添付一覧
○生活保護法による保護施設運営上の取扱について
(昭和三二年四月一一日)
(施発第一三号)
(各都道府県衛生部長・五大市民生局長あて厚生省社会局施設課長通知)
標記のことについては、昭和三十一年五月三十一日施発第一九号本職通知「生活保護法による保護施設運営上の取扱について」をもつて通知したのであるが、今般更にその追加として保護施設が運営上よるべき取扱指針を定めたので、保護施設の指導監督に当つては左記指針に準拠し遺憾のないよう致されたい。
なお、前記施発第一九号通知記一(取扱指針)の1及び37の全文を削除すること。
記
保護施設運営上の取扱指針
1 (問) 保護施設において、その職員は如何なる基準により配置したらよいか。
(答) 保護施設がよるべき職種別職員の定数の基準については、生活保護法第三十九条により厚生大臣が定めることになつている保護施設の最低基準によつて施設別、職種別に規定されることとなると思われるが、現状においてはそれが法制化の運びに至つていないので、職員配置については、差しあたり、昭和三十二年三月二十九日厚生省発社第六六号厚生事務次官通達「生活保護法による保護施設事務費並びに委託事務費の基準及びその取扱について」の付表「保護施設事務費の基準額算定の基礎となつた職種別職員定数表」(以下「付表」という。)における職種別職員の定数を一応の基準として施設の規模等の実態を勘案のうえ、被保護者の処遇に適当な範囲においてこれを定めることとなろう。例えば、一二○人定員の養老施設における職種別職員の定数は、付表における一○○人定員の職員総数と一五○人定員のそれとの差が五人で定員一○人増す毎に職員数が一人づつ増すことになつていること及び付表の備考における職種別職員の算定方法からすれば、一○○人定員の施設に比し、寮母及び看護婦を夫々一人増すことが適当であること等からして施設長一人、事務員二人、指導員一人、寮母四人、看護婦二人、栄養士一人、雇傭人三人、医師一人計一五人とするのが妥当であろう。
2 (問) 生活扶助を目的とする保護施設の嘱託医師については、その勤務方法及び報酬をどう定めるべきか。
(答) 施設の規模が小さい等の理由でやむを得ず嘱託医師を置く場合があるが、その場合にあつては、その医師は施設の長の管理の下に被収容者の診療を担当するものであつて、当該施設職員として取り扱われるべきものであるから、所謂「往診」による医師とは根本的に異るものである。従つて嘱託医師は予め一定の日を定めて施設に勤務させることは勿論、勤務すべく定められた以外の日でも急病の発生等必要のある場合は、随時施設に来診するようにしておくことが肝要である。なお、出勤の日については、例えば「火曜日の午前」「金曜日の午後」というように、なるべく明確且つ詳細に定めておくべきであり、特に養老施設及び救護施設の場合は、その被収容者の特性からして少くとも一週間に二日は勤務させることが望ましい。又嘱託医師の報酬の支払は、その身分、勤務の形態等からして当然固定給(但し日額、月額の何れでもよい)によつて行うべきものであろう。なお、公営施設の嘱託医師は地方公務員法第三条に規定する特別職の公務員と解せられるので、その報酬については、地方自治法第二百三条第二項及び第五項の規定が適用され、その額及び支給方法は条例で定められなければならず、又その額は勤務日数に応じて定められなければならない。
3 (問) 保護施設において、その職員を施設に住込ませることは差支えないか。
(答) 現在一部の保護施設において、甚だしきは収容棟の居室にあてられるべきような部分に、家族と一緒に、職員を住込ませていたり、又施設内に職員を住込ませることを処遇上絶対的に必要な方針として取扱つていたりするような例がみられるが、このようなことは妥当な取扱とはいい難く、むしろ同一構内の場合にあつても別棟として職員宿舎を設ける等によつて措置すべきであろう。然しながら職員の職務、勤務時間その他の関係で真にやむを得ないような事情にある場合、例えば看護婦、炊事婦等を看護婦室、炊事婦室等に住込ませることはやむを得ないであろう。
4 (問) 生活扶助を目的とする保護施設において、その職員に対し被収容者と同額の費用を徴収のうえ、給食することは差支えないか。
(答) 保護施設が、その被収容者に対する給食の取扱と同様な方法で職員の給食を実施することは本来妥当でなく、実際上もそれを行つた場合徴収すべき金額を正しく算定すること、又経理の取扱を明確にすることも困難であるのが普通であり、更にはとかくの疑惑をすらまねくおそれもあるので、被収容者に対する給食にいわば便乗して行う職員のための給食は適当でない。
5 (問) 保護施設を設置する市町村が恩給制度を設けている場合、その施設の職員に対する恩給の市町村負担金及び法人の経営する保護施設において職員の退職金の積立を行つている場合の法人の負担金を事務費として国庫負担の対象として差支えないか。
(答) 現状においては、いずれの場合も国庫負担の対象とすることは認められていない。
6 (問) 授産施設における定員はどう定めたらよいか。
(答) 授産施設の定員は、その施設において採用している事業種目等によつて若干異るであろうが、一般的には指導員等職員の数及び作業員を常に就業させ得る設備上の能力等によつて決めるべきものであるが、特にこれが決定に当つては作業室の有効面積、機械の台数及びこれを操作し得る人数等を十分考慮し、かつ作業員の安全衛生等処遇に支障のない範囲において定めるべきであろう。
7 (問) 生活扶助を目的とする保護施設における食堂の面積としては、どの程度のものが必要か。
(答) 通常定員に○・二五坪を乗じて得たひろさ、即ち五○人定員の場合であれば、一二・五坪程度のものが適当であろう。然しながら、救護施設については対象者が精神上欠陥のある者であるか、身体上欠陥のある者であるかによつて多少異るであろうが、一般的に養老施設及び更生施設程の面積は必ずしも必要としないと思われるので個々の施設の実態に応じて考えるよりほかはない。
8 (問) 保護施設の長は、その施設を利用する被保護者についてどのようなことがあつた場合に保護の実施機関へ届け出たらよいか。
(答) 保護施設の長は、その施設を利用する被保護者について「保護の変更、停止又は廃止を必要とする事由が生じた」と認めるときは、保護の実施機関へ届け出なければならないことになつている(生活保護法第四十八条第四項)が、通常届出を必要とすると考えられるのは次のような場合であろう。
1 被保護者が死亡したとき及びその者に遺留金品があつたとき。
2 被保護者の世帯構成に変動のあつたとき。
3 被保護者の収入又は資産に変動等のあつたとき。
4 被保護者の扶養義務者に変動等のあつたとき。
5 被保護者が保護施設の管理規程に従わないとき。
6 被保護者が不実の申請その他不正な手段により保護を受けていると認められるとき。
7 被保護者が保護施設内では治療することができない病気にかかり又は負傷したとき。
8 被保護者がその保護施設を利用する必要がなくなつたと認めるとき。
9 (問) 養老施設において、その被収容者に課し得る作業の限界及びこれにより収益が生じた場合の処分方法如何。
(答) 養老施設において、被収容者に作業を課する場合の考え方及び実施手続については、昭和三十一年五月三十一日施発第一九号社会局施設課長通知「生活保護法による保護施設運営上の取扱について」記一の15においてとりあげたのであるが、養老施設においては、被収容者は老衰のため独立して日常生活を営むことのできない要保護者であるという点にかんがみ施設として被収容者に作業を課するということは殆どあり得ないと思われる。若し例外的に被収容者に作業を課するようなときがあつた場合然もその作業によつて収益が生じたときは、その収益は当然被収容者の処遇に充当すべきであろう。なお、養老施設における被収容者であつても、自らの意思によつて内職、手伝等に従事することは考えられるが、この場合は一般的に施設の課する作業とはいえないので、施設の規律等に反しない限り、特にこれを禁止する必要はないと思われる。しかも、このために生じた収益は当然本人に帰属するものである。
10 (問) 保護施設における被保護者の入所した日又は退所した日については、その時間の如何にかかわらず一日分の事務費をその支弁の対象として差支えないか。
(答) いずれも一日分の事務費を支弁して差支えない。
11 (問) 生活扶助を目的とする保護施設に入所中の者が医療扶助の適用を受け病院へ入院してから三○日未満で死亡した場合、その期間事務費を支弁して差支えないか。
(答) 昭和三十一年四月十二日社発第三六八号厚生省社会局長通知「養老施設等に入所中の者が短期入院した場合の保護施設事務費の取扱について」による取扱は、保護施設の性格及びその現状を考慮し、右通知記の一の各号に該当する場合に限り特に例外的な措置としてみとめられたものであるから質問のような場合には、事務費を支弁することはみとめられない。
12 (問) 授産施設における所謂場外作業員を対象として事務費を支弁して差支えないか。
(答) 現在生活保護法による授産施設に対する事務費は生業扶助の決定を受けている作業員が施設に出勤し、その設備を利用して作業した場合のみ、その日数をもつて算定した額を支弁し得ることになつているのであるから、たとえ授産施設から提供を受けた仕事であつても、施設に出勤することなく家庭において作業した場合は、事務費支弁の対象とすることはできない。
13 (問) 生活扶助を目的とする保護施設における被収容者の保護費の内容如何。又一人一日の食費の程度如何。
(答) 保護施設における被収容者の保護費の基準額は、一般の居宅保護の基準額を基礎とし、それに収容保護の特性を考慮に入れて算定されたものである。これを「一級地」の地域に所在する養老施設及び救護施設の場合を例によると第一類の飲食物費(嗜好品費を除く)一五五四円、保健衛生費等の費用二六五円計一八一九円(第一類の年齢区分二五歳以上六○歳未満及び六○歳以上の男女の平均額)第二類家具什器費三五円(世帯人員一人の費用)水道料二四円(世帯人員五人の費用の五分の一)電灯料三○円(世帯人員五人の費用の五分の一)薪炭費九二円(世帯人員五人の費用の五分の一)及び雑費四○○円(世帯人員一人の費用)計五八一円合計二四○○円となつており、冬期においては別に三五円を加算する。更生施設についても同様の方法により算出されるが、第一類のみは、一四歳以上二五歳未満の男女の荷重平均をもつて算出されている。なお、被収容者一人一日当りの食費基準については、以上述べた保護施設の被収容者の保護費の内訳を参酌して適当な額を決定すべきであろうが、給食の問題は、最も重要な処遇の一つであるから、保護費の内訳に示された基準を下まわらないよう配意する必要がある。従つて「一級地」における養老施設の場合は、一人一日最低五二円ということになろう。
