扱い、手当を支給してきた。

しかしながら、児童扶養手当の趣旨、目的からみると、かかる場合には、実質上の父が存在し、手当を支給する必要性が存在しないばかりでなく、かかる場合に手当を支給することは、民法も禁止しているように社会一般の倫理観に反し、非倫理的な行動を助長しているとの批判を免れないところである。

例えば近年いわゆる未婚の母の受給者が増加しており、その中には妻子ある男性と同居している事例がかなり見受けられるところであるが、かかる場合には手当を支給する必要性は何等存在しないものである。

よつて、今回、事実婚の解釈については、当事者間に社会通念上夫婦としての共同生活と認められる事実関係が存在しておれば、それ以外の要素については一切考慮することなく、事実婚が成立しているものとして取り扱うこととした。

また、事実婚は、原則として同居していることを要件とするが、ひんぱんに定期的な訪問があり、かつ、定期的に生計費の補助を受けている場合あるいは、母子が税法上の扶養親族としての取り扱いを受けている場合等の場合には、同居していなくとも事実婚は成立しているものとして取り扱うこととした。

(2) 今後、新規認定に当たつて、事実婚の範囲については前記の解釈に従つて取り扱うとともに、既に受給している者についても毎年の現況届、民生・児童委員等の報告等に基づき事実婚が発見された場合には受給資格喪失の処分を行うこと。

2 公的年金給付の児童加算について

(1) 児童扶養手当は、児童が父に支給される公的年金給付の額の加算の対象となつているときは支給されない。(法第四条第二項第四号)これは児童扶養手当が、公的年金制度を補完する制度として設けられたものであり、公的年金によつて給付の対象となつている場合には二重給付となるので手当を支給する必要がないと考えられるからである。

(2) 他方年金における加算額は妻のものであろうと子のものであろうと客観的な事実関係によつて一律に支給されるものであつて、受給者の意思によつて左右されるものではない。したがつて、受給者が加算額を「辞退」するということはそもそもあり得ないものである。

(3) 児童の加算額に関する児童扶養手当制度の取扱いとしては、法第四条第二項第四号の規定の趣旨からみて公的年金の仕組みとして子の加算制度がある場合には、客観的な事実関係によつて現実に児童が加算の対象となつていない場合を除くほか、児童扶養手当は支給されないものであるので、受給資格認定に当たつては十分留意すること。

3 月の初日において児童が児童福祉施設に入所した場合の取扱いについて

月の初日(例えば四月一日)に児童が児童福祉施設(収容施設)に入所した場合においては、当該月の初日から児童は施設の監護下にあり、母の監護又は養育者の養育は及んでいないと考えられるので、従来より当該月(四月)の児童扶養手当及び特別児童扶養手当は当該児童については支給しない取扱いとしてきたところであるが、この取扱いを再認識したこと。

別添 略