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○行旅病人の救護等の事務の団体事務化について

(昭和六二年二月一二日)

(社保第一四号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)

行旅病人の救護等の事務の団体事務化に伴う行旅病人及行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)の改正については、昭和六十一年十二月二十六日社庶第二二五号厚生省社会局長、児童家庭局長通知「地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律(社会福祉関係部分)の施行について」により通知したところであるが、昭和六十二年一月十三日政令第三号をもつて「地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律の一部の施行期日を定める政令」が公布されたことにより本年四月一日から「地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律(昭和六十一年法律第百九号。以下「整理合理化法」という。)」が施行されることとなつたので、左記の事項に留意の上、行旅病人の救護等の事務の適正な実施が行われるよう、よろしくお取り計らい願いたい。併せて貴管下市町村への周知について、御配慮願いたい。

第一 改正の内容

整理合理化法により、行旅病人及行旅死亡人取扱法(以下「法」という。)の一部が改正され、以下の事務が団体事務化されたこと。

1 行旅病人、その同伴者及び行旅死亡人の同伴者の救護(第二条、第八条関係)

2 行旅病人、その同伴者及び行旅死亡人の同伴者の引取の通知(第三条、第十条関係)

3 行旅死亡人の認識に必要な事項の記録(第七条関係)

4 行旅死亡人の埋葬又は火葬(第七条関係)

5 行旅死亡人の認識に必要な事項の公署の掲示場での告示及び官報又は新聞紙への公告(第九条関係)

6 行旅死亡人の遺留金品の保管及び引き渡し(第十二条、第十四条関係)

なお、費用関係部分については変更がないこと。

第二 留意事項

1 法第一条に規定する行旅病人には、以下の者が含まれること。

(1) 飢えにより歩行できなくなつた行旅者

(2) 行旅中の妊産婦であつて手当を要するが、その途を有しないもの

(3) 行旅者又は住所及び居所のない者若しくは明らかでない者であつて、引取者がなく、かつ、警察官が救護の必要があると認めて引き渡したもの

2 法第一条に規定する行旅死亡人には、引取者のない死胎が含まれること。

3 今回、団体事務化された事務については、各都道府県及び市町村において執行することとなるが、その執行に当たり規則等を定める際の参考になるよう別紙のとおり指針を作成したのでこれを参考とし、円滑な事務の執行が確保されるよう取り計らわれたい。

第三 その他

1 今回の団体事務化に伴い、次の内令(省令)は、本年三月三十一日をもつて廃止する予定であること。

○行旅病人、行旅死亡人及同伴者ノ救護並ニ取扱ニ関スル件(明治三十二年内令第二十三号)

○外国人タル行旅病人、行旅死亡人及同伴者ノ救護並取扱ニ関スル特例ノ件(明治三十二年内令第二十四号)

なお、前記内令の廃止については、別途通知する。

2 法第一条第三項、第十七条及び第十八条に規定する政令については、当分の間、定める予定はないこと。

別紙

行旅病人及び行旅死亡人の取扱いに関する指針

Ⅰ 市町村が処理しなければならない事務について

第一 扶養義務者等への引取通知

1 市町村は、行旅病人若しくはその同伴者又は行旅死亡人の同伴者(以下「被救護者」という。)を救護したときは、遅滞なく、被救護者の扶養義務者又は同居の親族に対し、引取期間を指定し、かつ、被救護者の状況を付して通知するものとする。

2 市町村は、1により引取りを行うべき旨を通知した被救護者の扶養義務者又は同居の親族が被救護者を引き取る必要がなくなつたときは、直ちにその旨を通知するものとする。

第二 領事への通知

市町村は、外国人である行旅病人、行旅死亡人又はそれらの同伴者に対し救護等を行つた場合には、その所属国領事に通知を行い、引取等についての協力を求めるものとする。

第三 留置救護

市町村は、被救護者が重症であるなど特別の事情により被救護者の扶養義務者又は同居の親族が第一の1の通知により指定した期間内に被救護者を引き取ることができない場合には、被救護者又はその引取りを行うべき者からの請求により、相当の期間を指定して被救護者の留置救護を行うことができるものとする。

なお、被救護者又はその引取りを行うべき者の請求がない場合であつても、市町村が必要と認めたときは同様とする。

第四 送還

市町村は、次に該当するときは、被救護者の引取りを行うべき旨を通知した扶養義務者又は同居の親族に被救護者を送還することができるものとする。

1 被救護者の引取りを行うべき旨を通知した扶養義務者又は同居の親族が指定期間内に被救護者を引き取らない場合。

2 被救護者又は引取りを行うべき者から留置救護の請求があつた場合において、相当の事情があると認められない場合。

3 市町村が留置救護を行う必要がないと認めた場合。

第五 都道府県に対する通知

市町村は、被救護者について、扶養義務者又は同居の親族がいないとき又は明らかでないときその他被救護者の引取者がいないときは、被救護者の状況を付して、都道府県に対し被救護者の引取りを行うべき旨を通知するものとする。

第六 施設等への委託

市町村は、被救護者の救護を適当な施設又は私人に委託することができるものとする。

第七 費用弁償請求手続

市町村は、救護に要した費用の弁償を被救護者若しくは扶養義務者に請求するとき、又は行旅死亡人の取扱いに要した費用の弁償を相続人若しくは行旅死亡人の扶養義務者に請求するときは、市町村が支弁した費用の計算書を添付するとともに、納入期限を指定するものとする。

第八 都道府県への請求

市町村は、被救護者から救護費用の弁償がなされない場合であつて、扶養義務者がいないとき又は明らかでないとき、その他扶養義務者から救護費用の弁償を得ることができないときは、市町村が支弁した費用の計算書を付して、都道府県に対して費用の弁償を請求するものとする。

第九 公告期間

市町村は、行旅病人及行旅死亡人取扱法第九条の規定により公署の掲示場に告示するときは、三〇日以上これを掲示するものとする。

第一〇 通知事項

市町村は、行旅死亡人に関して相続人又は扶養義務者若しくは同居の親族に通知するときは、行旅死亡人の状況、相貌その他本人の認識に必要な事項を通知するものとする。

第一一 遺留物件の処分

1 市町村は、行旅死亡人の取扱いに要した費用については、まず、その遺留の金銭又は有価証券をもつて充て、これをもつてしても足りない場合であつて、相続人及び扶養義務者がいないとき又は明らかでないときは、最初に公告を行つた日から起算して六〇日以上経過した後、行旅死亡人の遺留物品を売却してその費用に充てるものとする。

2 市町村は、行旅病人及行旅死亡人取扱法第九条の規定による公告を行わなかつた者及び公告後相続人又は扶養義務者が明らかになつた者については、その取扱いに要した費用の弁償を得ることができなかつた場合に、直ちにその遺留物品を売却することができるものとする。

3 市町村が、行旅死亡人の遺留物品を売却することができる限度は、費用の弁償額に達するまでとする。

4 市町村は、有価証券及び見積価格が一定額以下の物件については、競売に付することなく処分できるものとする。

5 市町村は、行旅死亡人の遺留物品を売却してもなお費用の弁償額に足りないときは、都道府県に対して計算書を付してその不足額を請求するものとする。

第一二 繰替支弁費目

市町村が、被救護者の救護又は行旅死亡人の取扱いを行つた場合に、市町村費をもつて一時繰替支弁を行う費用の範囲は、都道府県が定めるところによるものとする。

Ⅱ 都道府県が処理しなければならない事務について

市町村が被救護者の救護に要した費用及び行旅死亡人の取扱いに要した費用のうち、行旅病人及行旅死亡人取扱法第五条及び第十三条並びに行旅病人死亡人等ノ引取及費用弁償ニ関スル件(明治三十二年勅令第二百七十七号)の規定に基づき、都道府県が弁償しなければならない費用の範囲は、次のとおりとするものとする。

1 医師診察料、手術料、入院料、往診料及び診断書料

2 薬価及び療養に関する必要品費

3 食料

4 看護料及び番人費

5 被服及び寝具料

6 行旅病人又は行旅死亡人のために特に要する薪炭油費

7 借家料及び小屋掛料

8 護送及び運搬に関する諸費

9 死体検案料及び検案書料

10 仮土葬及び火葬に関する諸費並びに墓標費

11 公告料

(注) 前記以外の費用の種目、限度額その他費用弁償に必要な事項は、各都道府県において独自に定めること。