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○行旅病人及行旅死亡人取扱法運営上の疑義について

(昭和二六年一〇月一〇日)

(社乙発第一四三号)

(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)

標記の件に関して、別紙甲号神奈川県知事照会に対して別紙乙号の通り回答したから御了知ありたい。

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(別紙甲号)

(昭和二六年八月一五日 二六厚第九二五号)

(厚生省社会局長あて神奈川県知事照会)

標記の件に関し左記諸点について御指示願いたい。

1 生活保護法の全面的改正により行旅病人及行旅死亡人取扱法を吸収する意図を明らかにしているが、之が廃止乃至改正の内容及時期的経緯について厚生省の見解を明示されたい。

2 斯法が廃止乃至改正されるまでの行旅病人及び同死亡人の取扱について、広告通知を除き実質的には生活保護法を適用して差し支えないか。

3 大都市の場合、行旅病人及び同死亡人の取扱は区役所(区長の権限下)で行つているが、これが円滑なる運営を計るには生活保護法の実施機関である安定所(区長の権限外で市長の直属機関)で扱う方が適当と思われるが、厚生省の見解を示されたい。

4 行旅病人及行旅死亡人取扱法第十二条により遺留物件を売却した金及び遺留金を行旅死亡人取扱費(同法第十三条)に充て、尚余りあり、而も民法上の手続を為すに必要な費用と同額以下の場合は、取扱市町村の雑収入とするか、或いは当該県の雑収入とするか(行旅病人及び死亡人の費用は全額県費負担であるから。)、教示されたい。

5 行旅病人及行旅死亡人取扱法第九条の「公署の掲示場」とは、主務公署の掲示場と解して良いか。

6 行旅死亡人を死体解剖保存法第十二条により、交付する場合、行旅病人及行旅死亡人取扱法第九条の手続きのみで、火葬の許可等その他の事務的処理を必要としないか。

7 死体解剖保存法第十二条では「引取者なき」とあるが、行旅死亡人を交付する場合、引取者無しと判定を下すには、広告後或いは死体発見後幾日を経過すれば引取者無しと判定するか、その日数及び起算の端初を教示されたい。

(別紙乙号)

(昭和二六年一〇月一〇日 社乙発第一四三号)

(神奈川県知事あて厚生省社会局長回答)

八月十五日二六厚第九二五号をもつて標記の件に関し照会があつたが左の通り回答する。

1 照会第一点について

八月十六日社乙発第一一四号「行旅病人及行旅死亡人取扱法の改正について」(各都道府県知事宛本職通知)において示した通りであること。

2 照会第二点について

行旅病人及び行旅死亡人については、同法取扱法が生活保護法に優先して適用されるべきは当然であるが、生活保護法の昭和二十五年の改正の趣旨及び両法間の特殊関係にかんがみて、同一人につき生活保護法の適用を適当とするものについては、これにより措置して差し支えない。ただ、この場合にあつては、勿論生活保護法が行旅病人及行旅死亡人取扱法の費用を補填するものではなく、従つてあくまでも生活保護法上の「被保護者」として資産及び扶養義務関係を検討して措置するものであることに留意されたいこと。

3 照会第三点について

市においては、御見解の通りと存ずるから、社会福祉事務所をして行旅病人及行旅死亡人取扱法の事務を所掌するよう適当に指導されたいこと。

4 照会第四点について

行旅死亡人の遺留物件を売却して得た金及び遺留金の残余の額の如何にかかわらず、所定の手続によつて措置すればよいものであつて、市町村においてはこのために格別の費用を要するものではない。即ち遺留物件を売却してえた金等の残余については、市町村長は非訟事件手続法第十六条の規定によつて所轄検察庁の検察官にこれを通知すればよいので、その後は民法第九百五十二条第一項の規定により、検察官の請求によつて家庭裁判所が相続財産の管理人を選任し、その残余金は管理人に引き渡すまでは、市町村長が歳入歳出外現金として保管すべきものである。而して、その残余金が管理人に引き渡されてから、一定期間内においてもなお相続人である権利を主張する者がないときは、民法第九百五十九条第一項の規定によりその残余金は国庫に帰属するものであること。

5 照会第五点について

御見解の通り。

6 照会第六点について

死体解剖保存法第十三条及び第十六条に規定されてあるので御見解の通りであること。

7 照会第七点について

死体解剖保存法第十二条に規定する「引取者なき」という意義は、現実にその死体について引取者がいないか、又は不明の場合をいうのであつて、公告或いは死体発見後の期間経過如何は問題ではない。このことは、死体解剖保存法第十二条の規定によつて交付する死体についても、市町村長は行旅病人及行旅死亡人取扱法に定める公告等の手続をとらなければならないと規定してある同法第十六条の趣旨より明白であること。

なお、右については当該医務局と連絡済みであるから申添える。