添付一覧
○在韓邦人の帰国に伴う援護について
(昭和四四年四月一一日)
(社保第九五号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会・児童家庭・援護局長連名通知)
現在、大韓民国内においては、戦前又は終戦直後等に渡航した日本人であつて、韓国人と婚姻をする等の事情によりそのまま同地にとどまり、その後における社会情勢の変動等の影響を受けて生活困窮の状態にあるものが相当多数にのぼる状況である。
これらの者の大部分は婦女子であり、帰国を希望しつつも自己の資力がないため帰国できず、他国において困窮を余儀なくされているので、今般日本政府においては、外務省を通じて、特別措置としてその帰国を援助することとし、厚生省としても各般の施策を通じてこれに協力し、帰国後の保護等にも十分の配慮を行なうこととしたところである。
ついては、貴職におかれては、次の事項に留意され、所要の関係措置の適用に遺憾のないよう配意され、管下市町村及び保護の実施機関等の指導を行なわれたい。
なお、本件特別措置に関する在韓邦人の状況の詳細について在釜山日本総領事館からの資料を添付したので参考とされたい。
(別紙参照)
取扱方針
1 帰国前の受入れ準備について
(1) 身元引受人のある者
身元引受人の所在等が確認されている者については、その者の帰国準備がととのい次第、順次2による手続によつて帰国させること。
(2) 身元引受人のない者
身元引受人の所在等が確認されていない者については、次によること。
ア 帰国に先立つて、各世帯について在韓公館において作成された別紙2の様式による状況調査票が、厚生省を通じて関係都道府県又は指定都市(民生主管部局)に送付されるので、当該都道府県等においては、調査票の記載内容を検討し、必要があれば関係市区町村に連絡のうえ住居又は施設収容の準備、職業あつせんの用意、母子福祉関係施策、児童福祉関係施策又は生活保護の適用の準備等所要の援護についてすみやかに受入れ体制を整え、この旨厚生省社会局あて報告すること。
イ 厚生省においては、アの報告に基づき、各個人別に受入れ体制の整つた旨を外務省を通じて在韓公館に連絡することとし、同館においては、連絡のあつた者から順次2による手続によつて帰国させること。
2 帰国援助措置について
(1) 引揚者の要件に該当する者
ア 引揚者及び引揚者に準ずる者については、現行の引揚援護措置を適用すること。
(注)1 「引揚者」とは、日本国籍を有し、終戦前から引き続き外地に在住していた者(これらの者を両親として終戦後外地または帰国途中において出生した者を含む。)であつて、戦後はじめて永住の目的をもつて本邦に帰国するものである。
2 「引揚者に準ずる者」とは、次に掲げるものであつて、戦後はじめて永住の目的で本邦に入国するものである。
(1) 引揚者が同伴する妻(内縁を含む。)または未成年の子
(2) 終戦前から引き続き外地に在住し、外国人と婚姻したことによつて日本の国籍を失つた元日本婦人で夫と死別または離別した者及びその未成年の子
イ 引揚援護措置により帰国する者については、帰国に際してその者の氏名、帰国日時、下船地等を従来どおり厚生省援護局から個別に帰住先の都道府県主管部局に連絡すること。
(2) 引揚者の要件に該当しない者
ア 戦後渡航した者等引揚非該当者については、釜山下関間の旅費を特別措置により在韓公館において支給し、下関上陸後帰住地までの移送について生活保護法による給付を行なうこと。
イ アによる生活保護の運用については、各帰国世帯の帰住地を管轄する保護の実施機関が実施責任を有するものとし、当面下関市が生活保護法第十九条第二項により保護を適用し、必要な費用を一時繰替支弁する取扱いとすること。
ウ アによつて帰国する者については、帰国に際してその者の氏名、帰国日時、下船地等を厚生省社会局から個別に帰住先の都道府県等主管部局並びに下関市主管部局に連絡するので、相互に密接な連絡を行ない、下船地における受入れ、帰住地到着時の受入れ等に十分に配意すること。
エ 繰替支弁費用の清算については、すみやかに行なうこと。
3 帰国後の援護について
帰国者については、帰住地を管轄する都道府県及び市町村において、その者の状況に応じ必要な指導、援助等の措置を講じ、社会適応が円滑に行なわれるよう留意すること。