添付一覧
○中国からの一時帰国者に対する生活保護法上の取扱いについて
(昭和四九年四月一六日)
(社保第七五号)
(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局保護課長通知)
日中国交正常化に伴い、中国からの一時帰国者に対する援護措置(昭和四十八年十月三十一日援発第一、一三○号厚生省援護局長通知。別添写参照。以下「援護措置」という。)が実施されているが、昭和四十九年度においても当該援護措置を受け又は自費によつて相当数の一時帰国(いわゆる里帰り)者が予定されているところである。
ついては、これら一時帰国者が帰国後本邦に在留する期間においての生活保護法の適用又はこれに準じた措置の取扱いについては、昭和二十九年五月八日社発第三八二号厚生省社会局長通知「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(以下「通知」という。)及び下記事項に留意のうえ、それが取扱いについて遺憾のないよう配意されたい。
記
1 本邦に在留する期間において生活に困窮する者については、日本の国籍を有する者については生活保護法を適用し、日本の国籍を有しない者については通知により生活保護法による保護に準じた措置を行うこと。
なお、同一の住居に居住し、同一世帯員として認定される一時帰国者について、日本国籍の有無により実施責任が異なることが生じないよう、たとえば、一時帰国者のうち母親が日本国籍で、その子が中国国籍である場合に、当該子につき外国人登録法により登録された居住地により定まる実施責任と、当該母親の実施責任が異なる事態が生じたようなときがこれに当たるわけであるが、このようなときは、外国人登録機関と十分連絡をとり、当該外国人登録が適正であるかどうかを確認すること。
2 中国からの一時帰国者については、援護措置を受けて帰国した者であるか否かを問わず、当分の間、通知の1の(3)及び(4)に定める手続は省略して差しつかえないこと。
別添
中国からの一時帰国者に対する援護について
(昭和四八年一○月三一日 援発第二三○号)
(各都道府県知事あて厚生省援護局長通知)
日中国交正常化に伴い、終戦前から中国に居住する日本人(元日本人を含む。)で、終戦後はじめて墓参、親族訪問等の目的をもつて本邦に一時帰国(いわゆる里帰り)を希望する者が、増加しており、しかもその大部分が帰国の旅費を負担することが困難な実情にあることにかんがみ、今般、これ等の者に対しては国が帰国旅費を負担することとし、その一時帰国を促進することとなつたので、本制度の趣旨を理解され、左記事項に御留意のうえ、本件の実施について格別の御配意を煩らわしたく通知する。
記
1 一時帰国者に対する援護は、別添「中国からの一時帰国者に対する援護実施要領」(以下「実施要領」という。)により行なうものであること。
2 一時帰国者に対する帰国旅費は、中国の居住地から出境地までの旅費については、当局から本人に直接送金するものであり、出境地(香港、天津等)から本邦までの航空運賃又は船運賃は当局から直接航空会社又は船会社に支払うものであること。
(注) 現在中国からの帰国のルートは、香港を経由するのが一般的であるが、天津附近居住者については天津から便船(貨物船で不定期)を利用して帰国することも可能である。
3 一時帰国者が本邦に到着する日時については、情報入手次第当局から関係都道府県に連絡するから、在日親族に対する連絡、本邦の到着地(空港又は港)における出迎え等については、引揚者の場合に準じて配意願いたいこと。
4 本制度については、在日親族に対して周知せしめるとともに、一時帰国希望者に対しては在日親族を通じて周知させるよう指導願いたいこと。
5 この制度の実施前にすでに自費で一時帰国し、本制度の実施後中国に帰る者についても、本制度による援護を行なうこととし、実施要領に定める申請に基づき、中国渡航の旅費を国費で負担するものであること。
中国からの一時帰国者に対する援護実施要領
第一 趣旨
終戦前から中国に居住する日本人で、終戦後はじめて墓参、親族訪問等の目的をもつて本邦に一時帰国を希望する者に対し、国が経済的援助を行ない一時帰国の実現を図ることとする。
第二 要領
1 援護の対象となる者
援護の対象となる者は次のとおりである。
(1) 終戦前(昭和二十年九月二日前をいう。)から引き続き中国に居住している日本婦人(終戦後中国人と婚姻したこと等により日本の国籍を失つた元日本婦人を含む。)で、終戦後はじめて本邦へ墓参、親族訪問等の目的で一時帰国する者(以下「一時帰国者」という。)
(2) 一時帰国者が同伴する一八歳未満の子
(3) 一時帰国者が介護を要する場合、その介護者一名
(4) 以上のほか厚生省援護局長が一時帰国者に準ずる者として取り扱うことを適当と認めたもの
2 援護の内容
中国の居住地から日本の落着先まで及び日本の落着先から中国の居住地までの一時帰国に必要な往復の旅費(鉄道運賃、航空運賃、食事代、宿泊料、荷物運賃、電報料)を国費で負担する。
3 援護の申請手続
(1) 一時帰国希望者の親族等は、「一時帰国往復旅費支給申請書」(別紙様式第1)に、次に掲げる書類を添付して居住地の都道府県引揚援護業務担当課に提出すること。
ア 一時帰国希望者の、一時帰国に要する往復旅費を支弁できない旨の申立書(一時帰国希望者からの通信文の写)
イ 在日親族等の、一時帰国に要する往復旅費を支弁できない旨の申立書及びその事実を証する民生委員又は市区町村長の証明書(別紙様式第2)
ウ 一時帰国希望者の戸籍の謄本又は抄本(一時帰国希望者が元日本人の場合は、除籍の謄本又は抄本)
エ 一時帰国希望者が介護者を同伴することを希望する場合は、その理由を記載して本人の通信文の写
(2) 都道府県は、前記の申請書を受理したときは、その記載内容を十分審査し、事実に相違ないと認めたときは副申証明のうえ、すみやかに厚生省援護局庶務課に進達すること。
(3) 援護局庶務課においては、申請書類を審査し、帰国旅費を国庫負担することを決定したときは、都道府県を通じ在日親族等にその旨通知する。なお、この通知の際、別紙様式第3の一時帰国希望者あての通知書を同封するから、在日親族等はすみやかに一時帰国希望者あてに、この通知書を送付すること。この通知書は、一時帰国に際し国の援護を受けるために必要であるので、一時帰国の際には必らず所持し、在中国日本国大使館又は在香港日本国総領事館に提示するよう指導すること。
4 送金方法
(1) 在日親族等から一時帰国往復旅費の支給が認可された旨の通知を受けた一時帰国希望者は、本邦へ一時帰国するための渡航手続きを行ない(本要領第二の5参照)、中国当局から出境の許可があり次第、直接厚生省援護局庶務課(東京都千代田区霞ケ関一-二-二)に電報で出境許可の有効期間、出発日時を通知すること。
(2) 厚生省援護局庶務課は、一時帰国者から出発日時等について電報をうけたときは、一時帰国希望者の居住地出発に間に合うよう居住地から出境地までの帰国旅費を電報で送金するものであること。
(3) 出境地から本邦までの航空運賃又は船運賃は、厚生省から直接航空会社又は船会社に支払うものであること。
(4) 本邦に一時帰国した後、再び中国に帰る場合は、一時帰国者は別紙様式第四の「中国再渡航届」を都道府県を経由して厚生省援護局庶務課に提出すること。
前記の届出があつたときは、厚生省援護局庶務課は再び中国に渡航するために必要な旅費を、日本出発前に一時帰国者あてに送金するものであること。
(5) 本制度の発足後、本制度によらないで帰国した者については、帰国後本制度による旅費の支給について申請があつても認めないものであること。
5 一時帰国のための渡航申請手続
一時帰国者及び一時帰国者に同伴する者(介護者を含む。以下同じ。)の本邦への渡航手続は、次のとおり行なうものであること。
(1) 日本の国籍を有する者は、直接在中国日本国大使館(北京市朝陽門外三里屯外交人員弁公楼一-七一)に次の申請書類を送ること。
ア 帰国のための渡航書発給申請書(用紙は在中国日本国大使館から郵送してもらうこと。) 一通
イ 戸籍の謄本又は抄本(発行から六か月以内のもの)又はすでに法務省民事局から「国籍証明書」の発給をうけた者については同証明書 一通
ウ 日本を出国したときから申請時までの経緯を記載した書面(書式は自由) 一通
エ 一時帰国に関し、在日親族等から本人が受取つた通信文(申請者が本人に間違いないことが確認できる内容のもの) 一通
オ 写真(六か月以内に撮影したもの) 二葉
(2) 在中国日本国大使館は、(1)の申請にもとづき一時帰国希望者に「帰国のための渡航書」を交付する。
(3) 一時帰国希望者に同伴する者で中国の国籍を有する者は、在中国日本国大使館に対し、日本入国のための査証申請を行なうものであるが、手続方法及び提出する申請書類については、同館に照会されたいこと。
なお、申請書類のうち在日親族等から送付する必要のあるものは、次のとおりであること。
ア 日本人の父又は母の戸籍の謄本又は抄本(発行から六か月以内のもの) 一通
イ 在日親族等が身元保証を行なうものであることが確認できる内容の通信文 一通
(4) 元日本人で中国の国籍を有する者は、前記(3)と同様在中国日本国大使館に対し査証の発給申請を行なうこと。
なお、申請書類のうち、在日親族等から通付する必要のあるものは、次のとおりであること。
ア 本人の除籍の謄本又は抄本 一通
イ 在日親族等が身元保証を行なうものであることが確認できる内容の通信文 一通
別紙様式 略